うるさい彼女と静かな僕

Kaito

文字の大きさ
16 / 26

#16

しおりを挟む
#16

「学校...行こっか」

結花は文字通り一晩中泣いていた。和希は寝ずにずっと結花のそばにいた

「体調は大丈夫?」

「まだ頭が少し痛い」

「休んだ方が良いんじゃない?」

「今日は文化祭の事決めなきゃいけないから、休めないよ」

うちの学校の文化祭は他校と比べても規模が大きく例年大きな盛り上がりをみせている。結花は文化祭委員でかなり力を入れているのは和希も知っていた

「そういえばそうだったな」

とは言え僕も文化祭委員だ、正直やりたくなかったが結花に半強制的にやらされてしまったという訳だ

「もー和希興味なさ過ぎ!」
「ほら、準備して行くよ」

無理にでも学校へ行こうとする結花

「あっ!」

立ち上がった途端に足元がふらついて床に手をついた

「やっぱり今日は休んだ方が...」

結花のおでこに手を当てた

「熱っ、やっぱり休んで」

「う...うん」

結花は素直にベットに横たわった。

「和希は学校に行って」

「でも...」



「ただいま、結花もう行った?」

結花のお母さんが帰って来た。和希が焦っていると

「大丈夫だよ」

結花はそう言って微笑む

「もしかして、和希君?」

「は..はい。この前はすみませんでした」

和希は深くお辞儀をした

「こちらこそ、結花を助けてくれて本当にありがとうございます」

予想外の言葉に頭を上げる

「ごめん和希、二人だけの秘密って言ったのに。私話しちゃったんだ」

「あっ、それより今は結花を」

「もー大丈夫!だから早く学校行こ、和希」

「そっ..そっか」

和希は結花のお母さんにもう一度お辞儀をしてから結花と一緒に学校へ向かった。

「文化祭何しよっか?」

駅のホームで電車を待っていると、結花が言い出した

「そうだなー、やっぱり食べ物とかは多いのかな?」

「私ずっと憧れてたのがあるんだよね」

「ソフトクリーム屋さんだろ」

「えっ!?嘘っ、どうして知ってるの?」

「この前、ソフトクリーム屋さんの店員さんのこと楽しそうに見つめてたから」

「そっか、バレちゃってたんだ」
「ずーっと憧れてたんだ、ソフトクリーム屋さんの店員」

「なんかきっかけとかあったの?」

「小学生の時、いじめられてたのは知ってるでしょ」

「うん」

「一度だけね、耐えきれなくて学校を抜け出したことがあったの。とにかく学校から離れたくて走って走って疲れて止まった時に偶然目の前にソフトクリーム屋さんがあって、吸い込まれるようにお店に入ったの。そしたら店員さんが優しく声をかけてくれて」

「うん」

和希は相槌をうちながら話を聴いた

「私何て言えば良いのか分からなくて泣いちゃったの。泣き止まない私を見て店員さんがいちご味のソフトクリームをくれて、話を聴いてくれた。それが嬉しくて、誰にも言えなかったのにその時は嘘みたいに言葉が出てきて止まらなかった」

「優しい人だったんだね」

「でもさー、文化祭でソフトクリーム屋さんってなんか地味じゃない?」

夢から覚めたみたいに話を戻す結花

「まあ他のクラスと被りそうだよね」

「あっ、電車来たよ」


運良く席が二つ並んで空いていた、そこに二人は座ってお喋りを続ける

「あそこに座ってるの結花だよね?」

遠くから声が聞こえて振り向く。

声の正体は同じクラスの女子二人だった。和希が見るとすぐに目を逸らした。

「バレちゃうのも時間の問題かもね」

和希以外に聴こえないように耳元で囁いた。

「バレても一緒にいてくれる?」

結花は和希にそっと寄って手を重ねた

「もう...バラしちゃおっか?」

「僕は..」

「冗談だよっ!ずっと二人だけの秘密だよっ!」

悪戯に笑う結花を可愛く思っていると、学校の最寄り駅に着くアナウンスが流れた

「着いちゃったね」

結花は少し残念そうに言った。

「じゃあ一旦お別れだね」

「また後でな」

「うん」

二人は付き合ってることがバレないように駅からは別々に歩いて学校に向かっている。


「今日は文化祭のクラスの出し物決めるから、ここらから文化祭委員にバトンタッチするから」

「じゃあ早速だけど、なんかこれやりたーいって人いたら教えて」

結花は率先して司会を担当して話を進めていく。

結花のコミュ力の凄さを実感しながら、出た案を黒板に書いていく。

「和希は?何か案とかある?」

チョークの動きが止まる。

「ソフトクリーム屋さんとか...」

「良いね!それ!」

他の案よりも明らかに良い反応をする。

そんな感じで集まった案を眺めてから

「いっぱい集まったから纏められるやつは纏めちゃおっか」

似たものを纏めていく

「みんな、これでどう?」

良い感じに話が進んで、投票で決める事になった

"メイドカフェとソフトクリーム屋さん"

"お化け屋敷と謎解き"

"カジノとダーツ"

この三つから選んで投票する

「えっと..メイドカフェとソフトクリーム屋さんが、19人で、お化け屋敷と謎解きが9人でカジノとダーツが8人っと..」

集計を終えると、結花は誰にもバレないように僕に微笑んだ

「じゃあメイドカフェとソフトクリーム屋さんに決定ってことで良いかな?」


ぴんぽーんぱーんぽーん


授業終了のチャイムが鳴る。

「じゃあここまで!」

手についたチョークの粉を軽く振り払った

「ありがとね」

僕に近づいてそう言ってから結花は席に戻った。僕も黒板を消してから席に戻る。


放課後

「文化祭のステージやる曲どうしよっか?」

今朝、結花が言った文化祭の事というのはクラスの出し物だけではない、文化祭のステージで演奏する曲も決めだ

「せっかくなら新しい曲やりたいよねー」

雪奈が言うと

「だよねー」

夜羽も同調した

「優斗は?」

「僕も新しいのがやりたい」

「僕もー」

和希も同調した。

「満場一致!じゃあ次は曲決め...といきたい所だけど、時間的に今日はここまでだね」

気がつくと部活終了の時間になっていた。

「私この後予定あるからバイバイ」

結花がみんなに手を振って颯爽と学校を飛び出して行った

「僕もバイトあるからバイバイ」

「私もバイトあるんだよねー」

優斗と夜羽もそれぞれのバイト先に向かって行った。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写と他もすべて架空です。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

12年目の恋物語

真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。 だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。 すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。 2人が結ばれるまでの物語。 第一部「12年目の恋物語」完結 第二部「13年目のやさしい願い」完結 第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中 ※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

網代さんを怒らせたい

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「なあ。僕たち、付き合わないか?」 彼がなにを言っているのかわからなかった。 たったいま、私たちは恋愛できない体質かもしれないと告白しあったばかりなのに。 しかし彼曰く、これは練習なのらしい。 それっぽいことをしてみれば、恋がわかるかもしれない。 それでもダメなら、本当にそういう体質だったのだと諦めがつく。 それはそうかもしれないと、私は彼と付き合いはじめたのだけれど……。 和倉千代子(わくらちよこ) 23 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 デザイナー 黒髪パッツン前髪、おかっぱ頭であだ名は〝市松〟 ただし、そう呼ぶのは網代のみ なんでもすぐに信じてしまい、いつも網代に騙されている 仕事も頑張る努力家 × 網代立生(あじろたつき) 28 建築デザイン会社『SkyEnd』勤務 営業兼事務 背が高く、一見優しげ しかしけっこう慇懃無礼に毒を吐く 人の好き嫌いが激しい 常識の通じないヤツが大嫌い 恋愛のできないふたりの関係は恋に発展するのか……!?

処理中です...