かわいそうの国

２かわいそうの国のレン

２かわいそうの国のレン
　次に、絵がすごく上手なレンさんを紹介します。
　レンさんは耳が聞こえません、だから僕の国の人たちはレンさんをかわいそうって言うよ。
　「レンは耳が聞こえないから、この国の素晴らしい音楽を聞くことができなくてかわいそう」
　「レンは鳥たちのさえずりの美しい声を聞けなくてかわいそう」

　でも、僕はレンが描く絵を見るのが大好きなんだ、僕の国では見ることのできない素晴らしい景色の絵を見ると僕はとっても心がワクワクしたり自分が行ったことのない場所に行けたような気がするから。

　それでね、僕は僕が考えた物語を本にしてレンにプレゼントするよ。
　レンはそれをとっても喜んでくれて、僕が書いた物語の景色を絵にしてくれるよ。
　その絵の中には僕がいて、僕はとっても嬉しい気持ちになるんだ。

　それでね、レンは僕に教えてくれるんだ。

　「私は耳が聞こえないけれど、あなたが書いてくれた本を読むといろんなものが聞こえるよ
　たとえば、遠い異国のこの国の人たちが知らない音楽が聞こえるよ
　たとえば、海の波の音も聞こえるよ
　たとえば、美しい楽器の音色も聞こえるよ」

　そして、レンは僕にそれを絵にして見せてくれる。
　レンは音まで絵にできるんだ。だから僕はレンが大好き
　だけど、僕がレンをかわいそうと言わないから。
　私の国の人たちは、私に耳が聞こえない人を思いやる心がない、僕のことをかわいそうな子っていうよ。