俺は彼女に逆らえない

柊 さくら

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俺が目にしたもの

俺たちの名前

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「はぁ、今日は無駄に疲れた…」

愚痴をこぼしながら歩いて帰る
すると近くから大人たちが走ってこちらに向かってきていた。俺を最初に見つけ抱きしめたのは母だった

「もう!こんな時間まで、何してたの!」

目には涙が浮かんでいる
叱るようにいい、内心は安堵しているようなその言い方は俺自身を優しく包み込んでくれた気がして、俺も、心から安堵の表情を見せる

「ごめん、なさい」

そんな感動的なシーンに水を差すように本物の・・・お狐様がやってきて俺たちにこう告げた

「あと、5分後。自分の家に戻らぬ者は即死刑とする」

その言葉を聞いた途端人々は駆け足で家に入っていった
俺も入ろうとした直後、お狐様に呼ばれた。少し、話がしたいと
最初こそ怪しんだが一か八かでついて行った。断ったら殺されかねないし

数分、数十分歩いただろうか。
お狐様はどこに行くかも教えてくれずただ、ついて来い、としか言わなかった

「この辺りでいいだろう」

「あの、お狐様。何の用でしょうか」

やっぱり、そこがわからない
俺を殺そうとしているのか、はたまた別の用事なのか。今の俺には判断ができない

「お前は人間、だろう?」

「は、はい」

「私はいわゆる妖怪だ。私の娘もな。」

「私の娘…?」

急になんの話だ。よく分からない
俺はお狐様の娘に何かしたのか?いや、何かした、とかそう言う次元の話じゃないのかもしれない

「お前、娘と契約をしたろ」

「契約…?結婚のこと…ですか?」

「あぁ、そうだ」

すると、お狐様はポケットから何かを取り出し、それを俺に投げてくる。
それは包帯のような、ていうか包帯だった。それを俺に渡してお狐様はどうするつもりなんだろうか。

「毎日、右手にそれを巻け。なくなったのならそこの家に来い」

指さされたのは木でできた倉庫のような場所だった。そこに、お狐様は住んでいるのだろうか…?いや、ないな。

「分かりました」

ひとまず、こう答えておこう。今、気になることをあれこれ質問しても答えてくれる保証がない、仮に答えてくれても今の俺の脳じゃ理解力、処理能力に欠ける。だから気になることは一つ一つ、いずれ解決すればいい

「この話は内密にな」

直後、お狐様はまるで空を飛ぶかの勢いでおそらく、自分の住処へと帰って行った。

家に帰ったら今度は安堵の表情もなく、本気で怒鳴り散らかされた

翌日、学校にて
ガラガラと音を立て扉が開かれる
今、教室は(主に男子が)騒がしい。聞くところによると転校生がくるらしい。それも、超絶可愛い…らしい。
だから、この扉が開かれた途端クラスは(主に男子が)さらに騒がしくなった。
どさくさに紛れて俺も軽く騒いだ。いや、どちらかと言うと驚いた、だ。なぜか?そんなの、決まってるだろ

「本日からこの学校に通うことになった
姫宮 輝夜ひめみや かぐやです」

そう、転校してきた相手は紛れもなく、昨日、俺に対しプロポーズをし俺が一つ返事でOKしてしまった相手なのだから

『うぉぉぉぉおおお!!!!」

教室中が(何度も言うが主に男子が)急激に騒がしくなる。超絶可愛かったからだ。まったく、男ってもんは単純なんだから…。いや、俺が言えたことじゃないな。すまん、忘れてくれ。

そんなどうでもいいことを心中で思っていると、あいつは突然、俺の方に指をさしてきた
そうして、あいつは包み隠さず言ってしまった

「私はあの人の、婚約者です」

(しつこいようだが主に男子)が俺に殺意の込められた眼光を放つと同時に教室はまた、さらに騒がしくなった
先生の苦労が見てとれる。

放課後、俺は先生に呼び出され、婚約のことを聞かれた。知らないの一点張りのおかげか先生は諦めすぐに帰らせてはもらったがそのかわり、姫宮に学校案内をしろと言いだした。断る理由はないので、というか承諾しないと帰らせてもらえなさそうだったので(嫌々)快く引き受けた。

「なぁ、姫宮はさ」

「輝夜でいいよ。」

訂正が入る

「輝夜はさ、なんでこの学校に転校してきたんだ?」

初めて下の名前で呼ぶので少し緊張する

「決まってるでしょ?君がいるから」

…なんだ、この無駄にドキッとさせられる言葉は…。

「そういえば、私、君の名前知らない」

「あ、そういやそうだったな。
俺の名前は輝。夕影 輝ゆうかげ あきらだ」

「そっか!」

どことなく嬉しそうな声を上げている輝夜を見て
まったく、こいつは本当に俺のことが好きなのか?とふと疑問に思う。出会って間もなく結婚してくれと言われたのだから当然の疑問といえばそうなのだがこいつには何か裏がありそうで怖い…
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