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第三部 世界と対立
第21話 王太子夫妻の横暴
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ダンジョン攻略の報告を出して数日。
辺境の空気が軽くなった頃、王都から一通の馬車が来た。
乗っていたのは、王太子ヘルマンと――、勝ち誇った笑みの妹リュシアだった。
「エリシア。久しぶりね」
挨拶の言葉のはずなのに、リュシアは視線を上から落とす。
その後ろで王太子が顎を上げた。
「単刀直入に言う。ダンジョン産の素材はすべて王家へ献上せよ。隠すことは許さぬ」
村の空気が凍りついた。
エリシアは、ゆっくり息を整え、明確に首を振る。
「辺境の復興に必要な物です。献上の義務はありません」
「お前は王命に逆らうつもりか?」
王太子の声が荒くなる。
リュシアも続いた。
「姉さまってば、調子に乗ってるのね。辺境に追放されたのに、宝なんて独り占めして。
――反逆者に見えるわよ?」
その言い草に、ついに村人が怒りを押し殺せなくなった。
「ふざけるな!」
鍛冶師が前に一歩踏み出す。
「魔物が溢れて、村が滅びそうだったと報告した時、避難者すら受け入れてくれなかったのはお前ら王都だろ!」
「そうだ! 見捨てたくせに、今になって“宝”だけ奪いに来たのか!」
「エリシア様に助けられた俺たちに向かって、なんて口を――!」
怒声が雪崩のように飛ぶ。
王太子は顔を真っ赤にした。
「民の分際で……! 兵を出す。抵抗するなら力ずくで取り上げてやる!」
だが、控えていた兵士たちは互いに目を見合わせ、足が動かない。
「お、おい……無理だろ。
勇者レオンと聖女エリシア、それに“元勇者一行”が揃ってるんだぞ」
「四天王を全員討った連中だ……。俺たちが束になっても勝てるわけがない」
「命令は命令だが……死にたくはない」
彼らの小声は王太子に届かない。
だが、辺境の空気にははっきりと広がる。
リュシアは歯噛みし、悔しさを滲ませて叫んだ。
「どうして……どうしていつも姉さまなのよ!」
王太子夫妻の怒りと焦り。
兵の恐怖と迷い。
村人の怒り。
三つの感情が真っ向からぶつかり合い――
辺境の静かな火種は、確かに燃え始めた。
辺境の空気が軽くなった頃、王都から一通の馬車が来た。
乗っていたのは、王太子ヘルマンと――、勝ち誇った笑みの妹リュシアだった。
「エリシア。久しぶりね」
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その後ろで王太子が顎を上げた。
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「お前は王命に逆らうつもりか?」
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「ふざけるな!」
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「そうだ! 見捨てたくせに、今になって“宝”だけ奪いに来たのか!」
「エリシア様に助けられた俺たちに向かって、なんて口を――!」
怒声が雪崩のように飛ぶ。
王太子は顔を真っ赤にした。
「民の分際で……! 兵を出す。抵抗するなら力ずくで取り上げてやる!」
だが、控えていた兵士たちは互いに目を見合わせ、足が動かない。
「お、おい……無理だろ。
勇者レオンと聖女エリシア、それに“元勇者一行”が揃ってるんだぞ」
「四天王を全員討った連中だ……。俺たちが束になっても勝てるわけがない」
「命令は命令だが……死にたくはない」
彼らの小声は王太子に届かない。
だが、辺境の空気にははっきりと広がる。
リュシアは歯噛みし、悔しさを滲ませて叫んだ。
「どうして……どうしていつも姉さまなのよ!」
王太子夫妻の怒りと焦り。
兵の恐怖と迷い。
村人の怒り。
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辺境の静かな火種は、確かに燃え始めた。
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