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第五部 辺境の日々
第4話 初々しい朝
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朝のキッチンは、焼きたてのパンの香りで満たされていた。
エリシアは籠から野菜を取り出しながら、横目でレオンをちらりと見る。
昨日までと同じ距離のはずなのに。
“恋人”になっただけで、胸の鼓動がやけにうるさい。
「エリシア、そっちは僕が切るよ」
「い、いいわ。慣れてるから」
包丁を持つ手が、わずかに震えた。
レオンは気づいたのか、少しだけ柔らかく笑う。
「そんなに緊張することかな。いつも通りでいい」
「……してないわ。全然」
即答したのに、耳の先が熱くなる。
自覚した瞬間、さらに恥ずかしくなった。
二人で同じ皿に手を伸ばした時だった。
レオンの指が、エリシアの手の甲をかすめる。
一瞬、凍りつく。
触れたのは、ほんの一秒もなかったのに。
「──あ」
レオンの喉が小さく鳴った。
彼の顔も、少しだけ赤い。
「ご、ごめん。無意識で……」
「だ、大丈夫よ。びっくりしただけだから」
二人とも視線を逸らす。
沈黙が落ち、同じ空気のはずが妙に甘い。
そこへ、レオンが小さく息を吸い、近づいた。
エリシアの頬にそっと手を伸ばし、落ちた髪を指先で払う。
その瞬間――
「レ、レオン……!」
距離が近すぎて、呼吸まで聞こえそうだ。
「髪に粉がついてたから。気になって」
それだけなのに、胸が跳ねた。
エリシアは慌てて魔道具の水球を起動する。
「ちょっと、水浴びしてくる! 一旦リセットしたいの!」
バシャッと水の音。
顔を冷やすも、熱は引かない。
レオンは困ったように笑った。
「エリシアは、どの瞬間も綺麗だよ。……慌ててるところも含めて」
心臓が跳ねる音が、自分でもはっきり聞こえた。
今日の朝食は、いつもよりずっと甘い。
エリシアは籠から野菜を取り出しながら、横目でレオンをちらりと見る。
昨日までと同じ距離のはずなのに。
“恋人”になっただけで、胸の鼓動がやけにうるさい。
「エリシア、そっちは僕が切るよ」
「い、いいわ。慣れてるから」
包丁を持つ手が、わずかに震えた。
レオンは気づいたのか、少しだけ柔らかく笑う。
「そんなに緊張することかな。いつも通りでいい」
「……してないわ。全然」
即答したのに、耳の先が熱くなる。
自覚した瞬間、さらに恥ずかしくなった。
二人で同じ皿に手を伸ばした時だった。
レオンの指が、エリシアの手の甲をかすめる。
一瞬、凍りつく。
触れたのは、ほんの一秒もなかったのに。
「──あ」
レオンの喉が小さく鳴った。
彼の顔も、少しだけ赤い。
「ご、ごめん。無意識で……」
「だ、大丈夫よ。びっくりしただけだから」
二人とも視線を逸らす。
沈黙が落ち、同じ空気のはずが妙に甘い。
そこへ、レオンが小さく息を吸い、近づいた。
エリシアの頬にそっと手を伸ばし、落ちた髪を指先で払う。
その瞬間――
「レ、レオン……!」
距離が近すぎて、呼吸まで聞こえそうだ。
「髪に粉がついてたから。気になって」
それだけなのに、胸が跳ねた。
エリシアは慌てて魔道具の水球を起動する。
「ちょっと、水浴びしてくる! 一旦リセットしたいの!」
バシャッと水の音。
顔を冷やすも、熱は引かない。
レオンは困ったように笑った。
「エリシアは、どの瞬間も綺麗だよ。……慌ててるところも含めて」
心臓が跳ねる音が、自分でもはっきり聞こえた。
今日の朝食は、いつもよりずっと甘い。
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