悪役令嬢の破滅フラグ?転生者だらけの陰謀劇!勝者は誰だ

藤原遊

文字の大きさ
34 / 49

33

しおりを挟む
王宮の会議室。そこには、アルフォンス殿下を中心に、マリア、ディアナ、レオン、レティシア、そしてリシャールが集まっていた。

部屋には緊張感が漂っていたが、アルフォンス殿下は冷静な目で全員を見渡していた。

「君たちの努力には感謝している。それぞれが集めた情報が、今回の件を解決する糸口になるはずだ」

その言葉に、一同はそれぞれ小さく頷いた。

「まずは、ローレンス嬢とヴァルクライ卿。君たちが掴んだ旧ハロルド派の動向について教えてほしい」

ディアナが一歩前に出ると、鋭い視線を保ちながら答えた。

「旧ハロルド派は、彼らの主張を煽動する新たな勢力に支えられているようです。表向きは平民の権利を守るという建前ですが、裏で貴族や王族への攻撃を計画しています」

レオンも続ける。

「それを裏で支えているのが、今回の偽造文書を作った者たちです。この文書が王宮内から発信されたように見せかけることで、騎士団内部にも混乱を引き起こそうとしている」

アルフォンス殿下は眉をひそめた。

「なるほど。つまり、彼らは王宮と騎士団の信頼を崩壊させることを狙っているわけだな」

次に、リシャールが口を開いた。

「そして、その鍵となるのが、貴族社会に潜む協力者たちだ。僕とレティシア嬢が確認したところ、一部の貴族が意図的に情報を流し、旧ハロルド派を焚きつけている可能性がある」

「貴族まで巻き込んで……」

マリアが小さく声を漏らした。彼女の表情には不安が浮かんでいる。

「その通りだ、マリア」

アルフォンス殿下は彼女に目を向けた。

「だからこそ、我々は王族、貴族、そして平民のすべてが協力し、真実を明らかにする必要がある」

「でも、私は……」

マリアは言葉を詰まらせた。彼女はアルフォンス殿下の隣に立つ立場ではあるが、情報収集や計画立案において何もできなかった自分を責めていた。

「マリア、君の存在自体が王宮にとって希望なんだ」

アルフォンス殿下は優しく彼女に語りかけた。

「君が平民から貴族になり、この場にいることが、僕たちが守ろうとしている“平等”の象徴だ。だから、自分を卑下する必要はない」

その言葉に、マリアは小さく頷いたものの、心の中の葛藤はまだ消えていないようだった。

会議の後、アルフォンス殿下は全員に次の指示を出した。

「ローレンス嬢とヴァルクライ卿は、旧ハロルド派の動きを監視し、彼らが次に何を企んでいるのかを掴んでほしい」

「承知しました」

ディアナとレオンは頷き合い、その場を後にした。

「レティシア嬢とリシャール卿は、貴族社会のさらなる情報収集を頼む。特に、偽造文書を作った背後に誰がいるのかを突き止めてくれ」

「任せてください」

リシャールが軽く答え、レティシアも静かに微笑んで了承の意を示した。

「そして、マリア」

アルフォンス殿下は彼女に優しい笑みを向けた。

「君には、僕とともに王宮内の調査を手伝ってほしい。この問題が内部からどのように広がったのかを突き止めよう」

「……分かりました」

マリアは不安を抱えながらも、その役割を受け入れることを決意した。

こうして、彼らはそれぞれの役割を果たしながら一つの目的のために動き出した。王宮、貴族社会、そして街中で巻き起こる陰謀の真実を暴くために。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

入れ替わり令嬢奮闘記録

蒼黒せい
恋愛
公爵令嬢エリーゼは混乱の極地にあった。ある日、目覚めたらまったく別の令嬢シャルロットになっていたのだ。元に戻る術は無く、自身がエリーゼであることを信じてもらえる見込みも無く、すっぱり諦めたエリーゼはシャルロットとして生きていく。さしあたっては、この贅肉だらけの身体を元の身体に戻すために運動を始めるのであった… ※同名アカウントでなろう・カクヨムにも投稿しています *予約時間を間違えてしまい7話の公開がおくれてしまいました、すみません*

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

9時から5時まで悪役令嬢

西野和歌
恋愛
「お前は動くとロクな事をしない、だからお前は悪役令嬢なのだ」 婚約者である第二王子リカルド殿下にそう言われた私は決意した。 ならば私は願い通りに動くのをやめよう。 学園に登校した朝九時から下校の夕方五時まで 昼休憩の一時間を除いて私は椅子から動く事を一切禁止した。 さあ望むとおりにして差し上げました。あとは王子の自由です。 どうぞ自らがヒロインだと名乗る彼女たちと仲良くして下さい。 卒業パーティーもご自身でおっしゃった通りに、彼女たちから選ぶといいですよ? なのにどうして私を部屋から出そうとするんですか? 嫌です、私は初めて自分のためだけの自由の時間を手に入れたんです。 今まで通り、全てあなたの願い通りなのに何が不満なのか私は知りません。 冷めた伯爵令嬢と逆襲された王子の話。 ☆別サイトにも掲載しています。 ※感想より続編リクエストがありましたので、突貫工事並みですが、留学編を追加しました。 これにて完結です。沢山の皆さまに感謝致します。

処理中です...