社畜OLが黒魔術で幼女化しましたが、騎士団副団長の番として囲われています 〜死ねば元の世界に帰れるらしいけど、あなたを置いて死ねません〜

藤原遊

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第4章 真実と未来

第48話 未来へ

夜の空気は澄んでいて、見張り塔から眺める街は静かに光っていた。
昼間の喧騒が嘘みたいに落ち着いていて、遠くの灯りが星のように瞬いている。

私は手すりに寄りかかりながら、小さく息を吐いた。
“もう子どもの身体じゃない”
その事実が、まだ身体のどこかで落ち着かないけれど……それでも、不安よりも希望のほうが大きかった。

隣に立つカイルが、風に揺れた前髪をそっと押さえ、少しだけ横を向く。
しゃべりだす前に、息を整える癖があるのを知っている。

そして――差し出された手。

「……リナ」

名前を呼ぶ声は、いつもより少し深い。

「改めて言わせてほしい。
オレの番として……これからも生きてほしい。
ここで、一緒に」

差し出された手のひらが、穏やかで、でもどこか震えていた。
これまで何度も守ってくれた手。
あのとき、私の命を掴んでくれた手。

私はその手を、しっかりと握り返す。

「はい。
ここで……カイルの隣で、生きていきたい」

答えた瞬間、胸の奥から温かいものが込み上げてくる。
“もう保護されるだけの子どもじゃない”
“迷惑でも異物でもない”
今はただ、一人の人間として、そして一人の女として――彼の隣に立てる。

カイルは小さく息を呑み、目を細めた。
その視線があまりに優しくて、心臓が跳ねる。

静かな夜風が通り抜ける中、そっと距離が縮まる。
触れるか触れないかの唇が、ためらいなく重なった。

温かくて、やわらかくて、胸がじんわり満たされていく。
長いすれ違いの先でようやくたどり着いた、この場所で。

やっと――同じ高さで、同じ未来を見られる。

二人の影が夜風に揺れながら、静かに寄り添っていた。
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