信徒守護官カトリナの辺境ライフ〜魔王討伐後、救済はじめました〜

藤原遊

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翌朝、カトリナたちは村の周辺を調査するため、手分けして動くことにした。地図を広げながら、エドガーが指示を出す。

「俺とカインは北の森を調べる。セオとフィオは西の丘陵地帯を頼む」

「了解!」

双子が声を揃えて返事をする。その隣でリリーが少し不安げに尋ねた。

「カトリナさんと私はどこを調べるんですか?」

「東の遺跡よ」

カトリナがハンマーを肩に担ぎながら答える。「封印がありそうな場所としては、ここが一番怪しいわね」

「遺跡……何も起きなければいいんですけど」

リリーがため息をつくと、カトリナが微笑みながら肩を叩いた。

「大丈夫よ、リリー。もし何か起きても、私が全部解決するから」

「その言葉、あんまり安心できないんですけど!」

リリーが思わずツッコミを入れると、周囲は笑い声に包まれた。

東の遺跡に向かう途中、カトリナとリリーは広がる草原を進んでいた。鳥の鳴き声が聞こえ、穏やかな風が吹いている。

「なんだか、こんなに静かだと逆に不安になりますね……」

リリーが呟くと、カトリナが歩を緩めて振り返る。

「リリー、こういう時こそ、心を落ち着けるのが大事よ。何も起きないなら、それが一番平和なんだから」

「そうですけど……でも、今までの経験からして、何か起きそうな気がして……」

「ふふ、感が鋭いわね」

カトリナが微笑むと、その言葉を裏付けるかのように、遠くから低い唸り声が聞こえてきた。

「ほら、やっぱり何かいますよ!」

リリーがメイスを握りしめると、カトリナがハンマーを構えて前に進む。

「まあ、出てくるなら出てきなさい。理不尽は、叩いて祓うのが一番よ」

「またそれですか……!」

リリーが頭を抱える中、茂みをかき分けて現れたのは、体中に瘴気を纏った獣型の魔物だった。目は赤く輝き、鋭い牙がむき出しになっている。

「リリー、落ち着いて!」

カトリナが声を上げると、リリーは緊張しながらも頷いた。

「は、はい!」

「祈りを捧げて、私に光を!」

リリーはメイスを地面に立て、深い祈りを始めた。その手から漏れる柔らかな光が、カトリナのハンマーに吸い込まれていく。

「いいわ、その調子よ!」

カトリナが声をかけると、魔物が低い咆哮を上げながら突進してきた。しかし、カトリナは微動だにせず、ハンマーを振り上げる。

「聖なる光よ、この者を浄化し、救済を与えたまえ!」

ハンマーが輝きながら振り下ろされると、魔物は絶叫を上げ、光の中で跡形もなく消え去った。

「ふぅ……なんとか終わりましたね」

リリーが胸を撫で下ろすと、カトリナが微笑みながら彼女に言った。

「あなたの祈りのおかげよ、リリー。光がなければ、この浄化はできなかったわ」

「そ、そうですか?でも、やっぱりカトリナさんがすごいだけで……」

リリーが照れくさそうに言うと、カトリナは優しく肩を叩いた。

「自信を持ちなさい。シスターとしての役割を果たすことが、何より大切なのよ」

「はい……ありがとうございます!」

リリーは少しだけ胸を張り、微笑んだ。
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