信徒守護官カトリナの辺境ライフ〜魔王討伐後、救済はじめました〜

藤原遊

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封印の間を後にした一行は、神殿の外に出た。清々しい空気が迎えてくれたものの、全員の表情には疲労の色が濃く浮かんでいる。

「ふぅ、これで一件落着……とはいかないか」

カインが腰に手を当てて呟く。エドガーは頷きながら、封印の間で見つけた奇妙な石板を手にしていた。

「これが、封印を作った者の手がかりか……」

石板には古い魔族の文字が刻まれており、セオとフィオがその意味を解読しようと首を突き合わせている。

「『集いし力を束ね、理不尽を生み出す』……こんな感じかしら?」

フィオが慎重に訳すと、セオが額に手を当てて考え込む。

「要するに、この封印は瘴気を集めて増幅する装置だったんじゃないか?」

「ってことは……誰かが意図的にこんなものを?」

リリーが不安げに尋ねると、カトリナがハンマーを肩に担いだまま頷いた。

「ええ、これは自然にできたものではないわね。作り手がどんな目的を持っていたのか……調べる必要があるわ」

「また面倒なことになりそうだな」

カインが肩をすくめると、リリーが不安そうに言った。

「そんなことをする人、まだこの辺りにいるんでしょうか……?」

「その可能性は高いわね」

カトリナが静かに言うと、リリーはぎゅっとメイスを握りしめた。

その日の夕方、一行は村に戻り、村長に神殿での出来事を報告した。

「封印の間でそんなことが……本当にありがとうございました!」

村長は深く頭を下げたが、その顔にはまだ不安が残っている。

「でも、まだ解決してないんですよね?」

「ええ」

エドガーが真剣な表情で頷いた。「封印を作った者がどこにいるのか、目的が何なのか。それを突き止めない限り、また同じことが起きる可能性がある」

「その調査も、私たちにお任せください」

カトリナが自信に満ちた声で言うと、リリーがすかさずツッコミを入れた。

「いやいや、そんな簡単に引き受けちゃっていいんですか!?」

「いいのよ、リリー。これは私たち信徒守護官の使命だから」

「いや、使命って便利な言葉すぎません!?」

リリーの鋭いツッコミに、セオとフィオが笑い出した。

「リリー、慣れたほうがいいよ。カトリナさんのそういうところ、ずっと変わらないから」

「そうそう。でも、それで結局うまくいっちゃうのがすごいところよね」

「全然フォローになってません!」

リリーが頭を抱える中、カトリナは村長に微笑みかけた。

「ご安心ください。この村と周辺地域を守るのが私たちの務めですから」

その夜、一行は村の広場で焚き火を囲んで話し合いを始めた。石板の内容と、これからの行動について議論が続く。

「この辺りに同じような封印が他にもあるのかもしれないな」

カインが地図を広げながら言うと、セオが頷いた。

「そうだね。瘴気が集まっている場所を探せば、次の手がかりが見つかるかもしれない」

「じゃあ、明日は手分けして周辺を調べる感じでいいか?」

エドガーが全員を見渡すと、カトリナが笑みを浮かべながら答えた。

「もちろん。でも、リリーは私と一緒に行動させるわ」

「えっ、なんで私だけ……?」

リリーが困惑する中、カトリナが優しく微笑む。

「あなたにはまだ学ぶことがたくさんあるからよ。それに……私の護衛もお願いしたいしね」

「護衛って、カトリナさんに必要なんですか!?」

リリーが思わず叫ぶと、周囲は笑い声に包まれた。
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