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プロローグ
①
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剣がなければ、ここまで来られなかった。
アリアは肩に担いだ剣の重さを感じながら、草の茂る山道を歩いていた。夕陽が西の空を赤く染め、木々の影が長く伸びている。依頼は無事に終わった。後は街に戻って報告を済ませるだけだ。
「今日も楽勝じゃん!」
そう呟いて、誰もいない道を歩く。特に誰かと話すつもりもないのに声に出してしまうのは、一人でいる時間が長いからだろう。
ギルドには仲間がいる。街にも親切な人たちがいる。それでも、帰り道はいつだって独りだ。
10歳のとき、両親を亡くした。彼らは街を守る冒険者だった。槍を振るう父と剣を握る母。その背中をいつも追いかけていたけれど、気づいたらもう追いつける場所にはいなかった。
だから、アリアは剣を握り続ける。自分の力で生き抜くために、そして――。
「ま、考えたって仕方ないか!」
再び口を開き、前を向いたそのときだった。道端の茂みが揺れた。
アリアは瞬時に剣を構える。だが、そこにいたのは魔物ではなかった。
黒いマントをまとった青年が倒れている。
「…何だ、こんなところで行き倒れ?」
青年は目を閉じていて、顔色も悪い。アリアはため息をつき、剣を下ろした。人助けをする余裕がないわけじゃない。むしろ、困っている人を放っておけない性格だとは自覚している。
「おーい、生きてる?」
近づいて声をかけると、かすかに青年のまぶたが動いた。ゆっくりと瞳が開かれる。冷たい灰色の瞳。その色彩は、周囲の紅い景色に溶け込むことなく、どこか異質だった。
アリアは一瞬だけ息を呑む。その顔立ちは驚くほど整っていて、青白い肌と切れ長の目元が人間離れした雰囲気を漂わせていた。けれど、ただ倒れているだけなのに、どこか危うい冷たさを感じる。
「…少し、力を使いすぎたようです。」
声は穏やかだが、低い温度が漂う。感情が抜け落ちているようにも聞こえた。
「力って…魔法使いか。まあ、いいや。とりあえず立てる?」
アリアが手を差し出すと、青年はふっと目を細めた。
「いえ、その必要は――」
拒絶しようとした瞬間、アリアが躊躇なく彼の手を掴んだ。ひんやりと冷たい感触が伝わる。
「冷たっ。魔力ってこんなもんなの?」
青年の目が驚きに見開かれる。
「…どうして、君は……」
彼の言葉が途切れる。その瞳は微かに揺れていた。
アリアは首を傾げる。
「どうしてって、あんたが倒れてたから助けるだけじゃん。それ以外に理由なんてある?」
「…普通、私に触れれば――いや、それは今はいいです。」
青年は視線をそらしながら呟いた。まるで、自分自身が信じられないかのように。
「なんかよく分かんないけど、ほら、つかまって!街まで送ってやるから。」
「…ありがとうございます。」
握られた手がわずかに震えていることに、アリアは気づかなかった。イアンと名乗る青年の胸の内に広がっていたのは、ただひとつの疑問。
――なぜ、この人だけが凍らないのだろう。
剣と魔法の世界は、今日もどこかで誰かが倒れ、また誰かが助け起こしている。そして、それが新たな冒険の始まりになることもある。
アリアはまだ知らなかった。自分が手を差し伸べたその青年が、ただの魔法使いではないことを。そして、この出会いが自分自身の物語を大きく変えることになることを。
ステータス画面:
アリア・マーウェラ
• レベル: 7
• 職業: 剣士(盾なし)
• 体力: 20
• 魔力: 0
• 力: 18
• 敏捷: 14
• 器用: 10
• 知力: 8
• 精神: 10
スキル一覧
• 剣の扱い Lv.2
• 投擲 Lv.1
• 身体強化 Lv.1
• 戦闘直感(パッシブ)
イアン
• レベル: 12
• 職業: 魔法使い(呪術特化)
• 体力: 10
• 魔力: 38
• 力: 6
• 敏捷: 10
• 器用: 12
• 知力: 24
• 精神: 22
スキル一覧
• 氷結魔法 Lv.4
• 魔力制御 Lv.3
• 詠唱短縮 Lv.2
• 呪いの触(自動発動 / パッシブ)
アリアは肩に担いだ剣の重さを感じながら、草の茂る山道を歩いていた。夕陽が西の空を赤く染め、木々の影が長く伸びている。依頼は無事に終わった。後は街に戻って報告を済ませるだけだ。
「今日も楽勝じゃん!」
そう呟いて、誰もいない道を歩く。特に誰かと話すつもりもないのに声に出してしまうのは、一人でいる時間が長いからだろう。
ギルドには仲間がいる。街にも親切な人たちがいる。それでも、帰り道はいつだって独りだ。
10歳のとき、両親を亡くした。彼らは街を守る冒険者だった。槍を振るう父と剣を握る母。その背中をいつも追いかけていたけれど、気づいたらもう追いつける場所にはいなかった。
だから、アリアは剣を握り続ける。自分の力で生き抜くために、そして――。
「ま、考えたって仕方ないか!」
再び口を開き、前を向いたそのときだった。道端の茂みが揺れた。
アリアは瞬時に剣を構える。だが、そこにいたのは魔物ではなかった。
黒いマントをまとった青年が倒れている。
「…何だ、こんなところで行き倒れ?」
青年は目を閉じていて、顔色も悪い。アリアはため息をつき、剣を下ろした。人助けをする余裕がないわけじゃない。むしろ、困っている人を放っておけない性格だとは自覚している。
「おーい、生きてる?」
近づいて声をかけると、かすかに青年のまぶたが動いた。ゆっくりと瞳が開かれる。冷たい灰色の瞳。その色彩は、周囲の紅い景色に溶け込むことなく、どこか異質だった。
アリアは一瞬だけ息を呑む。その顔立ちは驚くほど整っていて、青白い肌と切れ長の目元が人間離れした雰囲気を漂わせていた。けれど、ただ倒れているだけなのに、どこか危うい冷たさを感じる。
「…少し、力を使いすぎたようです。」
声は穏やかだが、低い温度が漂う。感情が抜け落ちているようにも聞こえた。
「力って…魔法使いか。まあ、いいや。とりあえず立てる?」
アリアが手を差し出すと、青年はふっと目を細めた。
「いえ、その必要は――」
拒絶しようとした瞬間、アリアが躊躇なく彼の手を掴んだ。ひんやりと冷たい感触が伝わる。
「冷たっ。魔力ってこんなもんなの?」
青年の目が驚きに見開かれる。
「…どうして、君は……」
彼の言葉が途切れる。その瞳は微かに揺れていた。
アリアは首を傾げる。
「どうしてって、あんたが倒れてたから助けるだけじゃん。それ以外に理由なんてある?」
「…普通、私に触れれば――いや、それは今はいいです。」
青年は視線をそらしながら呟いた。まるで、自分自身が信じられないかのように。
「なんかよく分かんないけど、ほら、つかまって!街まで送ってやるから。」
「…ありがとうございます。」
握られた手がわずかに震えていることに、アリアは気づかなかった。イアンと名乗る青年の胸の内に広がっていたのは、ただひとつの疑問。
――なぜ、この人だけが凍らないのだろう。
剣と魔法の世界は、今日もどこかで誰かが倒れ、また誰かが助け起こしている。そして、それが新たな冒険の始まりになることもある。
アリアはまだ知らなかった。自分が手を差し伸べたその青年が、ただの魔法使いではないことを。そして、この出会いが自分自身の物語を大きく変えることになることを。
ステータス画面:
アリア・マーウェラ
• レベル: 7
• 職業: 剣士(盾なし)
• 体力: 20
• 魔力: 0
• 力: 18
• 敏捷: 14
• 器用: 10
• 知力: 8
• 精神: 10
スキル一覧
• 剣の扱い Lv.2
• 投擲 Lv.1
• 身体強化 Lv.1
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イアン
• レベル: 12
• 職業: 魔法使い(呪術特化)
• 体力: 10
• 魔力: 38
• 力: 6
• 敏捷: 10
• 器用: 12
• 知力: 24
• 精神: 22
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