魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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6章 魔力異常

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翌朝、アリアはギルドの掲示板の前で腕を組んでいた。いつものように、興味津々で新しい依頼を物色している。

「さて、今日はどれにしようかなー。」

少し遅れてギルドに入ってきたイアンが彼女に声をかける。

「また『面白そうなもの』を探しているのですか?」

「当然じゃん!やっぱり、私たちならちょっと難しいやつでもいけると思うんだよね!」
アリアが笑顔を見せる。

「……その自信が、君の強みでもあり、弱みでもあります。」
イアンは冷静な口調で返すが、どこか呆れたような表情も浮かべていた。

「おっ、これなんかどう?」
アリアが指差したのは、「魔力異常の調査」という依頼だった。

「最近、森の奥にある湖の周辺で魔力の流れが不安定になり、魔物が活性化しているらしいんだって。」

イアンが依頼書に目を通しながら考え込む。

「……湖の周辺の魔力異常。何かが干渉している可能性が高いですね。」

「それならなおさら行くべきじゃん!こういうの、解決したら絶対気持ちいいし!」

「……君の単純さには、時折救われます。」
イアンは短くため息をつきながらも、依頼を引き受けることに同意した。

受付で手続きを終えた二人は、準備を整えて森の奥へと向かった。道中、アリアは剣を軽く振りながら笑顔で話しかける。

「湖かー、きっと景色も綺麗なんだろうな!」

「観光気分で行くべきではありません。」
イアンが少し厳しい声で返す。

「分かってるって!でもさ、せっかくだから楽しみたいじゃん。」

イアンはそれ以上何も言わなかったが、アリアの無邪気な言葉に、心の奥でわずかに和らぐものを感じていた。

森の奥へ進むにつれ、周囲の空気が次第に変わっていくのが分かった。木々が揺れるたびに微かな音が響き、どこからともなく漂う魔力の気配が肌を刺すようだった。

「なんか、ちょっと嫌な感じだね。」
アリアが剣を握り直し、辺りを警戒する。

「確かに。このあたりの魔力の流れは不安定で、何かが潜んでいる気配があります。」
イアンが杖を構えながら答える。

すると、木々の間から低い唸り声が聞こえた。音の方向に目を向けると、黒い煙のような魔物が姿を現した。その形状は不明瞭で、常に揺らめいている。

「何あれ、気持ち悪い!」
アリアが構える。

「気をつけてください。通常の魔物とは異なる存在のようです。」
イアンが静かに言う。

魔物は不気味な音を立てながらアリアに向かって突進してきた。彼女は即座に剣を振り下ろすが、その刃は黒い煙に触れると弾かれるようにして勢いを失った。

「何これ!?効いてないじゃん!」

「物理攻撃が通じない……!」
イアンが素早く杖を構え、氷の魔法を放つ。しかし、魔物は氷を避けるように動き、さらなる攻撃を仕掛けてきた。

「距離を取ってください!」
イアンの声に従い、アリアは後退する。

「じゃあ、どうすればいいのさ!」
彼女が焦る中、イアンは冷静に詠唱を続けた。

「炎の魔力を付与します。一瞬でも動きを止める隙を作る必要があります。」

イアンの指示通り、アリアは剣を振り上げた。次の瞬間、イアンが放った魔法が剣に触れ、青白い炎が刃を包み込んだ。

「すごいじゃん、これ!」
アリアがその炎を纏った剣で一気に魔物を斬り裂くと、黒い煙は瞬く間に消え去った。

「やった!」
彼女が息を整えながら振り返る。

「……見事です。」
イアンが静かに言った。

その後、二人は慎重に湖へと近づいた。湖の水面は美しく輝いているが、周囲には不穏な魔力の気配が漂っている。

「ここが原因っぽいね。」
アリアが辺りを見渡す。

「この湖そのものが、何らかの力に干渉されています。」
イアンが目を細めながら分析する。

そのとき、水面が不自然に揺れ、大きな影が現れた。

「また来るみたいだね!」
アリアが剣を構える。

「準備してください。これは容易ではありません。」
イアンが杖を握り直す。

湖の中央から現れたのは、巨大な蛇のような魔物だった。その瞳は赤く輝き、体全体が漆黒の鱗に覆われている。

「さあ、やるよ!」
アリアが前に出て、再び冒険が始まった。
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