魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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11章 呪い

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翌朝、街のすぐ近くの草原にユーゴとイアン、アリアが集まっていた。広い空間には魔法陣が描かれ、その周囲にはアリアが集めてきた材料が配置されている。

「準備は整ったな。」

ユーゴが静かに言葉を発し、イアンを見つめる。

「はい。術式の発動は私が行います。」

イアンが杖を握りしめて答えた。その声には静かな決意が込められている。

「私も手伝う。君一人では負担が大きすぎるだろう。」

ユーゴがイアンの隣に立ち、魔法陣の一角に立つ。

「私は何をすればいい?」

アリアが少し緊張した様子で尋ねた。

「君は周囲を警戒し、術式が妨害されないように守ってくれ。それが最も重要な役割だ。」

イアンが優しい口調で答えると、アリアは大きく頷いた。

「分かった!全力で守るから安心して!」

彼女は剣を握り直し、魔法陣の外周に立った。

イアンとユーゴは同時に杖を掲げ、低い声で呪文を唱え始めた。

魔法陣がゆっくりと光を帯び始め、周囲の空気が静かに震える。

アリアはその様子を見守りながら、周囲の警戒を怠らないようにしていた。

「なんだか、空気がピリピリしてきた……。」

彼女が呟いたその瞬間、遠くから低い唸り声が響いた。

「来るぞ!」

アリアが剣を抜き、音がした方向に身構える。

茂みから現れたのは、黒い毛並みを持つ狼型の魔物だった。それは先日の魔狼よりもさらに巨大で、赤い瞳が魔力を放っている。

「また魔物か……!でも、ここは私が抑えなきゃ!」

アリアが剣を構えて突進する。

魔物が鋭い爪を振り上げて襲いかかってきたが、アリアは「選ばれし刃」でその一撃を受け止めた。剣が青白い光を放ち、魔物の爪を弾く。

「ふんっ!」

アリアは反撃の一撃を放ち、魔物の肩を切り裂いた。だが、その背後からさらに二体の魔物が現れる。

「まだ来るの!?本当に厄介だな!」

彼女は疲労を感じつつも、気合を入れて二体目の魔物に立ち向かう。

一方で、魔法陣の中ではイアンとユーゴが呪文を唱え続けていた。

「魔力の流れが乱れている……。」

イアンが低くつぶやく。

「外の影響だろう。アリアが抑えている間に術式を完成させるぞ。」

ユーゴが冷静に答える。

イアンは必死に魔力を制御し、呪文を途切れさせないよう集中した。

アリアは三体目の魔物を倒し、荒い息を吐きながら剣を地面に突き刺して立ち止まった。

「さすがに……きつい……。」

その瞬間、茂みの奥から新たな気配が現れた。

それは今までの魔物とはまったく異なる、黒いローブをまとった人型の存在だった。彼の顔はフードで隠れているが、放たれる魔力の圧力が尋常ではない。

「何者……?」

アリアが剣を握り直し、身構える。

「その剣……よこせ。」

低く響く声がアリアを圧倒する。

「やっぱり、選ばれし刃を狙ってるんだ!」

彼女が剣を振りかざし、相手に向かって走り出す。

だが、そのローブの男は一切動くことなく、手をかざした。次の瞬間、アリアの体が何かに拘束されるような感覚に襲われた。

「な、何……!?」

見えない鎖が彼女の体を締め付け、動きを封じている。

「お前ごときでは、この剣の持つ力を理解することはできない。剣をこちらに渡せば、その命は保証しよう。」

男の言葉に、アリアは強い意志を込めて叫んだ。

「渡すわけないでしょ!これは私の剣だ!」

彼女が全力で力を振り絞ると、剣が再び青白い光を放ち、拘束を断ち切った。

「そうか。ならば、お前ごと滅するまでだ。」

男が再び手をかざしたその瞬間、魔法陣から強い光が放たれた。

「アリア、離れて!」

イアンの声が響き、魔法陣の力が男を弾き飛ばすように周囲を覆った。

「この力……封印術か。」

男が舌打ちしながら立ち上がると、再び茂みの中に姿を消した。

アリアは剣を下ろし、膝をつきながら荒い息を吐いた。

「なんとか……守れた……。」

イアンとユーゴは術式を完成させ、静かに光を放つ魔法陣の中央に立っていた。

「イアン、呪いの制御はどう?」

アリアが疲れた声で尋ねると、イアンは小さく頷いた。

「封印術は成功した。今のところ、暴走の兆候は抑えられている。」

「よかった……。」

アリアは安心したように笑い、地面に座り込んだ。
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