魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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11章 呪い

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翌朝、アリアとイアンはギルドの書庫にいた。街を守るための結界に関する記録や封印術の知識を求め、ユーゴと共に資料を調べていた。

ギルドの書庫は膨大な本や巻物で満たされていたが、その内容を理解できる者は限られていた。文字を読めるのは基本的に魔法使いや神官だけであり、アリアも例外ではなかった。

「この術式は……イアンの力を封じるには、かなり高度なものが必要だな。」
ユーゴが古びた書物を指でなぞりながらつぶやく。

アリアはその横で難しそうな顔をして、目を細めながら本のページをめくる。
「えっと……このページ、何が書いてあるの?」
彼女は内容をまったく理解できていない様子だった。

「剣士に読解力を求めるのは酷というものだな。ここは我々が進める。君は剣を鍛えるのに専念すればいい。」
ユーゴが軽く笑いながら答える。

「そ、そうだよね!やっぱりイアンとかユーゴに任せた方が良さそう。」
アリアが頭を掻きながら苦笑する。

「アリア、術式の実行には準備が必要だ。その間、君が周囲を警戒する役割を担うべきだろう。」
イアンが真面目な表情で提案する。

「警戒ね、任せといて!私にできることがあるなら何でもやるよ。」
アリアが笑顔で答えると、イアンは静かに頷いた。

書庫での調査が進む中、ユーゴが一冊の書物を取り出し、イアンに手渡した。
「これだ。『制御の封印』に関する術式だ。呪いの発動を防ぐための一時的な封印を施す方法が記されている。」

「この術式は……かなり複雑だな。」
イアンが書物を見つめ、僅かに眉をひそめる。

「君ならできるだろう。だが、この術式を完成させるには魔法陣の展開に必要な素材がいくつかある。アリア、これを集めてきてくれるか?」

「もちろん!何を集めればいいの?」
アリアが身を乗り出す。

「結界石を中心に、魔力を通す導線となる水晶片、そして浄化作用のある聖樹の葉だ。いずれもこの街の周辺で手に入るはずだ。」
ユーゴがメモに材料を書き込んだ。それをアリアに渡しながら付け加える。
「文字が読めなくとも、君なら目で見て覚えられるだろう。」

「うん、しっかり覚えるよ!イアン、後は任せて!」
アリアは笑顔で胸を叩いた。


アリアはギルドを出て、材料集めのために街を歩き回った。街の商人や職人たちは、彼女の頼みに快く応じてくれる。

「結界石ならあの店だよ!お前さんもいろいろやるなあ!」
「聖樹の葉?それなら教会の裏庭で見つかるはずだ。」

アリアは街中を駆け回り、次々と必要なものを集めていった。
その合間に彼女は自分の文字の読めなさを実感し、少しだけ気恥ずかしい気持ちになる。

「イアンとかユーゴみたいに文字が読めたら、もっと役に立てるのかな……。」

彼女は小さく呟いたが、すぐに気を取り直して材料を袋に詰め込んだ。
「ま、今はこれで十分!あとは体を動かして頑張るだけだもんね!」


材料を抱えてギルドの書庫に戻ったアリアを見て、ユーゴは満足そうに頷いた。

「早かったな。君の行動力には驚かされる。」

「えへへ、褒められると嬉しいね。ほら、全部集めてきたよ!」

彼女が材料をテーブルに並べると、イアンがそれを見て静かに微笑んだ。

「ありがとう、アリア。これで術式を準備できる。」

「いやいや、お礼を言うのは私の方だって!イアンが呪いを抑えられたら、もっと安心して冒険できるしね!」

アリアの明るい言葉に、イアンは少しだけ表情を和らげた。
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