魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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14章 双月の遺跡

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双月の遺跡の奥へと進むアリアとイアン。冷たい風が二人の頬をかすめ、壁に刻まれた古代文字が青白い光を放っている。次の部屋に足を踏み入れた瞬間、空間全体が一変した。

「また雰囲気が変わったね……。」
アリアが警戒を強めながら剣を握りしめる。

部屋は広大な空間で、無数の柱が立ち並んでいた。それぞれの柱には奇妙な模様が彫られ、微かに光っている。

「ここも何か仕掛けがあるな。」
イアンが柱の一つに近づきながら言った。

「これ……ただの装飾じゃないよね?」
アリアが剣を下げて柱を見上げると、突然、部屋全体が激しく揺れた。

柱の模様が一斉に輝き、空中に魔法陣が現れる。次の瞬間、柱の頂点から炎、氷、雷の魔法が放たれ、部屋全体を襲い始めた。

「ちょっ、何これ!?攻撃してきてる!」
アリアが叫びながら避ける。

「柱が部屋全体を制御しているようだ。このままでは魔法が止まらない。」
イアンが杖を構えながら答える。

「どうすればいいの?」
アリアが剣を構え直して問いかける。

「柱そのものを破壊するのは無理だ。だが、柱の模様が魔法の発生源になっているようだ。その模様を何とかしろ。」

「了解!任せて!」
アリアが剣を握り直し、一番近い柱に向かって駆け出した。


アリアが剣を振り上げ、模様に一撃を加えると、青白い光が大きく揺らぎ、魔法の勢いが一時的に弱まった。

「やった!これでいいの?」
アリアが振り返る。

「その調子だ。全ての柱を止める必要がある。」
イアンが冷静に答えながら、別の柱を氷の魔法で覆い尽くした。模様が凍りつき、その柱からの魔法が完全に止まる。

「こっちも止めたぞ。あと三本だ。」

「よーし、どんどん行こう!」
アリアが柱を目指して走り出す。

しかし、柱を止めるたびに、残った柱から放たれる魔法の威力が増していく。


「くっ、どんどん威力が上がってる!」
アリアが炎の魔法を間一髪で避ける。

「攻撃が集中している。君が狙われている間に、私が最後の柱を止める!」
イアンが杖を振り、残りの柱に向かって駆け出す。

「分かった!じゃあ、私が引きつけるよ!」
アリアは剣を振りかざし、柱の周囲を駆け回りながら攻撃をかわし続けた。

イアンはその隙に魔法を集中させ、最後の柱の模様を凍結させる。

「これで終わりだ……!」

イアンの魔法が模様を完全に封じた瞬間、部屋全体が静寂に包まれた。


「ふぅ……何とかなったね!」
アリアが息を切らしながら剣を収める。

「柱の魔法を止めたことで、次の部屋への道が開くはずだ。」
イアンが杖を収めながら答える。

柱の間から現れた扉がゆっくりと開き、その奥に青白い光が漏れ出ている。

「いよいよ、鍵がある場所かもね!」
アリアが期待を込めて前を見つめる。

「油断はするな。まだ何が待ち受けているか分からない。」
イアンが冷静に告げると、アリアは頷き、剣を握り直した。

二人は扉の奥へと進んでいった。その先には、遺跡の最深部が待ち受けている。
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