魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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20章 街の地下遺跡

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遺跡の中心部で中継石を発見したアリアとイアン。剣を通じて中継石と街の結界を繋ぎ直す儀式が始まろうとしていた。しかし、それは新たな試練の始まりでもあった。

中継石の周囲に刻まれた魔法陣が微かに輝き始める。イアンが杖を掲げ、慎重に魔力を注いでいくと、石が放つ光が徐々に強まった。

「アリア、剣を魔法陣の中心に置け。」

イアンの指示に従い、アリアは剣を石台の中央に置いた。その瞬間、剣と中継石を繋ぐように青白い光が走り、空気が張り詰めた。

「これで……儀式が始まるの?」

「そうだ。ただ、魔力が安定するまで時間がかかる。この間、何が起きてもおかしくない。」

イアンの言葉に、アリアは剣を握りしめ、周囲を警戒する。

「分かった。何が来ても守り抜くよ。」

儀式が進むにつれ、遺跡全体が振動を始めた。壁に刻まれた古代文字が淡く光り、床に描かれた魔法陣からは冷たい風が吹き上がる。

「イアン、これ……何か来る!」

「察知している。準備しろ。」

イアンがそう言った瞬間、遺跡の奥から黒い影がゆっくりと現れた。それは先ほど倒したゴーレムとは異なり、魔力の塊そのものが具現化したような存在だった。

「また魔物……!」

アリアが予備の剣を構えると、影はゆっくりと形を変え、人型の姿を取った。その赤く光る目が、二人を見据える。

「剣を通じて流れる力を止めろ……さもなくば、お前たちを滅ぼす。」

低い声が空間に響き渡る。その敵意に満ちた言葉に、アリアは予備の剣を握り直し、前に進み出た。

「絶対に止めない!この剣と街を守るために、私は負けない!」

魔物が手を掲げると、闇の波動がアリアとイアンに襲いかかった。イアンは即座に防御魔法を展開し、闇の攻撃を弾く。

「アリア、攻撃を仕掛けろ!俺が防ぐ!」

「分かった!」

アリアが前に飛び出し、剣を振り下ろす。剣の光が闇の体を切り裂くが、魔物は再び形を変え、背後から攻撃を仕掛けてきた。

「くっ……まだ形を変えるの!?」

「奴は魔力そのものだ。普通の魔物とは違う!」

イアンが冷気の魔法を放ち、魔物の動きを封じようとするが、その体はすぐに霧のように崩れ、別の場所で再び現れる。

「倒す方法が分からない……でも、やるしかない!」

アリアは再び剣を握り直し、冷静に敵の動きを見極め始めた。

戦いが激化する中、台座に置かれたアリアの剣が再び青白い光を放ち始めた。その光が一瞬強まり、アリアの体を包み込む。

「この力……!」

「アリア、剣が君に何かを伝えているのかもしれない。感じ取れ!」

イアンの声に促され、アリアは剣をじっと見つめた。すると、剣が彼女の心に語りかけるような感覚を与えた。

(この魔物を……光で断てる……!)

直感的にそう感じたアリアは台座にあった剣を掲げ、その光を魔物に向けて放った。剣から放たれた一筋の光が魔物を貫き、その体を一瞬で消滅させた。

「やった……!」

アリアが息を整えながら呟く。その様子を見たイアンは静かに頷いた。

「剣が君に力を与えた。これで儀式を再開できる。」

再び剣を石台に置くと、光が中継石全体に広がり、遺跡の魔法陣が完全に活性化した。空間全体が明るく輝き、張り詰めていた空気が一気に和らぐ。

「これで……街の結界が安定するはずだ。」

イアンが杖を下ろしながら呟く。アリアは剣を手に取り、安堵の表情を浮かべた。

「本当に……終わったんだね。」

「そうだ。ただ、これで全てが解決したわけではない。この剣と君にはまだ役目があるはずだ。」

その言葉に、アリアは真剣な表情で頷いた。

「うん。どんなことがあっても、この剣と一緒に戦い続けるよ。」
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