魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊

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32章 カルディナ古代遺跡

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ローデンのギルドホールはいつものように活気に溢れていた。アリアたち三人が遺跡から持ち帰った情報を報告するため、ユーゴのもとを訪れた。

「遺跡で手に入れたこれが次の手がかりです。」

イアンが丁寧に封印されていた巻物を差し出す。ユーゴはそれを受け取り、目を通しながら低く唸った。

「ふむ……『次なる鍵は光と影の交わる地に眠る』か。詩的な表現だが、具体的な座標も記されている。」

「それって、またどこかの遺跡?」

アリアが訊ねると、ユーゴは頷きながら説明を続けた。

「そうだ。ただし、今回は『廃墟』というよりも山岳地帯にある洞窟だと考えられる。この文脈から察するに、ヴァリオスが次に狙う場所も同じだろう。」

「また山登りか……。」

アリアがため息をつくと、ルイスが軽く肩をすくめた。

「冒険者なら山登りくらい慣れろ。それに、今回はあの遺跡よりは危険が少ないはずだ。」

「少ないはず……って、フラグじゃないよね?」

アリアが疑いの目を向けるが、ルイスは気にする素振りもなく地図を見つめている。

「まあ、次の準備を整える時間はある。無理せず進めていけばいい。」

イアンが静かに言うと、アリアは軽く笑顔を浮かべて頷いた。

「そうだね、ちゃんと準備してから出発しよう。」


その日、アリアは久しぶりに街の市場を歩いていた。新しい家に必要なものを買い揃えるため、イアンとともに店を回る。

「この鍋、使いやすそうだね。」

アリアが一つの鍋を手に取りながら言うと、イアンは真剣にそれを見つめた。

「悪くはないが、耐久性に欠ける。こっちのほうがいいだろう。

イアンが別の鍋を指し示すと、アリアは少し驚いた顔をして笑った。

「イアンって、こういうの意外と詳しいよね。」

「生活に必要なものは、母親が教えてくれた。昔の話だがな。」

その言葉に、アリアは一瞬だけ目を伏せたが、すぐに明るい声で言った。

「じゃあ、イアンが選んでくれた鍋にするよ。家事スキルも教えてもらおうかな?」

「……無茶はするな。お前が台所で剣を振るう姿は想像したくない。」

その返しに、アリアは大笑いした。

夜、ギルドの仲間たちと共に簡単な作戦会議が行われた。アリアたちが遺跡での成果を報告すると、ギルドのメンバーは感嘆の声を上げた。

「お前たち、すごいじゃないか! 次もよろしく頼むぜ!」

明るく笑いながら声をかけてきたのは、ギルドの古参メンバーのカイルだった。アリアは少し照れくさそうに返事をする。

「まあ、すごいっていうより……ただ必死だっただけだよ。」

「必死にやれるやつが一番すごいんだ。」

カイルがそう言うと、周囲のメンバーもうなずきながら拍手を送った。その中で、イアンは静かにアリアを見守っていた。

その夜、新しい家に戻ったアリアたちは、次の冒険の準備を進めながら静かな時間を過ごしていた。

「イアン、地図の確認は終わった?」

アリアがテーブル越しに声をかけると、イアンは短く頷いた。

「終わった。道中に危険な地形は少ないが、魔物が多い区域を通る必要がある。」

「了解。それなら、魔物対策の道具も多めに用意しないとね。」

アリアが剣を磨きながら言うと、ルイスが軽く笑いながら加わった。

「俺たち三人なら、大抵のことは乗り越えられるだろう。だが、油断だけはするなよ。」

「ルイスが言うと説得力あるけど……何かフラグに聞こえるんだよね。」

アリアが苦笑いを浮かべると、イアンもわずかに口元を緩めた。
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