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36章 セイントリヴァー
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次の結界を越えた瞬間、三人は息を呑んだ。
そこに広がっていたのは、まるで別世界のような光景だった。高い天井には無数の光の粒が漂い、それらがまばゆい白い柱を優しく照らしている。磨かれた石畳には、繊細な紋様が浮かび上がり、透明な水が小川のように流れていた。空間全体からは厳かで温かい光が放たれている。
「……綺麗……。」
アリアが足を止め、感嘆の声を漏らした。剣を持つ手が自然と緩み、彼女の表情は驚きと感動に満ちている。
「確かに見惚れるほどの景色だな。だが、この静けさが逆に不気味だ。」
ルイスが眉をひそめながら周囲を警戒する。普段の軽口は影を潜め、その目には緊張が宿っていた。
イアンは、二人と少し距離を取りながら静かに歩いていた。杖を握る手は強張り、足元がふらついている。
「イアン、大丈夫?」
アリアが振り返ると、イアンは額に手を当て、小さく息を吐いていた。その顔は青ざめ、いつも冷静な彼の様子とは明らかに違っている。
「……平気だ。ただ……ここは……神聖魔法の力が濃すぎる。」
その言葉にアリアの眉が曇る。
「少し休んだ方がいいよ。無理しないで。」
「……いや、大丈夫だ。ここで立ち止まるわけにはいかない。」
そう言いながらも、イアンの声はどこか苦しげだった。
ルイスが剣を肩に乗せ、軽くため息をつく。
「お前、いつも一人で背負いすぎだ。俺たちがいるんだから、少しは頼れ。」
その言葉にイアンは小さく笑みを浮かべた。
「……分かってる。でも、この場所では……俺が試される気がするんだ。」
「試される?」
アリアが問い返すと、イアンはふとアリアを見つめた。
「もし、俺が迷ったり……倒れたりしたときは……お前が支えてくれ。」
イアンのその言葉に、アリアの心臓が一瞬早く跳ねた。視線を外し、ぎこちなく頷く。
「……もちろんだよ。私たち、仲間なんだから。」
イアンは微かに頷くと、再び前を向いて歩き始めた。その後ろ姿を見つめながら、アリアはそっと自分の手を握りしめた。
奥へと進むと、巨大な光の球体が浮かぶ祭壇が現れた。
その光は柔らかく、空間全体を包み込むように広がっているが、どこか威圧感を伴っていた。球体の表面には複雑な模様が流れるように刻まれ、そこから放たれる力が空間を震わせている。
「……これが、試練の場か。」
イアンが立ち止まり、杖を強く握りしめた。
「イアン……。」
アリアが心配そうに声をかけようとしたが、イアンは手を挙げてそれを制した。
「ここで試されるのは、きっと俺だ。魔族の血を引く俺が、この神聖な力に触れなければならない。」
「でも、無茶はしないで! もし危なくなったら、すぐに言ってね。」
アリアの言葉に、イアンは一瞬目を伏せた。そして、振り返ると少し微笑む。
「お前がそう言うなら……俺も倒れるわけにはいかないな。」
アリアの頬が赤く染まるのを見て、ルイスが軽く咳払いをした。
「よし、いい雰囲気はそこまでだ。イアン、もしヤバそうなら俺たちが何とかする。お前はお前で全力を出せ。」
「……分かった。行く。」
イアンが祭壇に近づくと、光の球体が強く輝き始めた。
光が収まると、そこにはイアンと瓜二つの姿が立っていた。
髪も目も杖を握る仕草も同じだが、その目には冷たい光が宿っている。彼は静かに口を開いた。
「お前は何者だ?」
その問いに、イアンは眉をひそめる。
「……俺自身にそんなことを聞かれるとはな。」
「お前は魔族の血を呪い、孤独を選んだ。それが本当の姿だろう?」
光のイアンは、さらに冷たい声で続けた。
「なぜ人間の世界に関わろうとする? その血が、彼らにとって異物だということは分かっているはずだ。」
その言葉に、イアンは唇を噛む。
「確かに……俺は人間の世界で異物だ。だが、俺を信じてくれる奴がいる。俺を……必要としてくれる奴が……。」
イアンがそう言いかけたとき、ふと目の端にアリアの姿が浮かんだ。光の壁越しに、彼女は真剣な目でイアンを見つめている。
「イアン、あなただけで戦わないで! 私もいるよ!」
その声に、イアンの心が揺れた。
「……俺は、一人じゃない。アリアが、ルイスが……俺を信じてくれるなら……!」
イアンが杖を振り上げると、冷たい氷が光のイアンを包み込み、空間が震えた。
「迷いを越えたか……進むがいい。」
光のイアンは微笑むと、消え去った。
光が収まり、イアンが静かに祭壇の前に膝をついた。
「……終わったのか……。」
アリアとルイスが駆け寄る。
「イアン!」
アリアが思わずイアンの手を握りしめた。その手の温かさに、イアンは驚いたように顔を上げる。
「……ありがとう、アリア。」
アリアも気まずそうに手を離し、視線をそらした。
「べ、別に……仲間だから当然でしょ!」
ルイスが苦笑しながら立ち上がるイアンを支える。
「これで準備は整ったな。次は、ヴァリオスの番だ。」
三人は互いに頷き合い、聖域の奥へと歩き出した。
そこに広がっていたのは、まるで別世界のような光景だった。高い天井には無数の光の粒が漂い、それらがまばゆい白い柱を優しく照らしている。磨かれた石畳には、繊細な紋様が浮かび上がり、透明な水が小川のように流れていた。空間全体からは厳かで温かい光が放たれている。
「……綺麗……。」
アリアが足を止め、感嘆の声を漏らした。剣を持つ手が自然と緩み、彼女の表情は驚きと感動に満ちている。
「確かに見惚れるほどの景色だな。だが、この静けさが逆に不気味だ。」
ルイスが眉をひそめながら周囲を警戒する。普段の軽口は影を潜め、その目には緊張が宿っていた。
イアンは、二人と少し距離を取りながら静かに歩いていた。杖を握る手は強張り、足元がふらついている。
「イアン、大丈夫?」
アリアが振り返ると、イアンは額に手を当て、小さく息を吐いていた。その顔は青ざめ、いつも冷静な彼の様子とは明らかに違っている。
「……平気だ。ただ……ここは……神聖魔法の力が濃すぎる。」
その言葉にアリアの眉が曇る。
「少し休んだ方がいいよ。無理しないで。」
「……いや、大丈夫だ。ここで立ち止まるわけにはいかない。」
そう言いながらも、イアンの声はどこか苦しげだった。
ルイスが剣を肩に乗せ、軽くため息をつく。
「お前、いつも一人で背負いすぎだ。俺たちがいるんだから、少しは頼れ。」
その言葉にイアンは小さく笑みを浮かべた。
「……分かってる。でも、この場所では……俺が試される気がするんだ。」
「試される?」
アリアが問い返すと、イアンはふとアリアを見つめた。
「もし、俺が迷ったり……倒れたりしたときは……お前が支えてくれ。」
イアンのその言葉に、アリアの心臓が一瞬早く跳ねた。視線を外し、ぎこちなく頷く。
「……もちろんだよ。私たち、仲間なんだから。」
イアンは微かに頷くと、再び前を向いて歩き始めた。その後ろ姿を見つめながら、アリアはそっと自分の手を握りしめた。
奥へと進むと、巨大な光の球体が浮かぶ祭壇が現れた。
その光は柔らかく、空間全体を包み込むように広がっているが、どこか威圧感を伴っていた。球体の表面には複雑な模様が流れるように刻まれ、そこから放たれる力が空間を震わせている。
「……これが、試練の場か。」
イアンが立ち止まり、杖を強く握りしめた。
「イアン……。」
アリアが心配そうに声をかけようとしたが、イアンは手を挙げてそれを制した。
「ここで試されるのは、きっと俺だ。魔族の血を引く俺が、この神聖な力に触れなければならない。」
「でも、無茶はしないで! もし危なくなったら、すぐに言ってね。」
アリアの言葉に、イアンは一瞬目を伏せた。そして、振り返ると少し微笑む。
「お前がそう言うなら……俺も倒れるわけにはいかないな。」
アリアの頬が赤く染まるのを見て、ルイスが軽く咳払いをした。
「よし、いい雰囲気はそこまでだ。イアン、もしヤバそうなら俺たちが何とかする。お前はお前で全力を出せ。」
「……分かった。行く。」
イアンが祭壇に近づくと、光の球体が強く輝き始めた。
光が収まると、そこにはイアンと瓜二つの姿が立っていた。
髪も目も杖を握る仕草も同じだが、その目には冷たい光が宿っている。彼は静かに口を開いた。
「お前は何者だ?」
その問いに、イアンは眉をひそめる。
「……俺自身にそんなことを聞かれるとはな。」
「お前は魔族の血を呪い、孤独を選んだ。それが本当の姿だろう?」
光のイアンは、さらに冷たい声で続けた。
「なぜ人間の世界に関わろうとする? その血が、彼らにとって異物だということは分かっているはずだ。」
その言葉に、イアンは唇を噛む。
「確かに……俺は人間の世界で異物だ。だが、俺を信じてくれる奴がいる。俺を……必要としてくれる奴が……。」
イアンがそう言いかけたとき、ふと目の端にアリアの姿が浮かんだ。光の壁越しに、彼女は真剣な目でイアンを見つめている。
「イアン、あなただけで戦わないで! 私もいるよ!」
その声に、イアンの心が揺れた。
「……俺は、一人じゃない。アリアが、ルイスが……俺を信じてくれるなら……!」
イアンが杖を振り上げると、冷たい氷が光のイアンを包み込み、空間が震えた。
「迷いを越えたか……進むがいい。」
光のイアンは微笑むと、消え去った。
光が収まり、イアンが静かに祭壇の前に膝をついた。
「……終わったのか……。」
アリアとルイスが駆け寄る。
「イアン!」
アリアが思わずイアンの手を握りしめた。その手の温かさに、イアンは驚いたように顔を上げる。
「……ありがとう、アリア。」
アリアも気まずそうに手を離し、視線をそらした。
「べ、別に……仲間だから当然でしょ!」
ルイスが苦笑しながら立ち上がるイアンを支える。
「これで準備は整ったな。次は、ヴァリオスの番だ。」
三人は互いに頷き合い、聖域の奥へと歩き出した。
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