処刑を望んだ悪役令嬢ですが、幼なじみの騎士が手放してくれません

藤原遊

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第2章 幼なじみ

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辺境伯家は、六年の歳月をものともせず、何ひとつ変わっていなかった。
その間に彼らに妹が生まれていたけど、エリシア様そっくりで可愛らしい子どもだった。辺境伯家の子どもと言っても7歳までは稽古をしないらしく、エリシア様と一緒にいるらしい。

ルシアン様は変わらず優しく、剣を帯びる姿は以前よりも逞しいのに、その眼差しは昔と同じ温かさを湛えている。
エリシア様は穏やかに微笑み、私が礼を言うと「好きなだけいて良いのよ」とさらりと言ってくれる。
頼もしい辺境伯リシェル様とカイ様も、「此処は家族同然だ」と迎えてくださり、胸の奥がじんと熱くなった。

そして何よりも――。
毎日のように「稽古に行こう!」と誘ってくるのは、やはりユリウスとエリアスだった。
二人は幼い頃と同じように元気いっぱいで、けれど今では剣に魔力をまとわせ、煌めく光や風を刃に宿している。その姿は、すでに未来の騎士を思わせるものだった。

「アメリアもやってみて!」
「ほら、君ならきっとできる!」

言われるがままに、自分の魔法を剣へ流し込む。
ぱちりと雷光が散り、剣先から火花が走った。
次の瞬間、ユリウスとエリアスは声を揃えて叫んだ。

「強い!」
「すごい! かっこいい!」

思わず剣を下ろす。
頬が熱くなるのを隠すように笑みを作ったが、胸の奥がくすぐったくて仕方がなかった。

「……そんなこと、言われたの初めてよ」

小さく呟いた声は、雷光よりも震えていた。

するとユリウスが、真剣そのものの瞳でこちらを見つめてくる。

「アメリアは、本当に強いんだ。僕、ずっと知ってた」

その言葉に心臓が跳ねる。
けれど返す暇もなく、隣でエリアスがにかっと笑った。

「ねえ! もっと一緒にやろうよ! アメリアと稽古するの、すっごく楽しいんだ!」

そのまま腕を掴んで引っ張ろうとする勢いに、慌てて声を上げた。

「ちょ、ちょっと待って! 私、体力はそんなにないのよ!」
「大丈夫だよ、僕らがついてるから!」
「休むのは後でいいよ!」

無邪気な双子のやり取りに、思わず苦笑が漏れる。
王都では居場所を失っていた力が、ここでは必要とされ、褒められ、求められる。

(……本当に、不思議な場所ね)

腕を引かれるままに再び剣を構えながら、胸の奥がほんのりと温かくなるのを、私はどうしても否定できなかった。
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