処刑を望んだ悪役令嬢ですが、幼なじみの騎士が手放してくれません

藤原遊

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第4章 危うい日々

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「……ユリウス様」

思わず声が硬くなる。胸の奥に熱が広がって、どうしても抑えきれないから。

「あなたが優しいから、皆が誤解するのです。……だから、もう私に構わないでください」

言った瞬間、ユリウスの瞳に影が差す。
その痛みが伝わるようで、喉が詰まりそうになる。
けれど私は顔を背け、侯爵令嬢の仮面を崩さず、背を向けた。

――これでいい。これで彼は自由になれる。
そう思おうとしたのに。

(……どうして、こんな言葉しか選べないの)

自分で突き放しておいて、心はひどく痛んだ。
自己嫌悪が胸をえぐり、夜更けに眠りも奪う。

それなのに――。

「アメリア様!」

朗らかな声で駆け寄ってくる影がある。

セラフィーナだ。
以前なら場違いなほど礼儀作法も乱れていたはずの伯爵令嬢が、今は可憐に礼を尽くし、それでも真っ直ぐ私を見上げてくる。

「わたくし、やっぱりアメリア様と一緒にいたいのです!」

めげない。何を言っても距離を詰めてくる。

(……どうして。あなたが攻略対象と恋を育まないと、物語は回らないのに)

ヒロインが正しく愛を得なければ、私と私に宿った魔族にセラフィーナが討たれる。
セラフィーナが私と魔族を殺せないと、そうでなければ国が滅ぶ――私は知っている。

けれど、彼女はあまりに屈託なく私を慕うばかりで。

(上手くいかない……どうして、こうも筋書き通りにならないの?)

完璧な侯爵令嬢を演じながら、その裏で私は追い詰められていた。
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