妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊

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第1章 転生令息の目覚め

1-1

まぶしい光で目が覚めた。
頭がズキズキする。昨日、徹夜で乙女ゲームの攻略ルートを見直していたせいか――。

……ん?

見知らぬ天蓋。やたら豪華なベッド。
壁にかかった肖像画が、どう見てもヨーロッパ中世。

そして、目の前の鏡の中で――俺は、知らないイケメンだった。

「……え、誰?」

白金の髪。薄青の瞳。
肌ツヤは高級ファンデ並み。寝癖すら貴族感。
これは……俺じゃない。
いや、待て。見覚えがある。この顔、確かに見たことが――

バッと脳裏に流れ込む、ピンクのUIとキャラボイス。
“乙女ゲーム『フローラル・メモリーズ』”の立ち絵。
そして画面端の名前。

――アラン・リステア。
攻略対象たちの前に立ちはだかる、最悪の悪役令息。

「おいおいおい……俺、よりによって敵サイドかよ!」

笑えねぇ。
よりによって、断罪イベントの常連キャラ。
しかも、そのイベントで泣くのは――俺の妹、リリィ。
金髪の完璧令嬢。けど、未来では“悪役令嬢”として断罪される運命。

プレイヤーだった俺が散々見た、あの悲惨なエンド。
断罪広場、ざわめく貴族、泣き崩れるリリィ。
そこに立っているのが、俺。処刑寸前の顔だ。

「いやいやいや、ふざけるなよ!? なんで俺が断罪ルート確定なの!」

心臓がバクバクしてる。
冷静になれ、俺。転生モノでは、まず情報整理だ。
状況分析、現実確認、そして生存戦略――

「リリィが泣く未来? そんなもん、絶対に阻止してやる!」

よし、目標決定。
妹を救うには、あのヒロインが王太子とくっつかなければいい。
つまり、シリウス殿下とフローラのルートを阻止すれば――!

「……あれ、でもそれ、どうやって?」

頭の中で、攻略チャートを思い出す。
選択肢A「見守る」→BAD END。
選択肢B「介入する」→妹巻き添えで爆散。

……詰んでない? これ。

いや、まだだ。
この手でフローラを先に“攻略”してしまえば、殿下は手を出せない。
理論上、完璧だ。
俺、天才かもしれない。

「よし、ヒロインを口説いて、妹を救う!」

──この時の俺はまだ知らなかった。
その行動が、なぜか王太子に口説かれるトリガーになることを。
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