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第5話 新しい家族と力の目覚め
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週末荷物を載せて和樹くんのご両親が住んでいる家に引っ越しをした。
何故急にそこまで踏み込んだ考えになれたのかと言うと、和樹くんが夢に出て来たと言うこともあるが、一人でこの家にいるのが辛すぎる。
和樹くんのご両親がどんな人達なのか正直不安もあるが、和樹くんが夢に出て来て、ウチのお父さんとお母さんはヤバいからやめとけと言っていなかったので、大丈夫だろうと言う判断になった。
木曜日にはゆかり達とカラオケに出掛けた。
まだ荷物の整理もあったので、夕方から少しの時間だけだったが、久々に大声で熱唱して気分もかなり良くなった。
持つべきものは親友だなぁ~と有り難く思っている。
和樹くんのお父さんには車の中で、私の電話番号とメールアドレスを渡した。
早速電話番号からLINEの登録もお母さんがしてくれて、何度かLINEのやり取りもしている。
金曜日になって、ようやく整理もひと段落。
テレビを見る時間も出来るようになった。
食事はどうしても作る気力がなくてコンビニに行ってしまう。
楽な事に逃げている。
ママが知ったら怒られそうだ。
折角料理も教えたのにって。
だが、女子高生はそんなに気力がある生物ではない。
楽をこよなく愛する種族だ。
そして、土曜日。
車に乗って和樹くんのご両親が来てくれた。
「美咲ちゃん。
おはよう。」
「おはよう。」
私と和樹くんのお母さんはLINEをしているので、すっかり仲良くなった。
LINE電話も何回かしているので、かなり距離感が縮まった。
私は2人にある提案をするつもりでいる。
それは2人の事を何と呼べば良いのかと言う事だ。
今日までずっと考えて来た。
お父さん、お母さん。
それが良いのか。
おじさん、おばさん。
が良いのか。
パパ、ママ。
が良いのか。
2人に選んで貰うつもりだ。
「2人に話があります。」
玄関先でいきなり切り出した。
「何?」
2人とも少し戸惑った感じの表情。
「今日から一緒に住むでしょ。
だから、まず敬語はやめるね。
それと、2人をどう呼べば良いのかをずっと考えてて。
2人に選んで欲しいの。
一つは、お父さん、お母さん。
あとは、おじさん、おばさん。
最後にパパ、ママ。
ちなみに私はパパとママって、自分の両親を呼んでた。
今、ここで決めて欲しいの。」
2人は正直戸惑っているように見える。
私は和樹くんが夢に出て来たことで、ちょっと覚悟を決めた所がある。
だか、2人はまだ他人の私に対して何処まで心開いているか未知数だ。
「そうね。
どうする?お父さん。」
「そうだな。
パパ、ママって柄でもないし。
お父さん、お母さんが良いんじゃないか?」
「そうね。
おじさん、おばさんはちょっとね。」
少し照れ臭そうだ。
「じゃあ、お父さん、お母さんで良い?」
「良いわよ。」
「良いぞ。」
呼び方で何かが変わるわけではないが、何かが始まる気はする。
「お父さん。
お母さん。
よろしくお願いします。」
「こちらこそ。
よろしくね。」
私も2人も照れ臭いのがわかる程どうして良いのかわからない位ぎこちない。
引っ越しが終わって。
夏休みも終わり。
学校が始まった。
またこうして学校に通う事が出来る事に感謝している。
学校には電車と徒歩で向かう。
相変わらず満員の電車は息苦しい。
学校に向かって歩いていると、ゆかりが私を見つけたらしく。
「美咲~。」叫びながら駆け寄って来た。
「恥ずかしいから大きな声で呼ばないでよ。」
歩いている人たちの注目を浴びてしまっているじゃないか。
担任の先生に会う為に職員室に入ると職員の皆さんから退院おめでとうと言う言葉をたくさん頂いた。
教室に入ると。
「美咲ちゃん。
退院おめでとう。」
「本当に良かったな!」
「みんなで心配してたんだよ。」
「また一緒に勉強出来るね。」
「ゆかりなんて美咲ちゃんが意識ないって聞いた時は死んだような顔してたよ。」
なんとも申し訳ない限りだ。
「私!復活しました!」
皆んなが喜んでくれたから私も元気な姿を見せたかったよ。
そして、朝の会が始まり。
「え~と、高崎が無事退院して来た。
これでクラス全員揃ったな。」
山内先生は男気があると言うか、いわゆる熱血先生である。
まだ若くて30歳。
大学を卒業して先生になり、別の学校の時に結婚して奥さんと子供さんの3人暮らし。
授業が始まった。
かなり休んでいたから不安しかないが、私はこの時ある違和感を覚えていた。
それは数学の授業の時だった。
「さて、この問題わかる奴は居るか?
ちょっと難しいぞ。」
先生が問題を黒板に書いている。
書いているんだけど、書いている途中で答えが判った。
不思議な感覚だ。
まだ書き終わっていないのに、何故答えが先に頭の中に思い浮かぶのか。
私は無意識に手を挙げていた。
「はい。」
「お!高崎。
解るか?
休んでたからな。
無理はしなくて良いぞ。」
私は立ち上がると黒板の前に立った。
チョークを手に取り思い浮かんでくる数式と解き方、そして答えへとスラスラと書いて行く。
まるで誰かが解説しているものを写しているかのような感覚だ。
「高崎。
凄いじゃないか。
正解だ。」
「あ、は、はい。
ありがとうございます。」
教室のクラスメイト達は私が解いて見せたので騒ついている。
これだけではない。
物理も英語も国語も社会も何もかも同じ現象が起こっている。
もしかして、夢の中で和樹くんが言っていた力ってこれの事?なのかもしれない。
だが、これだけではなかった。
放課後部活動に参加してのだが、私は公式テニス部
に所属している。
暫く休んでいたので身体も思うように動かないだろうと思っていたが、これも予想に反した結果になった。
サーブ練習の時。
「サーブ練習行くわよ。」
「はい。」
次々とサーブを打って交代を繰り返す。
私の番になり、ボールのトスを上げて落下してくるボールをラケットで叩くと言う自分の中で一番良いイメージのショットを打つ!
そうしたイメージでラケットを振り下ろすと、思った以上に上手く打てる。
いや、狙った位置にも確実に落ちているし、サーブのボール速度も凄まじい。
思わず皆んなが息を呑むと同時に私自身がこんな凄いサーブ今まで打った事が無いとすら思った。
「高崎さん。
す、凄いわね。」
3年生の先輩でキャプテンの前嶋先輩も驚いている。
それからも実戦形式の練習でも。
「それじゃあ、1セットづつ実戦形式の練習回して行くわよ。」
「はい。」
5つあるコートに全学年混ざって2組に分かれて試合形式の練習が始まった。
私の番が回って来た。
「お願いします。」
相手は2年生の高橋先輩。
相手側のサーブから始まる。
高橋先輩のサーブが始まった。
比較的威力のあるサーブを打って来た。
だが、私の身体の反応速度が可笑しい。
ボールの軌道を予測しているかのように目で追っているだけで身体が自然と動いてリターンを返したが、そのリターンしたボールは凄まじい速度で先輩の右隣に一直線に走り抜けた。
あまりの速さに高橋先輩は身動きすら出来ないほどだ。
「あ、……。」
思わず声が出てしまった。
何も無理はしていない。
反応出来るのだ。
ちょっと先輩達の視線が痛い。
「高崎さん。
凄く上達したのね。
と言うか、あの反応速度は……、え~と、どう理解すれば良いのかしらね。」
当然だと思う。
私の方こそビックリしている。
「高崎さん。
ちょっと。」
テニス部顧問の牧野先生が私の側に来て、私は皆んなから離れた場所に連れて行かれた。
「高崎さん。
退院して来てまだまも無いと思うだけど。
以前よりかなりと言うか凄く上達したわね。」
「あ~、そ、そうですね。
反射神経が良くなったような気がします。
脳の手術をしたので、それが影響しているのかも知れません。
担当の医師に聞いてみます。」
「そうね。
高校1年生の反応速度とは思えないもの。
その手術がきっかけでそうなっているならそれはそれで何だけど。」
「ちょっと私も気になるので調べて貰います。」
という事で、私のテニスプレーはもしかするとプロテニスプレイヤー並かも知れないと先生は言うのです。
それはそれで有難いけど。
この変化は気になる。
その日の放課後入院していた病院の担当医師米川省吾先生に連絡を取り、検診を含めて再び会うことになった。
何故急にそこまで踏み込んだ考えになれたのかと言うと、和樹くんが夢に出て来たと言うこともあるが、一人でこの家にいるのが辛すぎる。
和樹くんのご両親がどんな人達なのか正直不安もあるが、和樹くんが夢に出て来て、ウチのお父さんとお母さんはヤバいからやめとけと言っていなかったので、大丈夫だろうと言う判断になった。
木曜日にはゆかり達とカラオケに出掛けた。
まだ荷物の整理もあったので、夕方から少しの時間だけだったが、久々に大声で熱唱して気分もかなり良くなった。
持つべきものは親友だなぁ~と有り難く思っている。
和樹くんのお父さんには車の中で、私の電話番号とメールアドレスを渡した。
早速電話番号からLINEの登録もお母さんがしてくれて、何度かLINEのやり取りもしている。
金曜日になって、ようやく整理もひと段落。
テレビを見る時間も出来るようになった。
食事はどうしても作る気力がなくてコンビニに行ってしまう。
楽な事に逃げている。
ママが知ったら怒られそうだ。
折角料理も教えたのにって。
だが、女子高生はそんなに気力がある生物ではない。
楽をこよなく愛する種族だ。
そして、土曜日。
車に乗って和樹くんのご両親が来てくれた。
「美咲ちゃん。
おはよう。」
「おはよう。」
私と和樹くんのお母さんはLINEをしているので、すっかり仲良くなった。
LINE電話も何回かしているので、かなり距離感が縮まった。
私は2人にある提案をするつもりでいる。
それは2人の事を何と呼べば良いのかと言う事だ。
今日までずっと考えて来た。
お父さん、お母さん。
それが良いのか。
おじさん、おばさん。
が良いのか。
パパ、ママ。
が良いのか。
2人に選んで貰うつもりだ。
「2人に話があります。」
玄関先でいきなり切り出した。
「何?」
2人とも少し戸惑った感じの表情。
「今日から一緒に住むでしょ。
だから、まず敬語はやめるね。
それと、2人をどう呼べば良いのかをずっと考えてて。
2人に選んで欲しいの。
一つは、お父さん、お母さん。
あとは、おじさん、おばさん。
最後にパパ、ママ。
ちなみに私はパパとママって、自分の両親を呼んでた。
今、ここで決めて欲しいの。」
2人は正直戸惑っているように見える。
私は和樹くんが夢に出て来たことで、ちょっと覚悟を決めた所がある。
だか、2人はまだ他人の私に対して何処まで心開いているか未知数だ。
「そうね。
どうする?お父さん。」
「そうだな。
パパ、ママって柄でもないし。
お父さん、お母さんが良いんじゃないか?」
「そうね。
おじさん、おばさんはちょっとね。」
少し照れ臭そうだ。
「じゃあ、お父さん、お母さんで良い?」
「良いわよ。」
「良いぞ。」
呼び方で何かが変わるわけではないが、何かが始まる気はする。
「お父さん。
お母さん。
よろしくお願いします。」
「こちらこそ。
よろしくね。」
私も2人も照れ臭いのがわかる程どうして良いのかわからない位ぎこちない。
引っ越しが終わって。
夏休みも終わり。
学校が始まった。
またこうして学校に通う事が出来る事に感謝している。
学校には電車と徒歩で向かう。
相変わらず満員の電車は息苦しい。
学校に向かって歩いていると、ゆかりが私を見つけたらしく。
「美咲~。」叫びながら駆け寄って来た。
「恥ずかしいから大きな声で呼ばないでよ。」
歩いている人たちの注目を浴びてしまっているじゃないか。
担任の先生に会う為に職員室に入ると職員の皆さんから退院おめでとうと言う言葉をたくさん頂いた。
教室に入ると。
「美咲ちゃん。
退院おめでとう。」
「本当に良かったな!」
「みんなで心配してたんだよ。」
「また一緒に勉強出来るね。」
「ゆかりなんて美咲ちゃんが意識ないって聞いた時は死んだような顔してたよ。」
なんとも申し訳ない限りだ。
「私!復活しました!」
皆んなが喜んでくれたから私も元気な姿を見せたかったよ。
そして、朝の会が始まり。
「え~と、高崎が無事退院して来た。
これでクラス全員揃ったな。」
山内先生は男気があると言うか、いわゆる熱血先生である。
まだ若くて30歳。
大学を卒業して先生になり、別の学校の時に結婚して奥さんと子供さんの3人暮らし。
授業が始まった。
かなり休んでいたから不安しかないが、私はこの時ある違和感を覚えていた。
それは数学の授業の時だった。
「さて、この問題わかる奴は居るか?
ちょっと難しいぞ。」
先生が問題を黒板に書いている。
書いているんだけど、書いている途中で答えが判った。
不思議な感覚だ。
まだ書き終わっていないのに、何故答えが先に頭の中に思い浮かぶのか。
私は無意識に手を挙げていた。
「はい。」
「お!高崎。
解るか?
休んでたからな。
無理はしなくて良いぞ。」
私は立ち上がると黒板の前に立った。
チョークを手に取り思い浮かんでくる数式と解き方、そして答えへとスラスラと書いて行く。
まるで誰かが解説しているものを写しているかのような感覚だ。
「高崎。
凄いじゃないか。
正解だ。」
「あ、は、はい。
ありがとうございます。」
教室のクラスメイト達は私が解いて見せたので騒ついている。
これだけではない。
物理も英語も国語も社会も何もかも同じ現象が起こっている。
もしかして、夢の中で和樹くんが言っていた力ってこれの事?なのかもしれない。
だが、これだけではなかった。
放課後部活動に参加してのだが、私は公式テニス部
に所属している。
暫く休んでいたので身体も思うように動かないだろうと思っていたが、これも予想に反した結果になった。
サーブ練習の時。
「サーブ練習行くわよ。」
「はい。」
次々とサーブを打って交代を繰り返す。
私の番になり、ボールのトスを上げて落下してくるボールをラケットで叩くと言う自分の中で一番良いイメージのショットを打つ!
そうしたイメージでラケットを振り下ろすと、思った以上に上手く打てる。
いや、狙った位置にも確実に落ちているし、サーブのボール速度も凄まじい。
思わず皆んなが息を呑むと同時に私自身がこんな凄いサーブ今まで打った事が無いとすら思った。
「高崎さん。
す、凄いわね。」
3年生の先輩でキャプテンの前嶋先輩も驚いている。
それからも実戦形式の練習でも。
「それじゃあ、1セットづつ実戦形式の練習回して行くわよ。」
「はい。」
5つあるコートに全学年混ざって2組に分かれて試合形式の練習が始まった。
私の番が回って来た。
「お願いします。」
相手は2年生の高橋先輩。
相手側のサーブから始まる。
高橋先輩のサーブが始まった。
比較的威力のあるサーブを打って来た。
だが、私の身体の反応速度が可笑しい。
ボールの軌道を予測しているかのように目で追っているだけで身体が自然と動いてリターンを返したが、そのリターンしたボールは凄まじい速度で先輩の右隣に一直線に走り抜けた。
あまりの速さに高橋先輩は身動きすら出来ないほどだ。
「あ、……。」
思わず声が出てしまった。
何も無理はしていない。
反応出来るのだ。
ちょっと先輩達の視線が痛い。
「高崎さん。
凄く上達したのね。
と言うか、あの反応速度は……、え~と、どう理解すれば良いのかしらね。」
当然だと思う。
私の方こそビックリしている。
「高崎さん。
ちょっと。」
テニス部顧問の牧野先生が私の側に来て、私は皆んなから離れた場所に連れて行かれた。
「高崎さん。
退院して来てまだまも無いと思うだけど。
以前よりかなりと言うか凄く上達したわね。」
「あ~、そ、そうですね。
反射神経が良くなったような気がします。
脳の手術をしたので、それが影響しているのかも知れません。
担当の医師に聞いてみます。」
「そうね。
高校1年生の反応速度とは思えないもの。
その手術がきっかけでそうなっているならそれはそれで何だけど。」
「ちょっと私も気になるので調べて貰います。」
という事で、私のテニスプレーはもしかするとプロテニスプレイヤー並かも知れないと先生は言うのです。
それはそれで有難いけど。
この変化は気になる。
その日の放課後入院していた病院の担当医師米川省吾先生に連絡を取り、検診を含めて再び会うことになった。
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