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第1話 女神に騙されて異世界転生。

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俺の名前は神崎真。
親は資産家で何一つ金で苦労した事はない。
ある意味金で何でもやって来た。
大学も金で入って、就職もコネで入った。
たが、つまらない事ばかりで仕事もすぐ辞めて遊び歩いていた。
親は何も言わない。
女も好き放題やって来た。
付き合っては飽きて捨てて、可愛い女をハベらして来た。
全て金目当てのクソばっかりだ。
そして、俺はやり過ぎた。
真面目に俺の事を好きになってしまった女に殺された。
それもナイフで滅多刺しにされて。
地獄に落ちるのだと思った。

そして、目が覚めたら一面白い世界。
目の前には、女が1人立っている。

「ん?
俺は死んだよな?
あんた誰だ?」

「私は定番ですが、女神です。」
来たよ。
定番の死んだら女神様登場。

「それで、漫画や小説にある様な展開の女神様が何のようだ?」

「定番ですが、あなたを転生させます。
拒否権はありませんよ。」
女神は決して微笑まなかった。
むしろ何となくだが機嫌が悪そうな表情をしている。

「転生かよ。
定番だな。」

「あなたは非道の限りを尽くして来ました。
なので、今から転生する世界を救って貰います。
罪滅ぼしと思ってください。」

「なるほど。
勇者にしてくれるのか?」

「いいえ。
普通の人です。」
女神の発言に少しばかり悪意すら感じる。

「ですが、温情という事で、スキルを少しばかりつける事にします。
魅了、器用、乙女、探知、危険予知、そして即再生。
魅了は異性に対して魅力的に見える。自分に感情を心酔している異性ならば心も支配できる。
レアスキルよ。
器用は使ったことがない武器や道具も達人の様に使う事が出来る。
これもレアスキルよ。
即再生なんてハイレアスキルよ。
怪我しても直ぐ肉体の再生をしてくれる。
それに何時迄も綺麗な肌で居られるのよ。
凄くないですか?
どうですか?
満足いくスキルを揃えましたよ。」
スキルの説明は素早く話して、女神は漸く笑顔を見せた。

「ん?
乙女ってなんだ?
それに、強そうなスキルは無いぞ。」

「そうですか?
探知なんて自分の半径1キロの範囲なら何があるか見ることができるチートなスキルですよ。
それに乙女はきっと役に立ちます。
危険予知は自分に対する危険を知らせてくれるレアなスキルですが、転生先の世界で生きて行ける様にせめてもの私の温情です。」

「ん?
乙女が役に立つ?
よくわからんが、強そうなスキルつけろよ!」

「はい。
時間です。
いってらっしゃい~。」
そう女神が告げると光の中に俺は消えていった。

そして、2度目の目覚め。

「ん~。
ここはどこ?」
ん?
声が可笑しい?
それに身体が………!

「女の声だし、胸もある。
それに髪も長い。
鏡を見ないと。」

その前にここは何処だと思ったら、私は何処かの家のベッドの上に居る。
部屋には鏡がある。
覗いてみると。
「可愛い。」
思わず声が出てしまった。
鏡に映った自分は歳の頃は10代半ば辺りの女の子だ。
そして、乙女のスキルの効果なのか、心の声でもお、おれ………、男言葉が出せない。
出そうとすると制限がかかる。
自然に喋ったら女の子の話し方になる様だ。

「私は、………。楢崎沙織。
そして、ここは日本。
高校生で、記憶が流れてくる。
だけど、所々記憶が欠けてる……、女神め~、なんて中途半端な転生をするのよ。
それにしても、詩織の魂や意識はどうなったのか……、考えても仕方ない。」
心の中に生まれてから今日までの記憶が一気に流れてきた。
大体の自分の生い立ちや友達、親の事、学校……、少し欠けてる部分はある。

時計を見た。
「あ、ヤバい!」
部屋を飛び出して一階に降りると。

「詩織。
ここに座りなさい。」
一階のリビングには父親と母親、それに兄の3人が居る。
そして、時間は朝の7時半。

「はい。」
何故だか、父親の発言に従わなければならない衝動に駆られる。

「今何時だ?」

「はい。
朝の7時半です。」
なんだこの感覚は?
私は床に正座させられている。
抵抗出来ない。

「朝は7時に起きて、母さんの手伝いをする決まりだろう。」

「はい。
ごめんなさい。」
そうだ。
そう言う決まりになっている。
私の記憶の中にある。

「さあ、ご飯にするぞ。」
家長の意見や意向、それに教えには逆らえない様だ。
それが何らかのスキルなのか、世界の意識なのかは分からない。
反抗心が打ち消されてしまう。
それが親だからなのかは、まだ分からないが母親の様子から察するに女性は男性に対して何らかの制限が作用する様だ。

ただ、私は男であった前世の意識がある。
何らかの方法で自分の意思や意見を通せる可能性はあるかも知れない。

ん?
ちょっと待てよ。
楢崎詩織って。
この名前に覚えがある。
……、そうだ。
前世で私は会っている。
楢崎は同級生でクラスでも人気者で可愛い女の子。

何故、私が楢崎詩織に転生したのか。
謎だが、何らかの事情はありそうだ。
正しく、この世界は私の前世のアナザーワールドと言っていいかもしれない。

私は部屋に戻り学校に行く為に着替える事にしたが、よく考えたら女の子の身体になっているんだった。
「う~ん。」

鏡に映った自分の身体をじっくり見てみる。
スタイルも良い、胸もそこそこ形が良いし大きい。
乳首もピンク色で、少し触ってみる。
こんなに凄く気持ちいいものなのか、思わず感じてしまった。
どうやら私は乳首が敏感なのだろう。
しかし、自分の身体を触って感じているとは何を朝から私はやっているんだ。
少しエッチな気分になってしまったじゃないか。
そして、即再生の効果なのか、肌は綺麗だし、顔も可愛い。

「もしかして、ある意味私は最強では無いか?
魅了スキルもあるし、モテモテだったりするのか?」

制服はセーラー服タイプでスカートも短い。
今は夏だから寒くは無いけど、冬になったら寒そうだ。
だが、とても可愛い。
紺のハイソックスには校章入りで制服にも校章が入っている。
「しかし、こんなにミニスカートだと下着が見えるんじゃ無いのかな?
女の子って大変だなぁ~。」
などと制服姿に感心しながら着替え終えると、心がゾワっとした。
その感覚の正体は。

「詩織。
またやらかしたな。」
部屋に兄である卓也がニヤニヤしながら入って来た。

「ちょっと!ノックぐらいしてよ。」

「ん?
なんか雰囲気変わったな。」

「そ、そんな事ないよ。
もう学校行くんだから。」
そう言って部屋を出た。
入れ替わる前の詩織は兄に対してこの様な口調ではなかったのかもしれない。

学校に向かう事にした。
「いってきま~す。」
リビングに顔を出して父と母に挨拶をして、急いで靴を履きドアを開けて飛び出した。

詩織は最寄りの駅から電車で市内の都立若葉高校に通っている。
地下鉄のホームから電車に乗った。
電車内は満員で息苦しい。
そう言えば、ステータス画面が手の平上に向けてイメージすると空間に画面が出て来る。
誰もその様な仕草はしていないし、この画面は他の人には見えないらしい。
恐らく私だけの特別使用。

私のステータス。
種族 人間 レベル15
職業 女子高生レベル3
体力52  腕力15  魔力120
気力23  魅力500  運108
敏捷性32
スキル
器用 魅了 乙女 探知 危険予知 即再生
魔法 水属性
称号 転生者

魔法って、使えるの?
魔力とかあるけど、それに魔法は水属性とか。
称号の転生者をタップすると、世界の概念から外れた者。
って、どう言う意味?
まあ良いわ。
魔法とか使えるか何処かで試すとして、女子高生にレベルが在るのは笑える。
電車に揺られて学校に向かっていた。
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