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第26話 女の戦い

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一階の会議室に到着した。
中に入るとマーサさんとジェーンさんが椅子に座って待っていた。
他のチームのリーダーは来ていない。

「おはよう御座います。」
私は一礼して挨拶をした。

「おはよう。」

「おはよう。」
2人は健やかな笑顔で座っている。
私の心境とは真逆のように感じる。

「しおりさん。
昨日見た手紙の答えは出ましたか?」
やっぱりそれを答えなくてはならないのだと改めて気付かされた。

「はい。
考えました。」

「そう。
しおりさんは誰を選んだの?」
素敵な女性である。
ジェーンさんはスタイルも美貌も歌唱力もあり、自分自身に恐らく自信がある。
私は歌はうまいと思う。
スキルのお陰で。
でも、やっぱり誰かを選ぶ勇気は無い。
「すいません。
最初は私自信を選ぼうと思ったんですけど。
やっぱり皆んなの事が好きだから。
選べません。
だから、誰も選べません……。」
いつの間にか下を向いていた。
折角手紙まで書いてチャンスをくれたのに、誰も選べないなんて情けない。

「ハハハ。」
「ふふふ。」
2人同時に私の話が終わると笑い始めた。

「ごめんごめん。
ちゃんと伝わらなかったようだね。
本当に気軽に誰かを選んでくれて良かったんだよ。
そもそもジェーンと話していて、しおりさんは合格だから。
メンバーの1人は君だ。
ここだけの話。
しおりさんと一緒にやって行けるメンバーを選ぶためにこのオーディションをやってるんだよ。
そんなに深刻にしおりさんが悩む必要はなくてね。
もっと早くに伝えれば良かったね。
余計な気を遣わせないために隠してたんだ。」

「え?」
今マーサさんはとんでもない告白を私にした気がする。
私は既に合格していると言った様に聞こえた。

「ふふふ。
ごめんなさいね。
マーサさんにしおりさんを推薦したの。
歌声を聴いたら彼女をメインにしたグループが作りたいってなってね。
それでオーディションをする事になったの。
でも、最初からしおりさんにその事を伝えるとしおりさんの、性格上ちょっと気を遣わせそうだったから。
黙ってたのよ。」
ジェーンさんがマーサさんに推薦した。
私の頭の中はぐるぐる回り始めて思考が停止していた。

「あ、え?
私が合格?
それってどういう事ですか?」
慌てて混乱して自分でも何が言いたいのかわからない。

「しおりさんの声を聞いたよ。
人を魅了する声だ。
自信を持って欲しい。」
そりゃぁ~そうでしょうね。
スキルのお陰ですから。
褒められてる気がした。
いや、確実に褒められてる。
このままだと調子に乗ってしまいそうなくらい。
実は嬉しい。

「それでね。
しおりさんさんが見て誰が残って欲しいのか知りたかったんだ。
今なら考えられるかい?」
どうやらこの人達は私に人選をしろと言っている様にも聞こえる。
でも、冷静になって誰とやっていきたいかと言われてもピンと来ない。

「すいません。
まだ、皆んなと出会ったばかりで、他のチームの人達も絡んでないし。
わかりません。」
率直な正直な意見です。

「そうか。
まだ、オーディションは続くよ。
次の審査で終わりじゃない。
率直に今のチームなら誰かな?」
まだ最終では無いと聞かされてホッとした。
それを踏まえて今のチームなら。

「はい。
今のチームなら、ミサさんとやりたいです。
マナさんも、アカリさんも素敵な女性です。
でも、一番近くに感じるのはミサさんです。」

伝える事は全て伝えた。
会議室での話し合いは終わり部屋を出た。
この数日で私も頑張ったし、少しは進歩してる気がする。
ステータスを確認しておこう。

私のステータス。
種族 人間 レベル25
職業 女子高生レベル10
体力356  腕力46  魔力130
気力120   魅力∞   運340
敏捷性∞
スキル
器用 歌姫(極) 絶世の美少女 探知 危険予知 即再生 威嚇 神眼 知略家
魔法 水属性
称号 転生者 女神の使者 力を求める者
   乙女達を導く者

歌姫に極と言うものが付いた。
称号に乙女達を導く者とついた。

部屋に戻ると、ミサさんがゆっくりと近づいて来た。
「しおりちゃん。
皆んなと話し合ったの。
このままだとチーム崩壊だし。」

「ごめんね。
私達がしおりちゃんをリーダーにしたのに、狡いなんて言っちゃって、ごめん。」
アカリさんは少し目を赤くしている。
泣いていたのだろうか。

「しおりちゃん。
負けないから。」
マナさんもアカリさんの手を引っ張って近づいて来た。
3人は何か吹っ切れたようだ。

「私こそ、ごめんなさい。
あんなに私を選ぶって息巻いたのに。
マーサさんとジェーンさんに選べ無いって言っちゃった。」
やっぱり本当の事は言えない。
でも、選べなかった事は事実だし、結局ミサさんの名前は出したけど、今の時点では選べなかった事にしておく方が良い気がした。
あの封筒を見せられたのは私だけで他のリーダーは知らない事の様だ。

私達は4人で抱き合って少し泣いた。
運命を共にする戦友同士の感情共感とでも言いましょうか。

その後もレッスンが何日か続いた。
皆んなレッスンのお陰もあってダンスも歌もレベルを上げていた。

そして、私の運命とも言える出来後がこの日起こった。
ホテルの部屋で一人でのんびりとしていた。
他のチームメイトはたまたま他のチームの人達と特別レッスンを受けている。
私は歌唱力に関してこれ以上レッスンが必要ないとジェーンさんからも言われて、休息時間をもらう事が多くなった。

そんな時、部屋にマーサさんが訪ねて来た。
そして、マーサさんが誰かを連れてきた。

「しおりちゃん。
ちょっと良いかな?」

「はい。」
ドアを開けて覗き込んむマーサさんが部屋の中から見えた。

入って来たのはマーサさんとよく見ると見覚えのある若い男性。
そうだ!
あの海岸で出会ったもう一人の転生者の男性だ。

「彼を紹介しようと思ってね。
彼は天宮昴くんだ。
まあ、少し2人で話しをしてみてよ。」
そう言うとマーサさんは部屋を出て行ってしまった。
「ちょっ……。」
転生者の男性。
確か、天宮昴といった。

「やあ、また会ったね。」

「ええ。同じ転生者として仲良くしたいとかかしら?」

「まあ、そんなところかもな。
俺はこのオーディションの主催者様なんでね。」
主催者と言った。
マーサさんとジェーンさんが主催者だと思っていた。

「え?主催者なの?」
終始彼は部屋をうろうろと歩き回っている。
そして、時々私を舐める様に見る。

「君を含めた新しいアイドルグループの作詞、作曲をして、最終的なプロデュースもするよ。」
私は天宮昴と言う名前に聞き覚えがないが、芸能界ではかなりの力を持っている様な気がする。

「そうなのね。
それで、今日は何の用ですか?」
彼はゆっくりとソファに座った。
私も彼と向かい合う様にソファに座った。

「君の身体も心も俺のものにしに来た。
君は少し男尊女卑の力を弱める力を持ってるからね。
俺の女にする事にしたよ。」
人を蔑む様な上からの目線で明らかに挑戦的な言葉を発してくる。
しかし、彼の方が年上で今の私の立場と彼の立場に正当性が生まれれば、私は彼の言葉に逆らう事ができない。

「残念だけど、私はお付き合いをしている彼氏がいるの。
あなたが入れる余地はないわ。」

「あ~、何て言ったかな?
堀越響也くんだったかな?」
彼の言葉にドキッとした。
何もかも見透かされているかの様だ。

「響也くんのこと、なんで知ってるの?」

「海で会ってるからね。
あの時は楽しそうだった。
そして、堀越響也と言う男に君は心を奪われつつあった。
見れば分かったよ。」
とっても嫌な予感がする。
この転生者は男尊女卑の根源。
スキルの称号には統率者があった。
もしかすると響也くんに接触した可能性もある。

「響也くんに何かしたの?」

「おっと。
察しがいいね。
彼には君への想いをリタイヤしてもらったよ。
俺の統率者のスキルは年下の男性ならほぼ、俺の意思を植え付ける事が出来る。
君がアイドルとして生きていくのに彼自信が不必要だと認識させてあげたよ。」
人の意思に影響を与えられるなんて、そんな事可能なはずがない。

「嘘よ。
響也くんは私を愛してる。
そんなスキルには負けないわ。」
天宮昴はそれでも余裕のある態度を取り続ける。
私の言葉は虚しくなるばかりだ。

「残念だが、彼の記憶の中に君はいない。
君がアイドルとして成功するために、今からその身体と心を俺のものにする。」
そう言うと天宮昴は私の座っている方に移動して来た。

「い、いやよ。
帰って!」

「動くな!」
彼の言葉に逆らう事ができない。
身体が動かない。

そして、彼は私をゆっくりソファに押し倒して上着を脱がした。
「い、いや、やめて。」
身体は動かなくても声は出せた。
だか、虚しく部屋に響くだけだった。
「可愛がってやるよ。
快感を感じろ。」
その言葉で抵抗する言葉が出せなくなった。
彼は私の部屋着のズボンも脱がすと足から徐々に舐め始めた。
「あ、あぁ。」
思わず感じてしまい声が出る。
そして、ゆっくり太ももからお腹へと舌を這わせていく。
その度私の身体は快感を感じて仰け反っていた。
胸から首へ身体中を舐められて、キスをされた。

その後、天宮昴に私の全てを奪われた。
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