毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝

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第八章 謎の転校生

第六十七話 黒歴史再び

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学園の秋の一大イベント、スポーツ大会。
最初の種目は球技大会――ティアはバスケットボールに参加していた。

「ティア、かっこいい……!」
「シュートが全部決まってる!」

華麗なドリブルに、鮮やかなスリーポイントシュート。
汗をかきながらも凛とした表情は、男女問わず観客の視線を奪っていた。

「ティア、まるで王子様みたい!」
「……いや、姫様だろ!」
観客席は大盛り上がり。

ティアは誇らしげに息を整えた。
「ふふっ、今日も絶好調ね。」


伝統の一戦 ― 全校生徒対抗ジャンケン大会

大会の最後を飾るのは、スポーツ大会なのになぜか毎年恒例のジャンケン大会。
「よーし!最後は運試しだー!」
「スポーツ大会なのに、なぜかこれが一番盛り上がるんだよな!」

生徒全員が輪になり、グループに別れて勝ち残り方式で試合が進んでいく。
最強の1人と最弱の1人を決める大会。
最強の称号を手にするのは誰なのか?
そして、最強の1人には特典があった。


ティアは気合い満々だった。
「よし!最強の私が優勝してみせるわ!」

しかし……

「じゃーんけーん……ポン!」
→ ティア、初戦でグーを出す。相手全員パア

「やったー!勝った!」
「え、ちょ、ちょっと待って!」

次の試合も……
「ぽん!」
→ ティア、また一人負け。

「うそぉぉぉぉぉ!!!」
「ティア会長……ジャンケン弱すぎでは……?」

観客大爆笑。
最強の会長が、ジャンケンでは最弱だという事実が暴かれていく。


優勝者は副会長・レゼント。
そして、最弱はティア。

「……ぐぅ、信じられない……」
ティアは地面にへたり込み、耳まで真っ赤。

レゼントは不敵な笑みを浮かべ、紙袋を取り出した。
「では伝統に従い、最弱のティア会長には罰ゲームを与える。」

「……ごくり。」生徒全員が見守る。

「これだ。」

取り出されたのは―― 猫耳黒ミニスカメイド服。

「ひ、ひぃっ!? 
そ、それは、仮装舞踏会の……、な、なんでそれぇぇぇぇぇ!!!」
ティアが叫ぶ。

「明日は一日中、その格好で過ごしてもらう。」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」大歓声が上がる。

「う、嘘でしょ~!」
ティアは床に蹲る。

翌日

学園に現れたのは、猫耳をぴょこぴょこ揺らしながら、黒のミニスカメイド服姿で歩くティア。
「やめてぇぇぇぇぇぇ!
見ないでぇぇぇぇぇ!!!」
真っ赤になって顔を隠すが、逆に可愛さ倍増。

「ティア!尊い!!」
「写真!写真だ!」
「会長!最高です!!!」

ティアファンクラブは号泣しながらシャッターを切りまくる。
レゼントは腕を組んで満足げに微笑んでいた。

「まさに伝統の勝負……ふふ、いいものを見られた。」

ティアは涙目で叫ぶ。
「これ以上黒歴史を増やすなぁぁぁぁぁぁ!!!」

メイド姿で一日を過ごしたティア。
学園中がその姿を忘れられず、噂は一気に拡散した。

そして数日後――。

「主様、大変です!」
リシェルが慌てて駆け込んでくる。
「ファンクラブが……また妙な動きを!」

「……今度は何よ。」
嫌な予感しかしないティア。



ファンクラブ秘密工房

ファンクラブの部室では、生徒たちが熱気に包まれていた。

「第一弾の限定アクリルスタンドは完売!」
「次はもっと攻めるぞ!」

「そうだ!猫耳メイド姿を……立体化だ!」
「3Dプリンターフル稼働!」
「色は職人魂で塗装する!」

ゴゴゴゴゴ……と怪しい作業音が響く。
ティアのメイド姿を再現した、 1/7スケール高品質フィギュア が生み出されていった。

ある日の放課後。
学園の廊下に謎の列ができていた。

「なに?この行列……」
不思議に思って近づくティア。

その先で――。

「じゃじゃーん!
ティア会長フィギュア第一弾のお披露目です!」
「猫耳黒のミニスカメイド服Ver. 限定300体!」

ステージに飾られていたのは、愛らしいポーズを取るティアのフィギュア。
しかも 揺れる猫耳ギミック付き、スカートは布製でひらひら動くこだわり仕様。

「きゃーー!可愛い!!」
「実物よりも更に可愛い……!」
「予約列伸びてます!」

生徒たちは狂喜乱舞していた。

ティアは真っ赤になって叫ぶ。
「やめてぇぇぇ!!!」

だがファンクラブ幹部は堂々と宣言した。
「安心してください! 
売上は全額『ティア応援基金』に使われます!」

「そんな基金いらないからぁぁぁぁぁ!!!」
ティアの悲鳴が学園中に響き渡った。

ある晩。
ティアは寮の部屋で読書をしていたが、ふと 妙な気配 を感じた。

「……なんか、近い。臣下の気配。」

静かに扉を開けて廊下を歩くと――。
部屋の隙間から漏れる微かな光と、聞き慣れた声が。

秘密の鑑賞会

部屋の中では、セリア・リシェル・ルシェル・バロム・カインが円になって座っていた。
彼らの中央には……

「限定アクリルスタンド:メイド猫耳Ver.」
「1/7スケールフィギュア:舞踏会ドレスVer.」

が並んでいたのだ!

「主様のこのポーズ……素晴らしい」
セリアが恍惚の表情で眺める。

「……ぐふふ。
俺は断然このアクリル派だな」
バロムがにやにや。

「何言ってるの。
スカートのひらめき具合はフィギュアでしか味わえないわ!」
リシェルが熱弁。

「おい、声が大きい!
主様にバレたらどうする!」
カインが小声で注意するが、誰も耳を貸さない。

「……何やってるの?」
ドアがギィィ……と開く。

全員が凍りついた。

「な、主様!?い、いえこれは…その…」
「……ちが、違うんです!研究資料として!」
「審美眼の訓練です!」
「拙者はただ、主様の偉大さを立体的に理解しようと…」

臣下一同、必死に言い訳するが――。

ティアはじと目で全員を見回し、
顔を真っ赤にして叫んだ。

「全員没収ぅぅぅぅぅぅ!!!」

リシェルは涙目で抱きしめていたフィギュアをそっと差し出す。
セリアは未開封の限定グッズを渋々差し出す。
バロムはポケットからキーホルダーをゴソゴソ……。

「どんだけ持ってるのよ!!!」

ティアの絶叫が夜の寮に響き渡った。
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