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第九章 新学期編
第六十八話 新入生受け入れ試験
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冬から春、新たな学期へ
秋が過ぎ、冬の気配が深まっていく。
学園も冬休みに入り、街には雪が舞い始めていた。
この世界に来て何度か雪を見てきたが、前世で眺めた雪景色と変わらない静かな風情があった。
窓辺で外を眺めながら、ティアはぽつりと呟く。
「シャクイードも動かないし、大きな危機もない……。
このまま平和でいてくれたら楽なんだけどなぁ。」
そんな穏やかな日々の中で、季節はやがて冬から春へ。
新しい学期を迎え、ティアはついに 2年生 となった。
忙しくも新入生を迎える準備に追われる日々が始まる。
⸻
卒業式の日
3年生たちが学園を巣立つ日がやってきた。
盛大な式の後、ティアは副会長だったレゼントに駆け寄る。
「レゼント先輩、卒業おめでとうございます!」
「フン……お前もよく頑張ったな。
学園は任せたぞ。」
「はい。
またどこかでお会いできるのを楽しみにしています。」
短い言葉ながらも、互いに信頼を交わすその瞬間。
頼もしい先輩方が去り、学園と寮にはしばし静けさが訪れた。
⸻
新たな生徒会
そして――新入生の受け入れが始まる。
冬休み明けに行われた選挙でティアは再選され、再び会長を務めることになった。
新たに集まった顔ぶれはこうだ。
• 副会長:エドバン・クリスフォン(3年)
ザザルン王国伯爵家の次男。冷静沈着で成績優秀な秀才。
• 書記:マリア・ヤクレス(2年)
同じく伯爵家の長女。お淑やかで気品ある淑女。
• 会計:ジーク・エストランサ(2年)
男爵家の長男。明るくムードメーカー。場を和ませる天才。
• 規律委員長:バーツ・エドモン(3年)
騎士団長の息子で、真面目一徹。融通は利かないが信頼厚い。
放課後。
新体制となった生徒会メンバーは、生徒会室に集まり打ち合わせを始めた。
ティアが書類を手にしながら口を開く。
「皆さん、ご苦労さまです。
今年の新入生受け入れについて役割を決めたいと思います。
今年から学園の方針で、入学試験の一部を生徒会に任されることになりました。
筆記試験の監視と、実技試験の実施です。」
エドバンが静かに頷きながら答える。
「筆記試験の監視は俺が担当しよう。
実技試験は会長が適任だろう。
あとは補佐をそれぞれつければ問題ない。」
ジークが笑いながら手を挙げる。
「じゃあオレ、実技の補佐やるよ!
新入生を盛り上げるの得意だからね!」
「ふふ、じゃあ私は書記として記録役に回りますね。」とマリア。
「規律面の監視は任せろ。」とバーツも即答。
自然と役割が決まり、新生徒会は動き出そうとしていた。
⸻
こうして、ティアは再び仲間と共に、新しい春を迎えることとなった。
新入生実技試験の日
広大な訓練場に、新入生たちが緊張した面持ちで並んでいた。
観覧席には先生方、そして在校生たちもちらほら集まり、注目は自然と生徒会へと向かう。
「静粛に!」と規律委員長バーツの声が響く。
「これより新入生実技試験を開始する! 本年度より生徒会が監督を務める!」
ざわめく新入生たち。
そして前に立つのは、生徒会長ティア。
「皆さん、ようこそ学園へ。
私は生徒会会長のティア・リブンです。
ここでの試験は力を誇示する場ではなく、自分の力を正しく出せるかを試す場です。
リラックスして臨んでくださいね。」
柔らかな声に、新入生の緊張は少しほぐれる。
しかし――次の瞬間。
「まずは模範を見せるために、私がデモンストレーションを行います。」
そう言ってティアが一歩前に出ると、観覧席から「おおー!」と歓声があがる。
剣を抜き、空中に浮かんだ魔導標的へと視線を向ける。
シュッ!
剣先から閃光が走り、標的は一瞬で消し飛んだ。
さらにティアが手を掲げると、氷と炎が同時に走り、別の標的を同時に撃ち抜く。
「うわぁぁ……!」「すごい……!」
新入生は口をぽかんと開けて見とれてしまい、在校生の男子女子からもため息交じりの歓声があがった。
新入生たちが緊張の面持ちで次々と魔法や武技を披露していたその時――。
「……ん? なんだ、あれ。」
突然、試験場の空気が揺らぎ、地面に黒い魔法陣が浮かび上がった。
「きゃあああっ!」
そこから獰猛な魔獣が召喚される。
牙を剥き、涎を垂らした巨獣が吠えると、新入生たちは一斉に悲鳴を上げ、試験場はカオスと化した。
「な、なんでこんなところに魔獣が!?」
「試験じゃないのか!?」
「やだ、逃げてーっ!」
訓練場はパニック状態。
ジークが剣を抜き、バーツは新入生をかばいながら前に出る。
「おいおい、なんだコイツ!
デカすぎるだろ!」
「新入生は下がれ!
早く避難しろ!」
二人が対応しようとした瞬間。
「2人とも、下がって。」
その声と共に――ティアがすっと前に歩み出る。
風に髪を揺らし、怯える新入生の前に立った姿は、まるで守護者のよう。
「任せて。」
彼女の手のひらに赤い魔力が凝縮され――次の瞬間、灼熱の火球が放たれる。
轟音と共に魔獣を直撃し、大爆発が起こった。
「グガァァァァァッ!」
魔獣は断末魔をあげ、木っ端微塵に吹き飛ばされる。
砂煙が晴れると、そこには平然と立つティアの姿。
新入生たちは呆然と見つめ――
「す、すげぇ……!」
「一撃で……!?」
「さすが、生徒会長だ!」
割れんばかりの大歓声が湧き起こった。
⸻
しかしティアは…
歓声など耳に入っていない。
ティアは真剣な眼差しで地面を見つめ、足元に転がる小さな欠片を拾い上げる。
――召喚石。
表面は砕け、もう力を失っている。
しかし、明らかに誰かがここに仕掛けた痕跡だった。
「……やはり計画的ね。」
彼女の瞳は鋭く光る。
――何のために、こんな場所で魔獣を?
――誰が、何を狙って?
浮かび上がる疑念。
ティアは掌の召喚石を見つめながら、心の中で強く思った。
放課後の生徒会室。
机の上に並べられた新入生ファイルを、ティアはデータ端末の光を受けながら一枚一枚確認していた。
静かな空間に、彼女の思考だけが研ぎ澄まされていく。
――どうして、あんな場所で魔獣を召喚する必要があったのか?
私がいる以上、あの程度の魔獣在校生なら私が瞬殺できると分かるはず。
狙いは……脅威の演出ではない。
では、特定の誰かを狙った?
端末の画面に映し出される新入生の顔を順に見つめる。
――召喚石は新入生たちのかなり後方に置かれていた。
つまり、真正面に立つ私ではなく、列の中にいる誰かを狙った可能性が高い。
しかし――召喚石は召喚魔法が必要になる。
普通なら強大な魔力の痕跡が地面に残るはず。
けれど、あの場には一切残っていなかった。
――つまり、あの場にいた誰かが魔法を使った?
……いや、それなら私が気づかないはずがない。
ティアの指が机を軽く叩く。
カチン、と硬い音。
「そうか……魔道具。」
自らの言葉に小さく頷く。
魔道具の実験。
そう考えれば全てが繋がる。
魔道具なら魔力の痕跡を消すことも可能かもしれない。
――そして、その実験の標的はこの私。
どの程度対処するか、魔力の痕跡を探せるか、そして、その裏にある目的に気付くか。
ティアの口元に、冷笑が浮かぶ。
「いい度胸ね……私を実験台にするなんて。」
青い瞳が妖しく光る。
「面白いわ。
――乗ってあげる。
そのゲーム。」
秋が過ぎ、冬の気配が深まっていく。
学園も冬休みに入り、街には雪が舞い始めていた。
この世界に来て何度か雪を見てきたが、前世で眺めた雪景色と変わらない静かな風情があった。
窓辺で外を眺めながら、ティアはぽつりと呟く。
「シャクイードも動かないし、大きな危機もない……。
このまま平和でいてくれたら楽なんだけどなぁ。」
そんな穏やかな日々の中で、季節はやがて冬から春へ。
新しい学期を迎え、ティアはついに 2年生 となった。
忙しくも新入生を迎える準備に追われる日々が始まる。
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3年生たちが学園を巣立つ日がやってきた。
盛大な式の後、ティアは副会長だったレゼントに駆け寄る。
「レゼント先輩、卒業おめでとうございます!」
「フン……お前もよく頑張ったな。
学園は任せたぞ。」
「はい。
またどこかでお会いできるのを楽しみにしています。」
短い言葉ながらも、互いに信頼を交わすその瞬間。
頼もしい先輩方が去り、学園と寮にはしばし静けさが訪れた。
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新たな生徒会
そして――新入生の受け入れが始まる。
冬休み明けに行われた選挙でティアは再選され、再び会長を務めることになった。
新たに集まった顔ぶれはこうだ。
• 副会長:エドバン・クリスフォン(3年)
ザザルン王国伯爵家の次男。冷静沈着で成績優秀な秀才。
• 書記:マリア・ヤクレス(2年)
同じく伯爵家の長女。お淑やかで気品ある淑女。
• 会計:ジーク・エストランサ(2年)
男爵家の長男。明るくムードメーカー。場を和ませる天才。
• 規律委員長:バーツ・エドモン(3年)
騎士団長の息子で、真面目一徹。融通は利かないが信頼厚い。
放課後。
新体制となった生徒会メンバーは、生徒会室に集まり打ち合わせを始めた。
ティアが書類を手にしながら口を開く。
「皆さん、ご苦労さまです。
今年の新入生受け入れについて役割を決めたいと思います。
今年から学園の方針で、入学試験の一部を生徒会に任されることになりました。
筆記試験の監視と、実技試験の実施です。」
エドバンが静かに頷きながら答える。
「筆記試験の監視は俺が担当しよう。
実技試験は会長が適任だろう。
あとは補佐をそれぞれつければ問題ない。」
ジークが笑いながら手を挙げる。
「じゃあオレ、実技の補佐やるよ!
新入生を盛り上げるの得意だからね!」
「ふふ、じゃあ私は書記として記録役に回りますね。」とマリア。
「規律面の監視は任せろ。」とバーツも即答。
自然と役割が決まり、新生徒会は動き出そうとしていた。
⸻
こうして、ティアは再び仲間と共に、新しい春を迎えることとなった。
新入生実技試験の日
広大な訓練場に、新入生たちが緊張した面持ちで並んでいた。
観覧席には先生方、そして在校生たちもちらほら集まり、注目は自然と生徒会へと向かう。
「静粛に!」と規律委員長バーツの声が響く。
「これより新入生実技試験を開始する! 本年度より生徒会が監督を務める!」
ざわめく新入生たち。
そして前に立つのは、生徒会長ティア。
「皆さん、ようこそ学園へ。
私は生徒会会長のティア・リブンです。
ここでの試験は力を誇示する場ではなく、自分の力を正しく出せるかを試す場です。
リラックスして臨んでくださいね。」
柔らかな声に、新入生の緊張は少しほぐれる。
しかし――次の瞬間。
「まずは模範を見せるために、私がデモンストレーションを行います。」
そう言ってティアが一歩前に出ると、観覧席から「おおー!」と歓声があがる。
剣を抜き、空中に浮かんだ魔導標的へと視線を向ける。
シュッ!
剣先から閃光が走り、標的は一瞬で消し飛んだ。
さらにティアが手を掲げると、氷と炎が同時に走り、別の標的を同時に撃ち抜く。
「うわぁぁ……!」「すごい……!」
新入生は口をぽかんと開けて見とれてしまい、在校生の男子女子からもため息交じりの歓声があがった。
新入生たちが緊張の面持ちで次々と魔法や武技を披露していたその時――。
「……ん? なんだ、あれ。」
突然、試験場の空気が揺らぎ、地面に黒い魔法陣が浮かび上がった。
「きゃあああっ!」
そこから獰猛な魔獣が召喚される。
牙を剥き、涎を垂らした巨獣が吠えると、新入生たちは一斉に悲鳴を上げ、試験場はカオスと化した。
「な、なんでこんなところに魔獣が!?」
「試験じゃないのか!?」
「やだ、逃げてーっ!」
訓練場はパニック状態。
ジークが剣を抜き、バーツは新入生をかばいながら前に出る。
「おいおい、なんだコイツ!
デカすぎるだろ!」
「新入生は下がれ!
早く避難しろ!」
二人が対応しようとした瞬間。
「2人とも、下がって。」
その声と共に――ティアがすっと前に歩み出る。
風に髪を揺らし、怯える新入生の前に立った姿は、まるで守護者のよう。
「任せて。」
彼女の手のひらに赤い魔力が凝縮され――次の瞬間、灼熱の火球が放たれる。
轟音と共に魔獣を直撃し、大爆発が起こった。
「グガァァァァァッ!」
魔獣は断末魔をあげ、木っ端微塵に吹き飛ばされる。
砂煙が晴れると、そこには平然と立つティアの姿。
新入生たちは呆然と見つめ――
「す、すげぇ……!」
「一撃で……!?」
「さすが、生徒会長だ!」
割れんばかりの大歓声が湧き起こった。
⸻
しかしティアは…
歓声など耳に入っていない。
ティアは真剣な眼差しで地面を見つめ、足元に転がる小さな欠片を拾い上げる。
――召喚石。
表面は砕け、もう力を失っている。
しかし、明らかに誰かがここに仕掛けた痕跡だった。
「……やはり計画的ね。」
彼女の瞳は鋭く光る。
――何のために、こんな場所で魔獣を?
――誰が、何を狙って?
浮かび上がる疑念。
ティアは掌の召喚石を見つめながら、心の中で強く思った。
放課後の生徒会室。
机の上に並べられた新入生ファイルを、ティアはデータ端末の光を受けながら一枚一枚確認していた。
静かな空間に、彼女の思考だけが研ぎ澄まされていく。
――どうして、あんな場所で魔獣を召喚する必要があったのか?
私がいる以上、あの程度の魔獣在校生なら私が瞬殺できると分かるはず。
狙いは……脅威の演出ではない。
では、特定の誰かを狙った?
端末の画面に映し出される新入生の顔を順に見つめる。
――召喚石は新入生たちのかなり後方に置かれていた。
つまり、真正面に立つ私ではなく、列の中にいる誰かを狙った可能性が高い。
しかし――召喚石は召喚魔法が必要になる。
普通なら強大な魔力の痕跡が地面に残るはず。
けれど、あの場には一切残っていなかった。
――つまり、あの場にいた誰かが魔法を使った?
……いや、それなら私が気づかないはずがない。
ティアの指が机を軽く叩く。
カチン、と硬い音。
「そうか……魔道具。」
自らの言葉に小さく頷く。
魔道具の実験。
そう考えれば全てが繋がる。
魔道具なら魔力の痕跡を消すことも可能かもしれない。
――そして、その実験の標的はこの私。
どの程度対処するか、魔力の痕跡を探せるか、そして、その裏にある目的に気付くか。
ティアの口元に、冷笑が浮かぶ。
「いい度胸ね……私を実験台にするなんて。」
青い瞳が妖しく光る。
「面白いわ。
――乗ってあげる。
そのゲーム。」
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