上 下
95 / 160
第二部 エリミア編

35 全盛期の技術

しおりを挟む

「リッゾルは、解除していない可能性が高いです。彼の学校内での動きは、確認できますか?」

 アイリン・クルトナが、校長に聞いた

「無理です。学校内では、大事な施設以外は、生徒の人権上から、監視していません。監視しているのは、数ヶ所のみ」

「結界を生み出してるところは?」

「監視はしていますよ」

 校長は、両腕を空で動かした。だが、深刻そうな顔でやめた

「うん?でませんね・・・。監視システムが・・・」

 また、腕を空で動かした。そして、浮かび上がったのは、監視システムを制御してる部屋内の映像だった

「結界は?」

 シュリオンの言うことを無視して、大人達は、何も言わずに見てる。すると、またもやリッゾルが部屋内に現れた。リッゾルは、機器の一部分を操作しだした

「リッゾルは、何やってるの?」

 フェーナが聞いた

「彼は、結界部屋の監視システムを停止させてる」

「は?」

「リッゾルは、監視システムの制御方法をも知っていた」

「リッゾルだよ!?あの、バカなリッゾル!」

「年上だけど、僕も言う。リッゾルは馬鹿だ。そんなことできる?」

 シュリオンとガルクは納得がいっていない

「けど・・・。私もこんなこと言いたくないけど・・・」

「何だよ。言えよ、フェーナ!」

「全部、今日までの演技だったら?」

「演技?」

「馬鹿な留年生を演じる。いつも、目立たないし。内気で、友達が少ない生徒。影を薄くして、周囲の目を誤魔化していたのかも」

「フェーナ。面白く、実に良い考察だが、否定する」

 フェーナの意見をアイリン・クルトナは否定した

「え?」

「生徒じゃ無理なんだよ。どんなに賢くても。勉強しても・・・」

「どうして?」

「空間移動妨害装置は、機能停止にできるかもしれない。だが、結界と監視システムは別だ。あれは、学校を知り尽くしていないと、存在場所すら分からない。誰かが、情報を漏らさない限り・・・」

「そう・・・。生徒は知らないのね」

 フェーナは、少し悔しそうな顔をした

「この学校のシステムって、いつからあるの?」

「学校が出来た当初から。私やクルトナが、今のあなた達より少し歳上の時に創立されました」

 ネオルノ先生は、昔を思い出したかのように喋ってる

「私が若いときが、技術力が最高だったでしょう。その後は、資源が尽き始めて、高い技術力は使えなくなりましたから」

「だから、ネオルノ先生が少女だった時に創立されたリンドルズ学校は、結界等といった技術が残っている」

 校長が補足した

「ネオルノ先生。校長。リッゾルに情報を漏らしてませんよね?もちろん、他の教職員も」

「アイリン・クルトナ。それは、私に対する侮辱ですか?」

「クルトナ。いくら、伝説の末裔でも、言っていいことと。言ってはいけないことが、ありますよ」

 アイリン・クルトナ隊長は、リンドルズ学校の卒業生なので、立場が二人より下のようだ。だから

「失礼しました」

 と謝った。アイリン・クルトナを除いた、クルトナ家以外のフェルムスは、リンドルズ学校の卒業生しかいないので、皆顔馴染みだ。だから、校長とネオルノ先生の怖さをよく知っていた
しおりを挟む

処理中です...