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第二部 エリミア編

58 スミ

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「へー。どんな人?」

 ガルクの挑発的な発言に、スミは乗った

「僕の分身」

「分身?」

「唯一王ガルーダの息子にして、僕の双子の馬鹿兄貴」

「あぁ。えーと、確か名前は・・・」

「シュリオン」

「そう。シュリオンよね。彼が、元老院メンバーになる日を楽しみにしておくわ」

「強敵でしょ?」

「確かに、人気は奪われそうね。だけど、敵だとは思わないわ。彼が、唯一王になってエリミアを良くしようと思うなら、私の同志よ」 
 
 スミは、ガルクに微笑み出ていった

「ガルク。これが、大人と子供の違いですよ」

「分かってますよ。僕はただ、スミさんの反応が見たかっただけですよ」

「反応?」

「父さんの次になれるのかどうかを・・・。シュリオンと張り合うのにふさわしいのかどうかを」

「おい。あまり、大人をおちょくるなよ」

 アイリン・クルトナはガルクに注意し終わるのと同時に、空間を切り裂いた



 ガルク達が、アイリンの切り裂いた空間を通ると、街から少し離れた所の、地上にいた

「ここが、安全区間の端だ。この先を歩いていく」

 アイリンは正面の方を指差した。薄い霧がかかっており、視界が悪い

「霧でみえないけど。どれくらい、歩くの?」

「フェルムス隊員で1日走ればつくくらいか?」

「マジ?」

「マジ。だが、今回は婆さんとガキ二人なので、3日といったところか?あと、テマニーはどうするか?」

「アクトの背中に乗ればいいじゃん」

 ガルクが、肩に乗ってる小さなアクトを撫でながら言った

「大きさ変えられるのか?」

「限界はあるけど、多少は・・・」

「何人乗れる?」

「背中一人。足一人」

「足で運ぶのか・・・。よし!ネオルノ先生は背中に乗る。ガルクとドードルのどちらかが走り。どちらかが足」

「僕が走るよ」

 ガルクは手を上げた
 
「走れんのか?」

「能力使っていい?」

「まぁ、いいだろう。特別に許可する」

 ガルクは人生で初めて、許可を得ての能力使用をすることになった

「やったー!」

「じゃあ、行くぞ。準備しろ」

「アクト。頼む」

 ガルクはアクトを空に放った。アクトは一気に大きくなって、地面に降りてきた

「ネオルノ先生。背中に」

 ネオルノ先生はアイリンに支えられながら、アクトの背中に乗った

「ごめんね。アクト」

 ネオルノ先生は乗ってから、アクトの背中を撫でた

「アクト。飛んで、この子を足で運んでくれ」

 アクトはゆっくりと浮上して、ドードルの肩を足で掴んだ

「じゃあ、行くぞ」

「ちょっと待って。アクト、霧で見えにくいと思うけど、しっかり頼んだよ」

 アクトは少し鳴いた
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