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5 旦那さまの日常
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「お城で舞踏会がある?」
それは、たいへん場違いな情報でした。
ここは開けた森の中。焚き火の側では骨付き肉が焼けています。仕留めた獣を野外で食しているのは、貴族のおじさんたちです。
あのお屋敷の旦那さま、つまりシンデレラのお父さんも彼らに混じっておりますね。
旦那さまはいつも、各地を旅して趣味の狩りを楽しんでいるのでした。
(だから滅多にお屋敷に帰りません!)
普段は犬・馬・狩場の話で盛り上がるおじさんたち。ここでそれ以外のお話が出るのは、とても珍しいことです。
「まだ時期じゃないよな?」
「早いよ。だけど今年の秋の狩りは早めに切り上げて、家に戻れと連絡があった。」
「あーーー、帰りたくない~~~。」
「俺はまだ残るぞー!」
おじさんたちが駄々をこねております。
「なんでこんなに早いんだ?」
「ほら、あれだよ。また第二王子さまの嫁さん探しとか言う……。」
「あの不毛なやつか。」
第二王子さまは二十六歳。もう何年も前から結婚の話が出ているのですが、彼はのらりくらりと逃げ続け、未だにおひとりなのでした。
(((さっさと決めてくれないかなー。あんまり夜会を増やさないで欲しいよなー。)))
みなさん心の声がハモっております。
彼らは夜会より、よほど狩りが好きでした。
(やれやれ。)
シンデレラのお父さんは、久しぶりに家族のことを考えました。
彼の娘は一番上から二十歳、十八歳、十六歳。みんな未婚です。
(王子さまには、年が遠いか。まあ射程圏外だろうな。せっかくだし、他にどなたかとご縁があれば良いけど。)
そういえば、この前お屋敷に帰ったときには二番目の娘がぷっくり肥えていました。
(あれからどうなったかなー。体に悪いし、あんまり太っていないと良いなー。)
他の二人は血色もよく元気そうだったので、旦那さまとしては安心しておりました。
旦那さまの娘のチェックポイントは、健康状態と表情です。
みすぼらしい格好とか、家で働いているだとか、いろいろアウトだったはずのシンデレラ(十六歳)なのですが。
彼の基準において。シンデレラは、なんと、何の問題もなかったのでございます……。
それは、たいへん場違いな情報でした。
ここは開けた森の中。焚き火の側では骨付き肉が焼けています。仕留めた獣を野外で食しているのは、貴族のおじさんたちです。
あのお屋敷の旦那さま、つまりシンデレラのお父さんも彼らに混じっておりますね。
旦那さまはいつも、各地を旅して趣味の狩りを楽しんでいるのでした。
(だから滅多にお屋敷に帰りません!)
普段は犬・馬・狩場の話で盛り上がるおじさんたち。ここでそれ以外のお話が出るのは、とても珍しいことです。
「まだ時期じゃないよな?」
「早いよ。だけど今年の秋の狩りは早めに切り上げて、家に戻れと連絡があった。」
「あーーー、帰りたくない~~~。」
「俺はまだ残るぞー!」
おじさんたちが駄々をこねております。
「なんでこんなに早いんだ?」
「ほら、あれだよ。また第二王子さまの嫁さん探しとか言う……。」
「あの不毛なやつか。」
第二王子さまは二十六歳。もう何年も前から結婚の話が出ているのですが、彼はのらりくらりと逃げ続け、未だにおひとりなのでした。
(((さっさと決めてくれないかなー。あんまり夜会を増やさないで欲しいよなー。)))
みなさん心の声がハモっております。
彼らは夜会より、よほど狩りが好きでした。
(やれやれ。)
シンデレラのお父さんは、久しぶりに家族のことを考えました。
彼の娘は一番上から二十歳、十八歳、十六歳。みんな未婚です。
(王子さまには、年が遠いか。まあ射程圏外だろうな。せっかくだし、他にどなたかとご縁があれば良いけど。)
そういえば、この前お屋敷に帰ったときには二番目の娘がぷっくり肥えていました。
(あれからどうなったかなー。体に悪いし、あんまり太っていないと良いなー。)
他の二人は血色もよく元気そうだったので、旦那さまとしては安心しておりました。
旦那さまの娘のチェックポイントは、健康状態と表情です。
みすぼらしい格好とか、家で働いているだとか、いろいろアウトだったはずのシンデレラ(十六歳)なのですが。
彼の基準において。シンデレラは、なんと、何の問題もなかったのでございます……。
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