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6 たぶん親切な偉い魔女
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「い、行ってらっしゃいませー……。」
舞踏会の当日。シンデレラは他の使用人たちと一緒に家族を見送りました。
重いドレスは着せる方も体力勝負。女中はみんな汗をかき、手足が震えています。
お嬢さま方のお部屋はもの凄い惨状です。
あらゆる場所に靴があり、片しても片しても髪飾りがなくなりません。ドレスをどかすと別のドレスが下から出てきます。
「いや~、気合いが入ってたわねー。」
「そりゃあ久しぶりの舞踏会だから。」
「あと二日、コレがあるのよ?」
「連続とか死ねる……。」
ごちゃごちゃ作業していると、台所の女中がやって来てシンデレラを手招きしました。
「ちょっと。あんたにお客さんよ。」
「へ?はーい。そんじゃごめんなさい。」
シンデレラにお客など初めてです。と言いますか、お客さまがやって来るような心当たりがありません。
シンデレラは首をひねりながら、勝手口へ向かいました。
☆ ☆ ☆
シンデレラのお客は、高さ1メートルはあるとんがり帽子をかぶった、背丈90センチの老婆でした。
(ななな、な?)
老婆はずいっと台所に入ると、他の女中をみんな叩き出し、シンデレラににじり寄って言いました。
「なんだい、すっかり家なき子になっているじゃないか。自分の運の悪さに気がつかないなんて、ほんとにマヌケな子だよ。
だけど私はお前の、実の母親の友だちだからね。おまえをその悪運から引っ張り出してやろう。」
老婆は名乗りもせず、一方的にまくし立てて杖を振り上げました。
老婆は偉い魔女なのです。もう何年も何年も、彼女に意見する猛者はいなかったのです!
台所に白い光が満ちました。
シンデレラは目を閉じて……再び目を開けたとき、目線がぐっと下がっていました。
小さな手。ぶかぶかの服に靴。銅色のお鍋にうつるシンデレラは幼い子供の姿で、大人びた賢しい顔つきがなんだか不気味に見えました。
「へっ??」
「まずは悪運の入り口に体を戻したよ。そいつはあんたの母親が死んだときの姿さ。」
六歳ってことですね。
「次はドレスだ。何か縁起の良い色が良いねえ。」
何の次がドレスなんでしょうか。シンデレラはとっても嫌な予感がしましたが、黙って良い子にしておりました。
舞踏会の当日。シンデレラは他の使用人たちと一緒に家族を見送りました。
重いドレスは着せる方も体力勝負。女中はみんな汗をかき、手足が震えています。
お嬢さま方のお部屋はもの凄い惨状です。
あらゆる場所に靴があり、片しても片しても髪飾りがなくなりません。ドレスをどかすと別のドレスが下から出てきます。
「いや~、気合いが入ってたわねー。」
「そりゃあ久しぶりの舞踏会だから。」
「あと二日、コレがあるのよ?」
「連続とか死ねる……。」
ごちゃごちゃ作業していると、台所の女中がやって来てシンデレラを手招きしました。
「ちょっと。あんたにお客さんよ。」
「へ?はーい。そんじゃごめんなさい。」
シンデレラにお客など初めてです。と言いますか、お客さまがやって来るような心当たりがありません。
シンデレラは首をひねりながら、勝手口へ向かいました。
☆ ☆ ☆
シンデレラのお客は、高さ1メートルはあるとんがり帽子をかぶった、背丈90センチの老婆でした。
(ななな、な?)
老婆はずいっと台所に入ると、他の女中をみんな叩き出し、シンデレラににじり寄って言いました。
「なんだい、すっかり家なき子になっているじゃないか。自分の運の悪さに気がつかないなんて、ほんとにマヌケな子だよ。
だけど私はお前の、実の母親の友だちだからね。おまえをその悪運から引っ張り出してやろう。」
老婆は名乗りもせず、一方的にまくし立てて杖を振り上げました。
老婆は偉い魔女なのです。もう何年も何年も、彼女に意見する猛者はいなかったのです!
台所に白い光が満ちました。
シンデレラは目を閉じて……再び目を開けたとき、目線がぐっと下がっていました。
小さな手。ぶかぶかの服に靴。銅色のお鍋にうつるシンデレラは幼い子供の姿で、大人びた賢しい顔つきがなんだか不気味に見えました。
「へっ??」
「まずは悪運の入り口に体を戻したよ。そいつはあんたの母親が死んだときの姿さ。」
六歳ってことですね。
「次はドレスだ。何か縁起の良い色が良いねえ。」
何の次がドレスなんでしょうか。シンデレラはとっても嫌な予感がしましたが、黙って良い子にしておりました。
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