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12 みなさん、1日目の感想は?
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舞踏会の次の日、お屋敷にて。
ほぼ昼食の朝ごはんを食べながら、継母はしゃべり始めました。
「昨日の首尾は、あんまり良くないわ。うちの子たちはひっ込み思案で…。」
最後の卵が継母のお皿に消えていきます。
「せっかく独身の方を何人か紹介して頂いたのに。家まで遊びに来てくださる方は、まだいないのよね。」
ミルクも継母が飲み干しました。
「ねえ旦那さま。いっそ私たちが直接、独身男性の方たちをお屋敷に招いてみません?
だって娘たちに任せていたら、いつまでたっても結婚できなさそうなんだもの。」
……やがてジャムのビンも継母の席へ。
旦那さまも継姉たちも、継母と同じ食卓につくには、少々、押しが弱すぎます。
「そんなに焦らなくてもいいんじゃないか?」
「時間がたつのはあっという間よ!」
継姉たちは終始、黙って俯いておりました。これぞ立派な年頃の乙女の反応です。
シンデレラは、すっかり昨日の魔法もとけて、いつもどおり使用人として食堂の壁ぎわに控えていたのですが。
そんな姉たちの姿を見るのは、とても不思議な気分でした。
(もしもマトモに舞踏会に参加していたら。私も姉さんたちみたいだった、はずだよね。)
もし、体が十六歳のままだったら。もし、あの偉い魔女のファッションセンスがまともだったら。
シンデレラだってそれなりに、お嬢さまらしく振る舞っていたはずなのです。
家族とちょっと話して。有名人を遠くから眺めて。特に冒険するようなこともなく……。
そうですね、王子さまなどという生き物には、決して近寄ることもなかったでしょう。
「………。」
今夜、また魔女がきたら。
丁寧にお礼を言おう、とシンデレラは思いました。
ほぼ昼食の朝ごはんを食べながら、継母はしゃべり始めました。
「昨日の首尾は、あんまり良くないわ。うちの子たちはひっ込み思案で…。」
最後の卵が継母のお皿に消えていきます。
「せっかく独身の方を何人か紹介して頂いたのに。家まで遊びに来てくださる方は、まだいないのよね。」
ミルクも継母が飲み干しました。
「ねえ旦那さま。いっそ私たちが直接、独身男性の方たちをお屋敷に招いてみません?
だって娘たちに任せていたら、いつまでたっても結婚できなさそうなんだもの。」
……やがてジャムのビンも継母の席へ。
旦那さまも継姉たちも、継母と同じ食卓につくには、少々、押しが弱すぎます。
「そんなに焦らなくてもいいんじゃないか?」
「時間がたつのはあっという間よ!」
継姉たちは終始、黙って俯いておりました。これぞ立派な年頃の乙女の反応です。
シンデレラは、すっかり昨日の魔法もとけて、いつもどおり使用人として食堂の壁ぎわに控えていたのですが。
そんな姉たちの姿を見るのは、とても不思議な気分でした。
(もしもマトモに舞踏会に参加していたら。私も姉さんたちみたいだった、はずだよね。)
もし、体が十六歳のままだったら。もし、あの偉い魔女のファッションセンスがまともだったら。
シンデレラだってそれなりに、お嬢さまらしく振る舞っていたはずなのです。
家族とちょっと話して。有名人を遠くから眺めて。特に冒険するようなこともなく……。
そうですね、王子さまなどという生き物には、決して近寄ることもなかったでしょう。
「………。」
今夜、また魔女がきたら。
丁寧にお礼を言おう、とシンデレラは思いました。
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