暖炉が好きなシンデレラ

ねね

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21 噂……

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 ゴン、ゴン。

 ノックのあとしばし。

 ギィーーー。

 重い音とともに町屋敷の扉が開き、厳めしいおばさんが現れます。

「どちら様ですか。」

「こんにちはー、我々はお城の者です。先日、こちらにお手紙をお送りした件でお邪魔したのですけれども。」

 おばさんはぎろりと訪問者を見上げました。

 戸口に佇んでいるのは5人の男たち。

 かっちりした身なりで、年齢は二十代から三十代。何人かは体格が良く、護衛かなにかに見えます。

 そして真ん中にいる男はフードを被り、目の下までスカーフを巻いていました。

 お城から来たとは言うものの。
 ぱっと見が……ちと不審、ですかね。

「少々お待ち下さい。」

 再び閉まる扉。

「……どこも取りつぎに時間がかかるなあ。」

 フード男はぼそりと呟き、腕に抱えたガラスのブーツに目を落としたのでした。

☆ ☆ ☆

 その数日後。

 シンデレラがいるお屋敷に、同じおばさんがやって来ました。彼女は継母のお茶飲み友だちだったのです。

「ああ奥さん聞いてちょうだい。このあいだ、うちに!捜索隊の人たちが来たのよ!」

「え、捜索って何の?」

 おばさんはぐっと距離を詰め、大げさな身振りで継母の腕に触れます。

「それはね。第二王子さまのお嫁さんよ!」

「えええっ。」

「このまえ舞踏会があったじゃない。ほら、第二王子さまがちっちゃい女の子を引っ付けてモジモジしてたの覚えてる?」

「ええ。私はアレ見て、ご結婚は当分なさそうだと思ったわ。」

「私もよ。でもあの女の子、見た目より年上だったらしくて。結婚もできるみたいなの。」

「まあ!」

「続きは中でね。お茶を頂いても良い?茶菓子は持って来たわよ。」

「もちろん、さあいらして。」

 二人はお屋敷の居間へ向かいました。

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