27 / 29
26 巣立ち
しおりを挟む
2ヶ月後。
シンデレラは、生まれ育ったお屋敷を離れて小さな貸し家に引っ越しました。
「もう十六歳ですから、一人立ちします!」
そう言って転職したのです。
まあ、転職先も別のお屋敷の女中さんですけどね……。住み込みでなく、通いの。
ここがポイントです。通いの。
(よしよし、一人暮らし。
これで王子さまがちょくちょく訪ねてきても詮索されずにすむぞー。)
ずはり狙いはそこでございます。
あの日。シンデレラの住みかを特定した王子さまは、さすがにフードを下ろして、当たり障りなく一通りの挨拶をして行かれました。
それは良いのですが……。
それからというもの、王子さまの日課にシンデレラの生態観察がさらっと追加されまして。
なにしろ生態観察なので、時間も頻度も無差別なのですよ。
その距離感に、不思議とシンデレラはころっと慣れてしまったのですけれども。
家人の目は、色々とありまして。
まず継母は、ぶつぶつ呟きながら廊下をさ迷い歩くようになりました。
「王子さま……王子さま……もう、どこで拾って来たのよ!……妹が嫁げば姉にも箔が付く……でもどうしよう、持参金………ないとダメよね??あああ、出すと減るわよね!?」
父親は、大きすぎる魚に恐れをなして、さっさと狩場に逃げてしまいました。
そして、継姉たちは。全く用事を言い付けてくれなくなりました……。
(い、いたたまれないっっっ。)
家族の爆弾、シンデレラ。今はそういう状況なのでございます。
そして別れの日。
目の下に隈をつくった継母は、シンデレラの手を固く握って言いました。
「本当にありがとう、直接ウチからお嫁に行かないでくれて。コレなら持参金を出さずにすむわ!」
(どいたしましてー。)
シンデレラは、半笑いでした。
シンデレラは、生まれ育ったお屋敷を離れて小さな貸し家に引っ越しました。
「もう十六歳ですから、一人立ちします!」
そう言って転職したのです。
まあ、転職先も別のお屋敷の女中さんですけどね……。住み込みでなく、通いの。
ここがポイントです。通いの。
(よしよし、一人暮らし。
これで王子さまがちょくちょく訪ねてきても詮索されずにすむぞー。)
ずはり狙いはそこでございます。
あの日。シンデレラの住みかを特定した王子さまは、さすがにフードを下ろして、当たり障りなく一通りの挨拶をして行かれました。
それは良いのですが……。
それからというもの、王子さまの日課にシンデレラの生態観察がさらっと追加されまして。
なにしろ生態観察なので、時間も頻度も無差別なのですよ。
その距離感に、不思議とシンデレラはころっと慣れてしまったのですけれども。
家人の目は、色々とありまして。
まず継母は、ぶつぶつ呟きながら廊下をさ迷い歩くようになりました。
「王子さま……王子さま……もう、どこで拾って来たのよ!……妹が嫁げば姉にも箔が付く……でもどうしよう、持参金………ないとダメよね??あああ、出すと減るわよね!?」
父親は、大きすぎる魚に恐れをなして、さっさと狩場に逃げてしまいました。
そして、継姉たちは。全く用事を言い付けてくれなくなりました……。
(い、いたたまれないっっっ。)
家族の爆弾、シンデレラ。今はそういう状況なのでございます。
そして別れの日。
目の下に隈をつくった継母は、シンデレラの手を固く握って言いました。
「本当にありがとう、直接ウチからお嫁に行かないでくれて。コレなら持参金を出さずにすむわ!」
(どいたしましてー。)
シンデレラは、半笑いでした。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる