暖炉が好きなシンデレラ

ねね

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26 巣立ち

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 2ヶ月後。

 シンデレラは、生まれ育ったお屋敷を離れて小さな貸し家に引っ越しました。

「もう十六歳ですから、一人立ちします!」

 そう言って転職したのです。

 まあ、転職先も別のお屋敷の女中さんですけどね……。住み込みでなく、通いの。

 ここがポイントです。

(よしよし、一人暮らし。
 これで王子さまがちょくちょく訪ねてきても詮索されずにすむぞー。)

 ずはり狙いはそこでございます。

 あの日。シンデレラの住みかを特定した王子さまは、さすがにフードを下ろして、当たり障りなく一通りの挨拶をして行かれました。

 それは良いのですが……。

 それからというもの、王子さまの日課にシンデレラの生態観察がさらっと追加されまして。

 なにしろ生態観察なので、時間も頻度も無差別なのですよ。

 その距離感に、不思議とシンデレラはころっと慣れてしまったのですけれども。

 家人の目は、色々とありまして。

 まず継母は、ぶつぶつ呟きながら廊下をさ迷い歩くようになりました。

「王子さま……王子さま……もう、どこで拾って来たのよ!……妹が嫁げば姉にも箔が付く……でもどうしよう、持参金………ないとダメよね??あああ、出すと減るわよね!?」

 父親は、大きすぎる魚に恐れをなして、さっさと狩場に逃げてしまいました。

 そして、継姉たちは。全く用事を言い付けてくれなくなりました……。

(い、いたたまれないっっっ。)

 家族の爆弾、シンデレラ。今はそういう状況なのでございます。

 そして別れの日。

 目の下に隈をつくった継母は、シンデレラの手を固く握って言いました。

「本当にありがとう、直接ウチからお嫁に行かないでくれて。コレなら持参金を出さずにすむわ!」

(どいたしましてー。)

 シンデレラは、半笑いでした。

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