冥界の愛

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冥界の探偵 ミノス

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 今回は、ある時は忠実なハデス様の執事で、ある時はカロン爺さんの呑み友達で、ある時は泣く子も黙る怖い裁判官で、ある時は有能な冥界の仕事人(便利屋)で、その正体はイケメンの俺様ミノス様です。
久しぶりの活躍です❣️

♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~



 「は? 何だって?何がないてるって?」


 『ないてる』にも色々とあるが、泣いてる、鳴いてる、哭いてる、啼いてる(俺は鳴かせるがいいなぁ)そんな事を考えながら俺は、帰って来たケイロンに振り向いた。







 ケイロン殿は、冥界の腕のいい面倒見のいいお医者様だ。その為、材料となる薬草収集もするので、いつでも地上に渡る免罪符(許可)がある。
 もちろん半神の身体で、しかも高貴な神の血が入ってるらしく、結界は易々と渡る事ができる。

 そのケイロン名医師様が、
「どうしても足りない薬草がある。それは、地上でしか採取出来ない。そろそろ地上の森も元通りになっていると、最近渡ってきた死者達からも情報を得ている。地上に薬草を取りに行くつもりだ」と、わざわざ俺に話にきた。 

 本当に人って言い訳する時には、斜め上を向くし、多弁になるんだと感心した。ケイロン殿も普段ならそんな事なんて言わずにさっさと薬草でも、牛の糞でも取りにあっちに渡ってるだろうに。 なんだ?俺様は地上にいける自慢か?って聞いたら、大きく目の前で手を振って否定していた。


 「何か、他に 見てきたり聞いてきて欲しいことがあるんじゃないかと思って。私の情報はいつも『それだけ?』『それで?落ちは?』って言われる事が多いから。行く前に、何を調べてきたらいいのか?聞いておこうと思って」
と、ケイロン先生がボソボソと聞いてくる。
 ハハハハ やっぱ ケイロンおまえ、いい奴だな👍




 皆、さすがに冥府宮内では何も言わないが、地上に帰ったペルセフォネちゃんの事を気にしている。


 昨日も、俺の耳にも皆んなの会話が聞こえて来た。

「あっという間の短い間だったな。」
「随分と印象的なお嬢さんだったなぁ」
「どうしてるかな。」
「やっぱり俺達の事を忘れてるんだろうな~」
「まぁ、それでも元気に笑って生きてくれてるなら良いよな、、、」
「「「お前はハデス様か?」」」
なんて冗談を言い合ってる笑い声を聞いた。


 お前たち、、、ハデス様のHearing聴力を舐めるなよ。例え、冥府宮から離れた外の休憩室だろうが、河原の喫煙所の溜まり場だろうが、聞きたい事には文字通り[地獄耳]だぞ、あの方は。 まぁ知らぬが仏ってこの事だよな。ハハハ

でもそんな話題が、まだまだ皆の口にのぼるぐらいには、みんなの心にあのお嬢さんは、何か残してるんだろうな。
 鬼のお兄さんで「鬼おにさーん👹」って着いて回ってたり、なんだか社会見学みたいに、勉強になります!ってあちこちに顔を出しては皆に懐いてた。本当は高貴な神の娘さんだと自覚した後もその態度は変わらなかった。
 向こうに帰るとなった時でさえ、また来てねって思わず言われてた。あちこちに「ありがとう。ありがとう。ホントありがとう」って挨拶してた。「選挙かよ」ってボソッと呟くと、意味もわからないだろうに「そんなに不真面目ではありませんよ」って、何故かわかった様に反論してたけどさ。
あれから俺は手を洗ってないってオニおにさん👹に、「汚ねえ」って笑ってやったよ。
なんだかなぁ~。ちくしょうさみしいな~。ハッキリ言って、向こうで姿見れるケイロンが羨ましいぜ。 


 俺らでも、こんなんなのにな。ハデス様はどうしてるかな。
 まぁ、見た限りでは 以前と変わりなく仕事中毒だけどな。なんだかあの三頭一匹の方が元気がない気がするしな。





 まぁ、そんなこんなで、ケイロン殿が帰って来るのを 実は楽しみにしていた。





 だけど、帰ってきたケイロン殿の報告は奇異な物だった。




「何か、、奇妙な噂話が起きてる。 冥界の入り口が開いていて、コレー様を呼んでいると言うんだ。地獄の怪物が唸り声を上げていると。そしてそれに呼応する様に神殿でも女の泣き声が夜毎にするらしいと。そんな怪談が立っている。」

 え?驚いて思わずタバコを落としそうになった。妙な噂話が起きてる。 冥界の入り口が開いていて、コレー様を呼んでいると言うんだ。地獄の怪物が唸り声を上げていると。そしてそれに呼応する様に神殿でも女の泣き声が夜毎にするらしいと。そんな怪談が立っている。待ってくれ!なんだそれは。謎解きか?呻き声で水の流れで炎?は?何がないてるって???」

「よくわからない。さまざまな音である事は確かだ。
 それにペルセフォネ様がいらっしゃる神殿の方は見つかると困るから、近づく訳にはいかなかった。だから神殿の泣き声の方は確かめる事はできなかった。」


俺は無言でケイロンに続きを促す。

「けれど。そっちは考えられるならペルセフォネ様じゃないだろうか? もしもずっと泣いているとしたら、放ってはおけない。
そうだろう? 万が一でも忘却の術が何か悪影響を与えてるとしたらどうする?何かできる事はないのか?ハデス様に報告した方がいいのか?それで悩んでいる。」




「うーーーーーん。 悪いが少し時間をくれ」

俺はタバコの火を消して、立ち上がった。



 先ずは、もう少し情報を集めてみよう。


 ホント言うと、わざと地上の話は聞かない様にしていた。「あの方は、お嬢さんはスッカリ忘れて暮らしていますよ。」「そんな事なんて、とっくに無かった事になってるでしょう」って、そんな現実を聞くのが、ちょっぴり怖かった。
 それを望んでいたはずなのに。そうさ、平気だとヘカテー嬢に大見得を切ったはずなのにな。実際のところを聞くとグサってくるかもと思って。皆と同じように「確かめようがない事は仕方ない」と目と耳を塞いでいた。
 あー もしかして、ハデス様も同じなんじゃないか?


「ケイロン殿。今回地上に薬草集めに行かれる事はハデス様もご存知ですよね?」

「えぇ、もちろんです。わざわざ行きますとは言いには行きませんが、ちゃんと手続きはしてますから。それに結界を越えるときには毎回の、ハデス様のお力を感じます。あぁ許可されてるんだなと戻って来ても良いんだなと安心します。相変わらず大きなオーラだと凄さも感じる時ですね。」

「そっか。じゃあ、この話も既に伝わってるな」


そう呟いた途端に、久しぶりに来たよ!ほら!例のアレだよ!




ハデス総司令官が頭に直接下命だ!





(「ミノス。仕事は他の者に頼むから、それを最優先でしてくれ」)





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