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ミノスから見た「恐怖で冷徹で残酷の地獄の王」ハデス
しおりを挟むそう言う俺も、ここに落とされた最初の頃は、何でだよ!って何度もハデス様の理不尽な不当の立場を抗議しに行った。
その度に涼しい顔をして俺たちの怒りを鎮める為に、何故か宴会を開いてくれる。
色々な事が起こるたびに、しばらくしてから、やはり冥界の王の仕業だ、恐ろしいと。全ての残虐な事柄は「冥界の王」がやらかしたことになっており、真実ではない噂とともに、事態はいつの間にか終息していった。こうやってますます「恐怖で冷徹で残酷の地獄の王」としてハデス王の名がとどろいていく。
そして 今回のペルセフォネ様が冥界に落ちて来たことも、何か意図を感じざるおえない。
生者である人々の噂では、英雄が死後に到達するエリシオンと言われる場所は、遥か遠い西の海にあり、雪や寒さを知らず、 雨も降らず、爽やかな西風が吹きそよぐ、幸福の地だと言われている。
神の恵みを受けた、その輝かしい生を終えた英雄たちは、この地で死も病気もなく、地獄の裁判官ラダマンテュスの支配のもと幸福な生活を送ると言われている。
散々、正義の大戦だと戦わせ、神殺しや大量殺人をさせておきながら、死んだ後々まで、自分たちの都合良く噂を流して利用だ。
自分たちのために戦って死んだのに、殺した相手と同じのただの死者の国では、都合が悪かったらしい。
そこで、死者の安息の地としてエリシオンの伝説を作り「奉られ」て。
死後も敵とは違う場所に行くから、ますます頑張って戦争を続けろよーと、上手く言いくるめた様だ。
まったく迷惑な話だと聞いた時は笑ってしまった。死者の皆さまは、平等にみんなここ冥界にお越しになります。
心配しなくても、生きていた現世で、何千、何万人の人殺しの英雄様や、人の王や神などの身分によって、エリュシオンに行ける行けないではないから、大丈夫。
きちんと、その人生での魂の浄化に従って、冥界のどこの地で、好きな場所で休んでもらってもいい。
何が好きで、針山に座っていらっしゃる死者がなんと多い事か!
死後の世界だと言ってるのに、この冥界で、何度も何度も飛び降り自殺を繰り返す。既に肉体は死んでるのに飛び降りる奴を見るたびに、高所恐怖症の俺はヒューっと大事なところが寒くなってくる。
やっぱり、ダイブが好きなんだろうか?その割には悲惨な顔して飛び込んでる様だけど。
そんな高い身分や、たくさん人を殺した英雄が死んで素敵な冥界にいけますよー なんて、そんなご都合主義の噂は、全くのデマだから。ていのいい様に御託を並べて追いやった者達を忘れて、自分のした事を無かった事にしたい奴らがデタラメな噂を流している様だ。
誰も自分がやられた事はずっと覚えているものだ。身に染みて、骨に刻んで、恨みを忘れまい。いや、忘れるどころか日が経つに連れ、何度も思い出しては繰り返し、恨みを味わった恐怖を怒りを反芻する度に増していく。
けれど利用し捨てた者達はすっかり、自分たちの非道は忘却してしまう。
そして、他者には、事実を捻じ曲げて厚かましくも美談として噂を流す。
だからこそ、俺たち地獄の(ジャッジメント)裁判官は、噂を鵜呑みにせずに、あらゆる事柄を本人目線だけではなく、全ての目線から捉えて、地獄の裁判官として判断を行う。
必要ならば、罪として自覚がない「自分は、悪くない」と訴えられれば、被害者として非道を行われた視点から、体験させる。蔑まれ、全く忘れ去られる、どれだけの苦痛だったのかを、この地で味わってもらう。身に染みて骨に刻む機会を与えてようやく他者へしたの行為や言葉を思い出すだろう。
それは、、俺自身の生きていた頃の強烈な後悔の人生からきている。犯した大罪を認め、許されない罪を背負う覚悟、魂に刻んだ、その戒めこそが死者へのジャッジの指針となる。
冥界の裁判官の俺でも迷った時は、闇堕ちしていた俺を救った主様を思い出して、主ならどうするだろうと照らし合わせる。ハデス様こそが、俺の手本で、死者として前に立った者を裁くなんて偉そうな事をしている俺のルールブックだ。
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