冥界の愛

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質疑応答

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ハデス 「ミノス」

ミノス 「ハデス様は、地上で起きてる怪現象について、どこまで知っているんですか?」

ハデス 「あの子が泣いている」

ミノス 「そうです。俺に調べろって命じましたよね? でも答えはハデス様の中にあるんじゃないですか?」

ハデス 「私のせいなのか?」

ミノス 「順番に行きましょう。わかりやすいところから。」

ミノス 「まず、ケイロン殿が持ち帰った地上に流れてる噂話のうち、
『地獄の怪物が唸り声を上げている、呻き声、水が流れる様な音、炎の風の音。それは冥界の入り口が開いているんではないか?という憶測』の方から。

 どう聞いてもここ冥界での音、ノイズですよね?」

ハデス 「あゝ そうだろう」

ミノス 「こちらとあちらを繋ぐ通信機が働いてるって事ですよね? じゃあそれは何か?」

ハデス 「考えられるとしたら、界渡りの花がまだ作用してる可能性だな」

ミノス 「ペルセフォネ様が冥界から地上界に渡った時点であの花の効用はなくなってただの花になるはずじゃないのか?」

ハデス 「あの子は自身の力で界渡りをして花の力を使わなかったんだ。無意識かも知れないが。」

ミノス 「確かに、あれだけの高位神のサラブレッドのお嬢さんですし、しかも覚醒済みなんだ。 界渡りする能力的には充分ですね」

ハデス 「冥界に来た時には花の力で落ちて来たのにな。帰る時は自分の力で自分の意思で出て行ったんだ」

ミノス 「だって、実際に帰らないと地上は大変でしたよ。本当に好きで帰ったと思ってるんですか? っていうか、帰らせようとしてたじゃないですか!何を今更。」

ハデス 「すまない、、、、」

ミノス 「話が逸れましたけど。
 まぁ あの花の力が残っていたとしても、あれを通信機として使うには、他にも条件がいるんでしょう? あちらの地上には、あの花があるとしても、こっちの冥界には音を集める媒介となる物がないでしょう?」


ミノス考(ただの花と違う力のある花を通信用として使うには、さまざまな条件がある。拡張機スピーカーと集音器マイクの両方が要る筈だ。地上にはお嬢さんが持って行った花だとしても、こちらには何があるんだ? あれは、使用する物の一部で無ければならない。外界を渡す為には必ず、誰にも誤用されない様な個別の物質として両側に必要だ。
 例えば、『大鎌の魂の刈り取る』死神として小さき人達にすっかり有名となってしまったタナトスだが、人間界に行く時には決して裏切る事のない弟のヒュプノスに自分の心臓を預けてお仕事に出掛ける。
 だから、向こうで何事があってもこっちに帰ってこれる。たまに小さき人の中に力のある物がいて、タナトスを浄化しようとけったいな術を掛けてきたりするらしい。以前に、背中に『悪霊退散』って書かれた変な紙がくっついていた時は笑ったね。もちろん、親切なおれは背中から『落書き』を剥がしてあげたりはしない。しばらく笑えたが、真面目な同僚のアイアコスは「お仕事お疲れ様」と言いながらそっと落書きを剥がしていた。
   アイアコスから聞いた話では、人間がその辺の神に取引を持ちかけてせっかく地上迄 迎えに来てやったタナトスのお仕事を邪魔する奴(その辺の神)がいるらしい。
 一応小さき人と違い、神の名を得てるだけはあり、多少の邪魔にはなるらしいが。それでもタナトスに比べたら、雲泥の差、月とスッポン、天地の差?(この場合どっちが天でどっちが地?)なので、タナトスがお仕事してこない事はほぼ無いな。その辺のただの神とは格が違うのにな。
 そいつを味方にしてタナトスに対抗できるとか思う事が呆れるね。いや、まず、わざわざ迎えに行ってやってるのに「お前何やってんの?」って言ってやりたい。タナトスは正装って言う、あの衣装に手入れの行き届いた大鎌、着替えて心臓預けて気合い入れて迎えに行ってるのに、あの扱われ方差別 同情するよねー。 
 たまに事情があって弟のヒュプノスにお迎えに行かせるんだけど何をどう勘違いしたのか?「天使様がお迎えに来てくださった」とか言われてた、、、、。 腹は出て半裸だったから??明るいボサボサの金髪のせいか?背中の中途半端な羽??のせいか?    
兄弟の容姿の差は弟のヒュプノスが食いしん坊でポッチャリデブで、兄のタナトスはスラっとした痩せすぎぐらいで、同じ様な色白でよく見ると顔は整ってるだけどな。
 そんなに弟が大歓迎されるなら、ヒュプノスに任せてしまう方がいいのか?タナトスはサブに回すか?と話が持ち上がった事もあるが、ヒューの野郎は仕事がいい加減なんだよなぁ。もうちょい時間があるのに早く着きすぎて、向こうで時間がかかったりして妙に生者に見られたりする。遅れたら絶対ダメってにいちゃんが怒るからと、早めに迎えに行ってくれるのは良いんだけど、そこはほら、物陰に隠れて息を殺して陰に影として控えてるもんだろう?それがそんな恰好してるから見つかるんだってタナトスに説教されてるものな。それも踏まえてのタナトスのあの衣装らしい。(じゃあ鎌はいる?)
 それに比べてタナトスはタナトスで、いくら小さき人なれど、精一杯に人生を生きて最後の時としての『死』を迎える者に対して、礼を欠いてはならないと、正装にあのメイクらしい。『生者に対する礼儀』もあるし、何よりあいつは時間も間違いなく『仕事キッチリ』なんだよな。 俺がもし大切な人をお迎えにいって欲しいなら断然タナトスなんだけどな。あっちでの評判は悪いんだよなあ。こっちに来て、誰が何のためにお迎えをタナトスに頼んだのか?それを理解したらタナトスさんの評価は違ってくる。迎えに行った時に散々に暴れたり抵抗した人に限って、こっちに来たらタナトスに「すみませんでしたとありがとうございます」をセットで伝えてる。
 何より、タナトスをその死の国の使者として任命したのはハデス様だ。間違いはない。)




ハデス 「、、、、ここにある」

ミノス 「えっ? すみません、ちょっと他の事考えて。何がここにあるんですか?」

ハデス 「集音器ならここ冥界にあると言ったんだ」

ミノス 「何が集音器マイクになってるんですか?ペルセフォネ様の物ですよね?何もここに残してないですよね?」

ハデス 「最後にネクロマンディオの洞窟に入る前に、あの子は散髪をしたのだ」





ミノス 「   散髪   」????
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