26 / 64
第一章 中核都市デン・ヘルダー
第二十六話 焼け落ちた倉庫
しおりを挟む
ジカイラ達は、デン・ホールンの宿屋を引き払い、次の中核都市エンクホイゼンへ向かう。
街を離れる際に領主の城に挨拶に行くと、領主のアイゼンベルクやツバキ、ホドラム、海賊鮮血の涙、蜥蜴人族長のダグワ・ドルジとその娘のクランが、ジカイラ達の出発を見送る。
ジカイラとホドラムが握手する。
「世話になったな」
「こちらこそ。街を救ってくれて感謝する」
続いてジカイラと蜥蜴人族長のダグワ・ドルジが握手する。
「娘を救ってくれて、ありがとう」
海賊鮮血の涙がヒナの肩に手を置いて言葉を掛ける。
「いい? 逃げ出した先に幸せは無いわ。貴女の居場所は、貴女自身が勝ち取るしか無いのよ。頑張ってね」
「はい」
ティナがクランの手を握って、別れを惜しむ。
「クラン。元気でね」
「色々とありがとう」
ジカイラ達は、デン・ホールンで知り合った者達に別れを惜しまれつつ、次の中核都市エンクホイゼンへ向けて幌馬車を進めた。
中核都市エンクホイゼンは、北西街道を進みデン・ヘルダーを経由して、二日程の距離にある川の三角州に築かれた港街であった。
ジカイラ達は最初のときと同様に、道中、木立の中で一泊し、翌日の昼に再び中核都市デン・ヘルダーを遠くから見ることができた。
デン・ヘルダーの周囲には、先に向かったラインハルトが率いる帝国機甲兵団の飛行戦艦と飛行空母が停泊し、帝国竜騎兵団と帝国魔界兵団、帝国不死兵団が陣地を構築。
上空には総旗艦ニーベルンゲンがあり、以前、ジカイラ達が訪れたときに北西街道沿いに無数に立ち並んでいた『絞首台』は、撤去されていた。
ジカイラ達がデン・ヘルダーへ幌馬車を進めると、絞首台から降ろされたものであろう、革命軍兵士の亡骸があちらこちらに山積みになっていた。
更に進むと、一人の帝国騎士と数人の帝国軍工兵、それに僧侶のグループが、山積みにされた革命軍兵士の亡骸を順番に荼毘に付していた。
幌馬車の手綱を握るジカイラがヒナに話し掛ける。
「帝国軍のデン・ヘルダー進駐は、上手くいっているようだな」
「そうね。革命軍兵士の亡骸を荼毘に付しているところを見ると、ラインハルトさん、上手くやっているみたいね」
幌馬車の荷台からティナが顔を覗かせる。
「私のお兄ちゃんだもん! 上手くいくのは当然ね!」
そう言うと、ティナは何かに気づいたように、空を見上げる。
「沢山の人の魂が、天に還っていく・・・」
ジカイラがティナに話し掛ける。
「・・・判るのか?」
ティナは、空を見上げたまま、ジカイラに答える。
「うん。綺麗・・・」
ジカイラとヒナも空を見上げる。
二人には『人の魂』が天に還っていく様子は判らなかった。
ただ、いくつかの綿雲が浮かぶ、大きく澄んだ青空が広がっている光景しか見えなかった。
程なくジカイラ達の幌馬車は、デン・ヘルダーの城門に到着する。
ジカイラ達は、偽の身分証を提示して城門をくぐり市内へ入ると、同じ宿屋に宿泊を手配する。
宿屋の一階は、食堂 兼 酒場になっており、ジカイラは酒場のマスターに一杯奢って、留守中の出来事を聞く。
酒場のマスターがジカイラに話す。
「進駐してきた帝国軍に、結構な数の麻薬商人と奴隷商人が一斉に逮捕・検挙されたようだ」
「ほほう? 港で??」
「いや。倉庫街さ。ところが、検挙前に倉庫の一つが不審火で燃えてしまったようだ」
「・・・不審火?」
嫌な予感がしたジカイラは、酒場のマスターとの話を切り上げる。
「ありがとな」
「あいよ」
ジカイラは二階に上がると、ヒナやケニー、ルナ、ティナ達に声を掛ける。
「オレ達の留守中に、倉庫の一つが不審火で燃えたって話だ。嫌な予感がする。みんな、倉庫街へ行くぞ!!」
ジカイラ達は、宿屋に幌馬車と荷物を置くと、小走りで倉庫街へ向かう。
ジカイラ達が倉庫街へ到着する。
不審火による火事の現場を二人の帝国騎士と数人の帝国軍兵士が現場検証を行っていた。
火事によって焼け落ちた倉庫の現場を見たジカイラが口を開く。
「不審火で燃えた倉庫って、例の倉庫か」
ケニーも口を開く。
「此処って、全部の窓に内側から板が貼り付けられていた倉庫じゃ・・・?」
ジカイラが答える。
「そうだ。此処はクランが捕まっていた倉庫だ」
ジカイラが、現場検証を取り仕切る二人の帝国騎士に『本物の身分証』を見せ、身分を告げる。
「帝国中央軍 特務部隊のジカイラ大尉だ」
二人の帝国騎士がジカイラに敬礼する。
二人の帝国騎士にジカイラが現場検証の内容を尋ねると、焼け跡から三人の男の焼死体が見つかったとの事であった。
ジカイラが舌打ちした後、呟く。
「活動した拠点の痕跡も、口封じも、抜かり無く消すってか。秘密警察らしい」
ケニーが口を開く。
「そう言えば、デン・ホールンに攻め込んできた軍勢に、秘密警察の姿は無かったね」
ヒナも話に加わる。
「形勢が不利に傾き、自分たちに危険が迫ると、すぐに宿主を変える。まるで寄生虫ね」
ルナが顔をしかめる。
「寄生虫って・・・」
ジカイラが歪んだ笑みを浮かべる。
「その寄生虫が寄生できる宿主も、残りはエンクホイゼン、エームスハーヴェンの二つだけだ」
ジカイラ達は、焼け落ちた倉庫を後にし、宿屋に戻る。
街を離れる際に領主の城に挨拶に行くと、領主のアイゼンベルクやツバキ、ホドラム、海賊鮮血の涙、蜥蜴人族長のダグワ・ドルジとその娘のクランが、ジカイラ達の出発を見送る。
ジカイラとホドラムが握手する。
「世話になったな」
「こちらこそ。街を救ってくれて感謝する」
続いてジカイラと蜥蜴人族長のダグワ・ドルジが握手する。
「娘を救ってくれて、ありがとう」
海賊鮮血の涙がヒナの肩に手を置いて言葉を掛ける。
「いい? 逃げ出した先に幸せは無いわ。貴女の居場所は、貴女自身が勝ち取るしか無いのよ。頑張ってね」
「はい」
ティナがクランの手を握って、別れを惜しむ。
「クラン。元気でね」
「色々とありがとう」
ジカイラ達は、デン・ホールンで知り合った者達に別れを惜しまれつつ、次の中核都市エンクホイゼンへ向けて幌馬車を進めた。
中核都市エンクホイゼンは、北西街道を進みデン・ヘルダーを経由して、二日程の距離にある川の三角州に築かれた港街であった。
ジカイラ達は最初のときと同様に、道中、木立の中で一泊し、翌日の昼に再び中核都市デン・ヘルダーを遠くから見ることができた。
デン・ヘルダーの周囲には、先に向かったラインハルトが率いる帝国機甲兵団の飛行戦艦と飛行空母が停泊し、帝国竜騎兵団と帝国魔界兵団、帝国不死兵団が陣地を構築。
上空には総旗艦ニーベルンゲンがあり、以前、ジカイラ達が訪れたときに北西街道沿いに無数に立ち並んでいた『絞首台』は、撤去されていた。
ジカイラ達がデン・ヘルダーへ幌馬車を進めると、絞首台から降ろされたものであろう、革命軍兵士の亡骸があちらこちらに山積みになっていた。
更に進むと、一人の帝国騎士と数人の帝国軍工兵、それに僧侶のグループが、山積みにされた革命軍兵士の亡骸を順番に荼毘に付していた。
幌馬車の手綱を握るジカイラがヒナに話し掛ける。
「帝国軍のデン・ヘルダー進駐は、上手くいっているようだな」
「そうね。革命軍兵士の亡骸を荼毘に付しているところを見ると、ラインハルトさん、上手くやっているみたいね」
幌馬車の荷台からティナが顔を覗かせる。
「私のお兄ちゃんだもん! 上手くいくのは当然ね!」
そう言うと、ティナは何かに気づいたように、空を見上げる。
「沢山の人の魂が、天に還っていく・・・」
ジカイラがティナに話し掛ける。
「・・・判るのか?」
ティナは、空を見上げたまま、ジカイラに答える。
「うん。綺麗・・・」
ジカイラとヒナも空を見上げる。
二人には『人の魂』が天に還っていく様子は判らなかった。
ただ、いくつかの綿雲が浮かぶ、大きく澄んだ青空が広がっている光景しか見えなかった。
程なくジカイラ達の幌馬車は、デン・ヘルダーの城門に到着する。
ジカイラ達は、偽の身分証を提示して城門をくぐり市内へ入ると、同じ宿屋に宿泊を手配する。
宿屋の一階は、食堂 兼 酒場になっており、ジカイラは酒場のマスターに一杯奢って、留守中の出来事を聞く。
酒場のマスターがジカイラに話す。
「進駐してきた帝国軍に、結構な数の麻薬商人と奴隷商人が一斉に逮捕・検挙されたようだ」
「ほほう? 港で??」
「いや。倉庫街さ。ところが、検挙前に倉庫の一つが不審火で燃えてしまったようだ」
「・・・不審火?」
嫌な予感がしたジカイラは、酒場のマスターとの話を切り上げる。
「ありがとな」
「あいよ」
ジカイラは二階に上がると、ヒナやケニー、ルナ、ティナ達に声を掛ける。
「オレ達の留守中に、倉庫の一つが不審火で燃えたって話だ。嫌な予感がする。みんな、倉庫街へ行くぞ!!」
ジカイラ達は、宿屋に幌馬車と荷物を置くと、小走りで倉庫街へ向かう。
ジカイラ達が倉庫街へ到着する。
不審火による火事の現場を二人の帝国騎士と数人の帝国軍兵士が現場検証を行っていた。
火事によって焼け落ちた倉庫の現場を見たジカイラが口を開く。
「不審火で燃えた倉庫って、例の倉庫か」
ケニーも口を開く。
「此処って、全部の窓に内側から板が貼り付けられていた倉庫じゃ・・・?」
ジカイラが答える。
「そうだ。此処はクランが捕まっていた倉庫だ」
ジカイラが、現場検証を取り仕切る二人の帝国騎士に『本物の身分証』を見せ、身分を告げる。
「帝国中央軍 特務部隊のジカイラ大尉だ」
二人の帝国騎士がジカイラに敬礼する。
二人の帝国騎士にジカイラが現場検証の内容を尋ねると、焼け跡から三人の男の焼死体が見つかったとの事であった。
ジカイラが舌打ちした後、呟く。
「活動した拠点の痕跡も、口封じも、抜かり無く消すってか。秘密警察らしい」
ケニーが口を開く。
「そう言えば、デン・ホールンに攻め込んできた軍勢に、秘密警察の姿は無かったね」
ヒナも話に加わる。
「形勢が不利に傾き、自分たちに危険が迫ると、すぐに宿主を変える。まるで寄生虫ね」
ルナが顔をしかめる。
「寄生虫って・・・」
ジカイラが歪んだ笑みを浮かべる。
「その寄生虫が寄生できる宿主も、残りはエンクホイゼン、エームスハーヴェンの二つだけだ」
ジカイラ達は、焼け落ちた倉庫を後にし、宿屋に戻る。
0
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる