39 / 64
第ニ章 中核都市エンクホイゼン
第三十九話 領主解任
しおりを挟む
ジカイラがラインハルトに尋ねる。
「孤児院を襲おうとしていた奴等は片付いたぞ。・・・で、これからどうするんだ?」
ラインハルトが答える。
「孤児院で一息付いたら、領主のところへ行く」
「そうか」
ジカイラはそう言うと、ラインハルトと肩を組むように首に腕を回し、ヒソヒソ話を始める。
「ところで・・・お前、『後宮』を作ったらどうだ?」
「『後宮』?」
ラインハルトは怪訝な顔をする。
ジカイラが続ける。
「宿屋でのお前とナナイの睦事、音も声も筒抜けだったぞ? 男の側は毎日でも女を抱ける。だが、女の側はそうじゃないからな。そこら辺の事も考えてやれよ」
ジカイラの言葉にも一理あった。
女性には、月のものがあり、性交で妊娠する事もある。
ラインハルト夫婦の場合、どちらかと言えば、ナナイの側が求めてくる場合が多かったため、ラインハルト自身は、そこまで考えたことは無かった。
ラインハルトは、曖昧に答える。
「『後宮』か。考えておくよ」
しかし、ジカイラは尚も食い下がる。
「そこらの貴族でさえ、女を囲っているんだぞ? 世界に冠たるバレンシュテット帝国の皇帝が後宮を作って女を囲ったところで、誰も文句なんて言わないぞ? むしろ『後宮に入れて欲しい』って女が殺到するだろうよ」
ラインハルトは苦笑いする。
「・・・まぁ、そこら辺の事は、だ。・・・ナナイと相談してからだな」
一通り話したジカイラは、話を切り上げる。
「相変わらず、愛妻家だな」
ヒソヒソと話している二人をナナイが訝しげに見る。
「ちょっと! 二人で何の密談!?」
「いや。何でも無い」
ジカイラは誤魔化した。
三人と帝国四魔将達は、孤児院の方へ歩いて行く。
ジカイラ、ラインハルト、ナナイの後にアキックス、ヒマジン、エリシス、リリーが孤児院の中に入る。
斬り刻んだシンジケートのチンピラの返り血に塗れた三人を見て、キラーコマンドの少年たちは、怖気づく。
ラインハルトは、食堂の椅子に腰掛ける。
ジカイラがラインハルトの向かいの席に座り、ナナイがラインハルトの隣に座る。
孤児院に居たヒナ、ティナ、ケニー、ルナがジカイラ達の元にやって来る。
四人は血塗れの三人を見て、ギョッとする。
ヒナがジカイラに話し掛ける。
「ジカさん、お疲れ様。大変だったみたいね」
ジカイラは、笑顔で答える。
「まぁな」
ケニーが口を開く。
「シンジケートは、やっつけたみたいだね」
ジカイラは素っ気なく答える。
「ああ」
ナナイが孤児院の子供達に笑顔で微笑み掛ける。
「麻薬組織は潰したわ。この孤児院は、もう大丈夫よ」
しかし、血塗れの三人を見て、キラーコマンドの少年達は、引きつった苦笑いを浮かべる。
場の雰囲気を和ませるため、ルナが人数分のお茶を淹れて持ってくる。
ルナが淹れたお茶を飲んだラインハルトが口を開く。
「ヒマジン。デン・ヘルダーの帝国軍をこの街に」
ヒマジンが聞き返す。
「陛下。この街を制圧するということで?」
「そうだ。麻薬組織の跳梁を許し、無為無策の領主など不要だ」
「御意」
ヒマジンはラインハルトに一礼すると、エリシスに話し掛ける。
「エリシス。転移門を頼む」
「判ったわ」
ヒマジンは、エリシスが作った転移門を通り、デン・ヘルダーへ向かった。
ヒマジンが出立したことを見届けたラインハルトが口を開く。
「さて。領主の城へ行くか」
ジカイラが答える。
「そうだな。・・・決めるか」
ジカイラ達五人とラインハルト夫妻、帝国四魔将のアキックスとエリシス、その副官のリリーは、領主の城へと向かう。
--小一時間後、エンクホイゼン 領主の城
ジカイラ達は、領主の城の前に着く。
ジカイラが門番に告げる。
「領主に会う。通るぞ」
門番は、役人に案内されて城に来たジカイラ達を覚えていたが、血塗れのジカイラ達の姿に驚愕し、呆然と立ち尽くし、城門を通過することを許してしまう。
ジカイラ達は城内に入り、領主の部屋に入る。
エンクホイゼンの領主メルクリウス・エンクホイゼンは、夕食の晩餐中であった。
ジカイラがメルクリウスに告げる。
「おっさん! 邪魔するぞ!!」
突然、現れたジカイラ達にメルクリウスも驚く。
メルクリウスは、手に持っていたナイフでプルプルと震えながらジカイラ達を指し、口を開く。
「な、何だね! チミ達は!! 私は食事中なのだよ!! それに、何なんだ! その血塗れの姿は!!」
メルクリウスは、手に持っていたナイフをテーブルに置くと、大声で叫ぶ。
「衛兵!! この者達を叩き出せ!!」
二人の衛兵が部屋にやって来て、ジカイラ達を取り押さえようとする。
「無礼者が!!」
そう叫ぶとアキックスは、目にも留まらぬ速さで両手剣を抜き、二人の衛兵を峰打ちで叩きのめす。
アキックスは、手にした剣をメルクリウスに向ける。
「貴様! 皇帝陛下に対する『大逆罪』で、この場で斬り捨てるぞ!!」
「こ、皇帝陛下!?」
アキックスの言葉に再び驚いたメルクリウスは、その席で立ち上がる。
エリシスがメルクリウスに向けて手をかざし、無詠唱で魔法を放つ。
魔力指向弾。
「フギャア!!」
メルクリウスは、晩餐の食卓と共に後ろに吹き飛ぶ。
エリシスは、床に転がるメルクリウスの頭を踏み付けながら言い放つ。
「無礼者は、お前だ! 領主!!」
「ヒィイイイ!!」
ラインハルトは、メルクリウスの前に歩み出ると、静かに告げる。
「私は、バレンシュテット帝国 第三十五代皇帝 ラインハルト・ヘーゲル・フォン・バレンシュテット。エンクホイゼン領主、メルクリウス・エンクホイゼン。汝の領主の任を解く。失せろ」
ラインハルトの言葉を聞いたメルクリウスは、エリシスに頭を踏み付けられたまま、取り乱して喚く。
「お、お待ち下さい! 皇帝陛下!! 陛下! 私は、努力したのです!! 努力したのです!!」
ジカイラはしゃがむと、床でのた打ち回るメルクリウスに悪態を突く。
「諦めな。おっさん!!」
「孤児院を襲おうとしていた奴等は片付いたぞ。・・・で、これからどうするんだ?」
ラインハルトが答える。
「孤児院で一息付いたら、領主のところへ行く」
「そうか」
ジカイラはそう言うと、ラインハルトと肩を組むように首に腕を回し、ヒソヒソ話を始める。
「ところで・・・お前、『後宮』を作ったらどうだ?」
「『後宮』?」
ラインハルトは怪訝な顔をする。
ジカイラが続ける。
「宿屋でのお前とナナイの睦事、音も声も筒抜けだったぞ? 男の側は毎日でも女を抱ける。だが、女の側はそうじゃないからな。そこら辺の事も考えてやれよ」
ジカイラの言葉にも一理あった。
女性には、月のものがあり、性交で妊娠する事もある。
ラインハルト夫婦の場合、どちらかと言えば、ナナイの側が求めてくる場合が多かったため、ラインハルト自身は、そこまで考えたことは無かった。
ラインハルトは、曖昧に答える。
「『後宮』か。考えておくよ」
しかし、ジカイラは尚も食い下がる。
「そこらの貴族でさえ、女を囲っているんだぞ? 世界に冠たるバレンシュテット帝国の皇帝が後宮を作って女を囲ったところで、誰も文句なんて言わないぞ? むしろ『後宮に入れて欲しい』って女が殺到するだろうよ」
ラインハルトは苦笑いする。
「・・・まぁ、そこら辺の事は、だ。・・・ナナイと相談してからだな」
一通り話したジカイラは、話を切り上げる。
「相変わらず、愛妻家だな」
ヒソヒソと話している二人をナナイが訝しげに見る。
「ちょっと! 二人で何の密談!?」
「いや。何でも無い」
ジカイラは誤魔化した。
三人と帝国四魔将達は、孤児院の方へ歩いて行く。
ジカイラ、ラインハルト、ナナイの後にアキックス、ヒマジン、エリシス、リリーが孤児院の中に入る。
斬り刻んだシンジケートのチンピラの返り血に塗れた三人を見て、キラーコマンドの少年たちは、怖気づく。
ラインハルトは、食堂の椅子に腰掛ける。
ジカイラがラインハルトの向かいの席に座り、ナナイがラインハルトの隣に座る。
孤児院に居たヒナ、ティナ、ケニー、ルナがジカイラ達の元にやって来る。
四人は血塗れの三人を見て、ギョッとする。
ヒナがジカイラに話し掛ける。
「ジカさん、お疲れ様。大変だったみたいね」
ジカイラは、笑顔で答える。
「まぁな」
ケニーが口を開く。
「シンジケートは、やっつけたみたいだね」
ジカイラは素っ気なく答える。
「ああ」
ナナイが孤児院の子供達に笑顔で微笑み掛ける。
「麻薬組織は潰したわ。この孤児院は、もう大丈夫よ」
しかし、血塗れの三人を見て、キラーコマンドの少年達は、引きつった苦笑いを浮かべる。
場の雰囲気を和ませるため、ルナが人数分のお茶を淹れて持ってくる。
ルナが淹れたお茶を飲んだラインハルトが口を開く。
「ヒマジン。デン・ヘルダーの帝国軍をこの街に」
ヒマジンが聞き返す。
「陛下。この街を制圧するということで?」
「そうだ。麻薬組織の跳梁を許し、無為無策の領主など不要だ」
「御意」
ヒマジンはラインハルトに一礼すると、エリシスに話し掛ける。
「エリシス。転移門を頼む」
「判ったわ」
ヒマジンは、エリシスが作った転移門を通り、デン・ヘルダーへ向かった。
ヒマジンが出立したことを見届けたラインハルトが口を開く。
「さて。領主の城へ行くか」
ジカイラが答える。
「そうだな。・・・決めるか」
ジカイラ達五人とラインハルト夫妻、帝国四魔将のアキックスとエリシス、その副官のリリーは、領主の城へと向かう。
--小一時間後、エンクホイゼン 領主の城
ジカイラ達は、領主の城の前に着く。
ジカイラが門番に告げる。
「領主に会う。通るぞ」
門番は、役人に案内されて城に来たジカイラ達を覚えていたが、血塗れのジカイラ達の姿に驚愕し、呆然と立ち尽くし、城門を通過することを許してしまう。
ジカイラ達は城内に入り、領主の部屋に入る。
エンクホイゼンの領主メルクリウス・エンクホイゼンは、夕食の晩餐中であった。
ジカイラがメルクリウスに告げる。
「おっさん! 邪魔するぞ!!」
突然、現れたジカイラ達にメルクリウスも驚く。
メルクリウスは、手に持っていたナイフでプルプルと震えながらジカイラ達を指し、口を開く。
「な、何だね! チミ達は!! 私は食事中なのだよ!! それに、何なんだ! その血塗れの姿は!!」
メルクリウスは、手に持っていたナイフをテーブルに置くと、大声で叫ぶ。
「衛兵!! この者達を叩き出せ!!」
二人の衛兵が部屋にやって来て、ジカイラ達を取り押さえようとする。
「無礼者が!!」
そう叫ぶとアキックスは、目にも留まらぬ速さで両手剣を抜き、二人の衛兵を峰打ちで叩きのめす。
アキックスは、手にした剣をメルクリウスに向ける。
「貴様! 皇帝陛下に対する『大逆罪』で、この場で斬り捨てるぞ!!」
「こ、皇帝陛下!?」
アキックスの言葉に再び驚いたメルクリウスは、その席で立ち上がる。
エリシスがメルクリウスに向けて手をかざし、無詠唱で魔法を放つ。
魔力指向弾。
「フギャア!!」
メルクリウスは、晩餐の食卓と共に後ろに吹き飛ぶ。
エリシスは、床に転がるメルクリウスの頭を踏み付けながら言い放つ。
「無礼者は、お前だ! 領主!!」
「ヒィイイイ!!」
ラインハルトは、メルクリウスの前に歩み出ると、静かに告げる。
「私は、バレンシュテット帝国 第三十五代皇帝 ラインハルト・ヘーゲル・フォン・バレンシュテット。エンクホイゼン領主、メルクリウス・エンクホイゼン。汝の領主の任を解く。失せろ」
ラインハルトの言葉を聞いたメルクリウスは、エリシスに頭を踏み付けられたまま、取り乱して喚く。
「お、お待ち下さい! 皇帝陛下!! 陛下! 私は、努力したのです!! 努力したのです!!」
ジカイラはしゃがむと、床でのた打ち回るメルクリウスに悪態を突く。
「諦めな。おっさん!!」
0
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる