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第二章 士官学校
第七話 教官ジカイラ
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士官学校の一室、警察の取調室のような殺風景な部屋にアレクたちは連行された。
「座ってろ。お前らの担任を呼んでくる」
軍監の言葉にアレクたちは素直に従い、椅子に座る。
アレクたちは、ルイーゼ、アレク、アル、ナタリーが前列に、エルザ、トゥルム、ドミトリー、ナディアが後列に座った。
席に座ったアルが口を開く。
「アレク! お前、強いじゃないか!」
アレクが答える。
「君こそ。あの飛び蹴りは決まっていたよ」
「まぁな。ドミトリーもやるね。何か習っていたのか?」
ドワーフのドミトリーが答える。
「武術を少し」
ドミトリーの答えに皆が驚く。
「おぉ!」
アレクがルイーゼに尋ねる。
「君も何か習っていたのか? あの体捌きは凄かった」
ルイーゼが照れながら答える。
「アレク。見てたの? ……恥ずかしいわ」
ルイーゼは、アレクの母である皇妃のナナイが『目付役 兼 護衛』として差し向けた皇宮のメイドである。
彼女は、アレクの前ではそういう素振りを見せないが、それなりに訓練を受けていた。
ナタリーもルイーゼに話し掛ける。
「いや、ルイーゼ、強いって! 私、腕力事は苦手だから、ルイーゼの影に隠れてたもの!!」
ルイーゼの言葉に獣人のエルザも獣耳を動かしながら、口を開く。
「腕力ねぇ……。どんなに腕力があっても、攻撃が当たらなければ意味が無いから」
エルフのナディアもエルザに同意する。
「そうそう」
アレクがナディアに話し掛ける。
「そう言えば、闇の精霊を召喚していたよね? 精霊を召喚できるんだ?」
「そうよ。エルフなら誰でもできるわ」
トゥルクが口を開く。
「皆、私のためにすまない」
アルが笑顔で答える。
「気にすんなよ? 仲間を侮辱されて引き下がったんじゃあ、『ジカイラ・ジュニア』の名が泣くぜ! 『伊達と酔狂』こそ我が信条だ!」
アルの決めセリフに皆がクスリと笑った時だった。
「なぁ~にが、『伊達と酔狂』だ?」
部屋の扉を開ける音と共に男の声が聞こえる。
黒目黒髪で短めのオールバックに髪型を決めた男がアレクたちの部屋に入って来た。
ボディビルダーのような屈強な体躯で帝国軍の軍服を纏い、胸には輝く帝国騎士十字章を付け、豪華な装飾の長い両手剣と、反対側に海賊剣を下げている。
その精悍な顔立ちは、幾多の戦場を戦い抜いてきた『歴戦の戦士』そのものであった。
アルが入ってきた男を見て、席から立ち上がって叫ぶ。
「父さん!?」
士官学校でのアレクたちの担任は、教官になった『黒い剣士』ジカイラであった。
ジカイラがアルに告げる。
「アル。ここではオレを『教官』と呼べ」
「はい!」
アレクたちの世代では、革命戦役と共に伝説になっている『黒い剣士』ジカイラの登場に、アレクたちは目を輝かせる。
アレクが呟く。
「『黒い剣士』ジカイラ……凄い。本物だ」
ジカイラは、アレクの両親と共に革命戦役を戦った英雄であり、港湾自治都市群に蔓延っていた麻薬組織を叩き潰し、カスパニア王国軍十万に一騎で挑み、一騎打ちで敵の大将を倒してカスパニア王国軍を敗走させた英雄であった。
アレクやアルの耳に、後列の席からも呟きが漏れるのが聞こえる。
「……凄い」
「あの伝説の……!?」
ジカイラはアレクに目線を移す。
(こいつがラインハルトの次男坊か……)
ジカイラが皆に告げる。
「お前らを受け持つ教官のジカイラだ。よろしくな。オレのことは『教官』と呼べ!」
「はい!」
ジカイラが続ける。
「……というか、初日から乱闘騒ぎとは元気が良いな! ガキども! ……もっとも、オレや皇帝陛下も初日から乱闘したが」
そう言うとジカイラは笑顔を見せる。
「ところで、一体、何が原因で乱闘になったんだ?」
ジカイラの一番近くに座って居たアレクが、ジカイラに事のいきさつを話す。
仲間を侮辱されたこと、先に殴ってきたのは向こうのグループであることなどを話した。
アレクの話にジカイラは考える素振りを見せる。
「なるほどなぁ……そういう事か」
ジカイラは、アレクたちの周囲をぐるりと一周しながら話し始める。
「戦場において、『仲間』は『家族』と言ってもいい存在だ! 砲弾や矢玉が飛び交う血みどろの戦場で、お前達を助けてくれるのも、支えてくれるのも、守ってくれるのも、『仲間』しか居ない! 『仲間』は全力で守れ! 良いな!?」
「はい!」
ジカイラが続ける。
「入学式は明日。お前達は、まだ士官学校に入学する前だ。従って、今回の事件でお前達に『軍法』は適用されない。よって、軍法会議も営倉入りも無しだ!」
ジカイラの言葉にアレクたちは安堵の息を漏らす。
ジカイラがアレクの前に立って口を開く。
「しかし、担任であるオレから罰を与える……グループのリーダーはお前か?」
驚いたアレクが素っ頓狂な声を上げる。
「え?」
間髪を入れずアルが畳み掛ける。
「そうです! 教官! リーダーはこのアレクです!」
「おい……」
アレクは苦笑いしながらアルを見る。
ジカイラはアレクに告げる。
「立て」
「はい」
ジカイラに言われたとおり、アレクは素直に立ち上がる。
ジカイラは、部屋の入口の方を見て、人を呼び付ける。
「入れ!」
ジカイラに呼ばれ、補給処で乱闘した学生達のリーダー格の学生が部屋に入ってくる。
学生はジカイラに促されるまま、アレクの前に立つ。
ジカイラがアレクと学生に告げる。
「グループの頭同士で握手しろ。同期の『学友』は戦場で『戦友』になる。禍根を残すな。これで手打ちだ!」
アレクはジカイラに気迫負けして、渋々、言われた通り握手をするように右手を差し出し、名乗る。
「アレキサンダー・ヘーゲル」
学生もジカイラには逆らえないようで、アレクと同じように右手を差し出し、アレクと握手すると名乗る。
「ルドルフ・ヘーゲル」
二人が口にした名前に、ジカイラを除く全員が驚く。
アルがアレクに尋ねる。
「同じ名字って……? お前ら、親戚か何かか?」
ルイーゼが呟く。
「ヘーゲルが二人……」
ルドルフは、アレクと握手した手を離すと、アレクたちを一瞥し、無言で部屋から立ち去って行った。
「座ってろ。お前らの担任を呼んでくる」
軍監の言葉にアレクたちは素直に従い、椅子に座る。
アレクたちは、ルイーゼ、アレク、アル、ナタリーが前列に、エルザ、トゥルム、ドミトリー、ナディアが後列に座った。
席に座ったアルが口を開く。
「アレク! お前、強いじゃないか!」
アレクが答える。
「君こそ。あの飛び蹴りは決まっていたよ」
「まぁな。ドミトリーもやるね。何か習っていたのか?」
ドワーフのドミトリーが答える。
「武術を少し」
ドミトリーの答えに皆が驚く。
「おぉ!」
アレクがルイーゼに尋ねる。
「君も何か習っていたのか? あの体捌きは凄かった」
ルイーゼが照れながら答える。
「アレク。見てたの? ……恥ずかしいわ」
ルイーゼは、アレクの母である皇妃のナナイが『目付役 兼 護衛』として差し向けた皇宮のメイドである。
彼女は、アレクの前ではそういう素振りを見せないが、それなりに訓練を受けていた。
ナタリーもルイーゼに話し掛ける。
「いや、ルイーゼ、強いって! 私、腕力事は苦手だから、ルイーゼの影に隠れてたもの!!」
ルイーゼの言葉に獣人のエルザも獣耳を動かしながら、口を開く。
「腕力ねぇ……。どんなに腕力があっても、攻撃が当たらなければ意味が無いから」
エルフのナディアもエルザに同意する。
「そうそう」
アレクがナディアに話し掛ける。
「そう言えば、闇の精霊を召喚していたよね? 精霊を召喚できるんだ?」
「そうよ。エルフなら誰でもできるわ」
トゥルクが口を開く。
「皆、私のためにすまない」
アルが笑顔で答える。
「気にすんなよ? 仲間を侮辱されて引き下がったんじゃあ、『ジカイラ・ジュニア』の名が泣くぜ! 『伊達と酔狂』こそ我が信条だ!」
アルの決めセリフに皆がクスリと笑った時だった。
「なぁ~にが、『伊達と酔狂』だ?」
部屋の扉を開ける音と共に男の声が聞こえる。
黒目黒髪で短めのオールバックに髪型を決めた男がアレクたちの部屋に入って来た。
ボディビルダーのような屈強な体躯で帝国軍の軍服を纏い、胸には輝く帝国騎士十字章を付け、豪華な装飾の長い両手剣と、反対側に海賊剣を下げている。
その精悍な顔立ちは、幾多の戦場を戦い抜いてきた『歴戦の戦士』そのものであった。
アルが入ってきた男を見て、席から立ち上がって叫ぶ。
「父さん!?」
士官学校でのアレクたちの担任は、教官になった『黒い剣士』ジカイラであった。
ジカイラがアルに告げる。
「アル。ここではオレを『教官』と呼べ」
「はい!」
アレクたちの世代では、革命戦役と共に伝説になっている『黒い剣士』ジカイラの登場に、アレクたちは目を輝かせる。
アレクが呟く。
「『黒い剣士』ジカイラ……凄い。本物だ」
ジカイラは、アレクの両親と共に革命戦役を戦った英雄であり、港湾自治都市群に蔓延っていた麻薬組織を叩き潰し、カスパニア王国軍十万に一騎で挑み、一騎打ちで敵の大将を倒してカスパニア王国軍を敗走させた英雄であった。
アレクやアルの耳に、後列の席からも呟きが漏れるのが聞こえる。
「……凄い」
「あの伝説の……!?」
ジカイラはアレクに目線を移す。
(こいつがラインハルトの次男坊か……)
ジカイラが皆に告げる。
「お前らを受け持つ教官のジカイラだ。よろしくな。オレのことは『教官』と呼べ!」
「はい!」
ジカイラが続ける。
「……というか、初日から乱闘騒ぎとは元気が良いな! ガキども! ……もっとも、オレや皇帝陛下も初日から乱闘したが」
そう言うとジカイラは笑顔を見せる。
「ところで、一体、何が原因で乱闘になったんだ?」
ジカイラの一番近くに座って居たアレクが、ジカイラに事のいきさつを話す。
仲間を侮辱されたこと、先に殴ってきたのは向こうのグループであることなどを話した。
アレクの話にジカイラは考える素振りを見せる。
「なるほどなぁ……そういう事か」
ジカイラは、アレクたちの周囲をぐるりと一周しながら話し始める。
「戦場において、『仲間』は『家族』と言ってもいい存在だ! 砲弾や矢玉が飛び交う血みどろの戦場で、お前達を助けてくれるのも、支えてくれるのも、守ってくれるのも、『仲間』しか居ない! 『仲間』は全力で守れ! 良いな!?」
「はい!」
ジカイラが続ける。
「入学式は明日。お前達は、まだ士官学校に入学する前だ。従って、今回の事件でお前達に『軍法』は適用されない。よって、軍法会議も営倉入りも無しだ!」
ジカイラの言葉にアレクたちは安堵の息を漏らす。
ジカイラがアレクの前に立って口を開く。
「しかし、担任であるオレから罰を与える……グループのリーダーはお前か?」
驚いたアレクが素っ頓狂な声を上げる。
「え?」
間髪を入れずアルが畳み掛ける。
「そうです! 教官! リーダーはこのアレクです!」
「おい……」
アレクは苦笑いしながらアルを見る。
ジカイラはアレクに告げる。
「立て」
「はい」
ジカイラに言われたとおり、アレクは素直に立ち上がる。
ジカイラは、部屋の入口の方を見て、人を呼び付ける。
「入れ!」
ジカイラに呼ばれ、補給処で乱闘した学生達のリーダー格の学生が部屋に入ってくる。
学生はジカイラに促されるまま、アレクの前に立つ。
ジカイラがアレクと学生に告げる。
「グループの頭同士で握手しろ。同期の『学友』は戦場で『戦友』になる。禍根を残すな。これで手打ちだ!」
アレクはジカイラに気迫負けして、渋々、言われた通り握手をするように右手を差し出し、名乗る。
「アレキサンダー・ヘーゲル」
学生もジカイラには逆らえないようで、アレクと同じように右手を差し出し、アレクと握手すると名乗る。
「ルドルフ・ヘーゲル」
二人が口にした名前に、ジカイラを除く全員が驚く。
アルがアレクに尋ねる。
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