アスカニア大陸戦記 英雄の息子たち

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第二章 士官学校

第十話 小隊旗と女の子達の入浴

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 午前中で入学式が終わると、アレク達は寮に帰って昼食を取ることとなった。

 寮の食堂に全員が集まる。

 ルイーゼとナタリーが昼食の支度のため台所へ向かうと、エルザとナディアも『手伝う』と言って台所へ向かった。

 少しすると、台所からのけたたましい喧騒が食堂にいるアレク達の耳にも聞こえてくる。

 ルイーゼの叫び声が聞こえる。

「エルザ! お肉は火を通さないとダメよ! 生肉を食べられるのは、獣人ビーストマンの貴女だけでしょ!」

 エルザの不満の声がする。

「え~。血の滴るのが美味しいんじゃない」 

 ナディアの声がする。

「お肉を焼けばいいのね」

 その後、直ぐにナタリーの悲鳴が聞こえる。

「きゃあ! ナディア! 火蜥蜴サラマンダー火炎息ファイヤー・ブレスで焼くなんて、お肉が消し炭になっちゃうじゃない!」

 アルは心配そうにアレクに話し掛ける。

「おいおい……あいつら、大丈夫か?」

 アレクは苦笑いしながら答える。

「食べられるものが出てくるなら、良いんだけどね」

 ドミトリーが口を開く。

「……ところで、『小隊旗』は、どうします? 何か良い案があれば、是非」

 トゥルムも口を開く。

「私達が掲げる旗か」

 アレクが他の三人に話す。

「実は、小隊旗にしたいものがあるんだけど」

 アルも口を開く。

「オレも考えていたものがあるんだ」

 ドミトリーは、図案を考えていた二人に感心する。

「ほぅ? 二人とも、もう考えていたのですか。自分は思いつきませんでした」

 アレクが提案する。

「小隊旗に考えていたのは、これさ」

 アレクが懐から図案の書いた紙を取り出して机に広げ、他のメンバーに見せる。

 それは、アレクの両親であるラインハルトとナナイが革命戦役時に部隊で掲げていた旗『ユニコーン』を書き写したものであった。

 アルが話す。

「ちょっと待て! オレが考えていた図案も!」

 アルも懐から図案の書いた紙を取り出して机に広げ、他のメンバーに見せる。

 アルの図案も、両親であるジカイラとヒナが革命戦役時に部隊で掲げていた旗『ユニコーン』を書き写したものであった。

 同じ『ユニコーン』の図案が出てきたことにドミトリーが驚く。 

「二人とも同じ『ユニコーン』ですか?」

 トゥルムが感心する。

「お前達、旗の図案まで一緒とは、仲が良いな」

 ラインハルトとナナイ、ジカイラとヒナは、革命戦役時、同じユニコーン小隊に所属していた。

 旗の図案が同じ事も当然といえば当然であった。

 アレクが呟く。

「女の子達の意見も聞いてみるけど、恐らくこれで決まりだろう」

 アルも同意する。

「そうだな。通称も二代目『ユニコーン小隊』でいこう!」

 ドミトリーも同意する。

「自分は異論ありません」

 トゥルムも同じであった。



 昼食後、それぞれ午後の時間を過ごし、時間は夕刻になる。

 八人で夕食を済ませると、女の子四人は一緒に入浴しに行く。

 寮の浴場は、それこそ十人で入っても十分な広さがある大浴場であった。

 四人は、脱衣場で服を脱ぐと、体をお湯で流して浴槽に浸かる。

 エルザが猫のような獣耳けもみみを動かしながら、ルイーゼに話し掛ける。

「ねね。ルイーゼのペアって、アレクなんだよね? 彼って、どうなの?」

 ルイーゼが困ったように答える。

「どうって……」

 ナタリーも話し掛ける。

「ルイーゼって、アレクからプロポーズみたいなペア申し込みされてたよね。素敵だった」

 ナディアも話し掛ける。

「ルイーゼとアレクって、付き合ってるの?」

 ルイーゼが答える。

とは、幼馴染で付き合いも長いから……」

 ルイーゼの答えに、ナディアは納得したようだった。

「やっぱり。二人は恋人同士なんだ」

 エルザは嬉々としてルイーゼを追求する。

「それで! それで! それで! ルイーゼは、彼とはどこまで進んでるの? もうキスとか、済ませてるの?」

 ルイーゼが照れながら話す。

「どこまでって……彼とは、まだ、手を握ったくらいで、キスもしていないから……」

 ナタリーが助け舟を出す。

「きっと、アレクは、奥手なのよ」

 四人は、浴槽から上がると、それぞれ大浴場で体を洗い始める。





 ナディアとエルザの二人は、互いに目配せすると、大浴場でフザケて寸劇を始める。

 ナディアがルイーゼ役、エルザがアレク役で、エルザがナディアの肩を抱き、二人でセリフを口にする。

「ルイーゼ、愛してるよ!」

「私もよ! アレク!」

 そう言うと二人でキスする真似をする。

 ルイーゼが照れながら文句を言う。

「え~。私達、まだ、キスなんて、してないわよ!?」

 ナタリーは、三人の様子を見てクスクスと笑っていた。

 


 ナディアとエルザの二人の寸劇がエスカレートする。

 エルザが後ろからナディアの胸を揉みながら、二人でセリフを口にする。

「んん? ルイーゼ、胸が大きくなったんじゃないか?」

「あぁ~ん。貴方が毎日揉んでいるからよ。 アレク」

 過激になる寸劇の内容にルイーゼが驚く。

「ちょっと!? まだ、アレクに胸を揉まれた事なんて、ないから!」

  


 ナディアとエルザの二人の寸劇が更にエスカレートする。

 エルザは、猫のような自分の尻尾の先を器用に股間から前に出して男性器に見立てると、後ろからナディアの腰を両手で掴み、後背位で性交するフリをし始め、腰を振り始める。

「ルイーゼ、オレのものになれ」

「私、初めてなの! アレク」

「さぁ、オレの子を孕むんだ」

「優しくしてね」

 二人の寸劇に、ルイーゼは羞恥から真っ赤になって文句を言う。

「ちょっと! やめてよ! 恥ずかしい! 私、まだ、赤ちゃんが出来るような事なんて、したことないから!」

 ナタリーも頬を赤らめ口元に両手を当てて、寸劇を見詰めている。

 赤くなるルイーゼの様子を見てナディアとエルザは笑うと、二人はルイーゼに謝る。

「ごめんね、ルイーゼ。私、羨ましくって」

「私も。ごめんなさい」

 エルザはため息交じりで続ける。

「私のペアって、トゥルムでしょ? 全然、『女なんて興味無い』って感じで、つまんない」 

 ナディアもエルザに続いて呆れたように告げる

「私のペアのドミトリーもよ。いかにも『脳筋、朴念仁』って感じ」

 ナタリーは苦笑いしながら二人に追従する。

「そうなんだ」

 エルザは、羨ましそうな顔でルイーゼに告げる。

「いいなぁ~、ルイーゼ。私もあんなプロポーズみたいな告白されてみたいなぁ~」

 ナディアもエルザに続きアレクを褒める。

「アレクは、イケメンだし。凄くカッコ良かったよ」

 二人の言葉にルイーゼが照れる。

 ナタリーが口を開く。

「アレクって、女の子みたいな綺麗な顔をしてるよね」

 再びエルザが茶化す。

「アレクが奥手なのは、実は、BLだったとか?」

(※BL:ボーイズラブの略。男の同性愛者のこと)

 エルザの冗談にルイーゼは驚く。

「ええっ!?」 

 ナディアとエルザは、互いに目配せすると再び寸劇を始める。

 今度は、エルザがアル役で、ナディアがアレク役であり、二人はセリフを口にする。

 エルザは、また猫のような尻尾の先を股間から出して男性器に見立てると、ナディアの腰を両手で掴み、後背位で性交するフリをし始める。

「アレク、愛しているよ」

「アル、僕もだよ」

「さぁ、二人でひとつになろう!」

「アル。僕は、初めてなんだ」

 二人の寸劇に対して、ルイーゼは必死に否定する。

「嫌ぁあああ!! 止めて! お願い! 私のアレクが汚れるぅ~!」

 必死なルイーゼを見て、三人は笑う。

「あ~はははは。ルイーゼ、必死だね」

「大切な彼氏だもんね」

「『私のアレク』だって。ウフフ」






 再び四人は、浴槽に浸かる。

 エルザは、浴槽の縁に両手を置くとその上に顎を乗せて呟く。

「ルイーゼは、青春してるなぁ~」

 ナディアがルイーゼに尋ねる。

「ルイーゼから、アレクに気持ちを伝えた事はあるの?」

 ルイーゼは、俯いて答える。

「……そんな……出来ないよ。アレクとは幼馴染だけど、アレクの実家はお金持ちで、私はその実家に雇われているメイドだから、身分が違うし……告白なんて……」

「そっか」

 ナタリーもルイーゼの心中を察したようだった。

 エルザが両腕を組んで話す。

「それじゃ、ルイーゼは、この学校に居る間にアレクの心を掴んでおかないとね!」

 ナディアもエルザに追従する。

「そうそう。それなら、アレクから、アレクの両親に話して貰わないとね。『このひとと一緒になりたいんです!』ってね」

 ルイーゼは不安げに答える。

「……うまくいくかな」

 ナタリーがルイーゼを励ます。

「きっと上手くいくよ!」

 エルザも同意する。

「私も応援するから!」

 ナディアも追従する。

「私も!」

 ルイーゼはお礼を口にする。

「皆、ありがとう」

 四人は、恋愛話で盛り上がった入浴を済ませると、それぞれ自分の部屋に戻って行った。

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