アスカニア大陸戦記 英雄の息子たち

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第二章 士官学校

第十一話 先輩学生達

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 士官学校の授業は、一般教養から剣術、騎乗、体術、魔法、武器や防具、道具の使い方など基礎について幅広く行われた。

 午前中の授業が終わり、昼休みの鐘がアレク達の居る教室に聞こえてくる。

 アレクが授業で使っていた物を片付けていると、教室にガラの悪い者達が入ってくる。

 アレクは、制服をだらしなく着崩して誰かを探しているような彼等を、不思議そうに眺めながらアルに尋ねる。

「なんだ? あいつら?」

 アルがアレクに答える。

「やべぇ! 先輩達だ! アレク、目を合わせるんじゃねぇぞ!」

「先輩?」

「そうだ! ああやって、新入生に目立つ奴がいないか、探し回ってるのさ! 目を付けられたら厄介だからな」

「ふぅ~ん」

 アレクとアルが話していると、先輩学生達がアレクの前に集まってくる。

 先輩学生の一人が口を開く。

「お前か? 補給処で乱闘騒ぎを起こしたのは?」

 先輩学生の言葉にアレクが驚く。

「へ?」

 アルが先輩学生とアレクの間に割って入る。

「いやぁ~。先輩、勘弁してくださいよ。オレ達は『絡まれた側』なんですよ!」

 アルの言葉に先輩学生は、怪訝な顔をする。

「絡まれた側?」

 アルがアレクを掴まえて、デタラメな言い訳をし始める。

「先輩! コイツ、女の子みたいな顔してるでしょ? だから、あいつらに絡まれちゃって! ホラ! 見てください! コイツの顔のココ。殴られて青アザが出来ているでしょ?」

 そう言うと、アルはアレクの顔の青アザを指差して先輩学生に指し示す。

 アレクの顔の青アザは、皇宮でメイドに悪戯して父ラインハルトに殴られた時のもので、補給処での乱闘で出来たものでは無かった。

 ミミズ腫れこそ引いていたが、青紫色に変色した跡は薄くなっていたものの、まだアレクの顔に残っていた。

 先輩学生は、アレクの顔を覗き込み、アルの言い訳を確かめる。

「……本当だ。痛そうだな」

 アルは愛想笑いを浮かべながら、先輩学生に同意を求める。

「でしょ?」

 先輩学生は、フンと鼻を鳴らして両腕を組むとアレク達に告げる。

「騒動を起こすような新入生がいたらシメてやろうと思ったんだが、お前達じゃなさそうだなぁ」

 先輩学生とアレク達のやり取りを聞き付けた小隊のメンバーがアレク達の元に集まってくる。

 蜥蜴人リザードマンのトゥルムがアレクに話し掛ける。

「どうかしたか? アレク?」

「いや、別に」

 先輩学生達は、集まってきた亜人達のいる小隊のメンバーを見て驚く。

 特に蜥蜴人リザードマンのトゥルムは、先輩学生達よりふた回り以上大きい体躯があるため、先輩学生達は肝を潰したようであった。

 アレクの前にいる先輩学生が仲間に告げる。

「こ、こいつらじゃねぇ! おい! 向こうだ! 行くぞ!」

 そう言うと先輩学生達は、アレク達の教室からぞろぞろと出ていった。




 安心したアルがアレクに話し掛ける。

「ふぅ。何とかなったな」

 アレクがアルに尋ねる。

「あの人達に目を付けられたら、何かあるのか?」

 アルが答える。

「先輩達に目を付けられたら、後で呼び出されて、集団で袋叩きにされるぞ! ……関わらないほうが良い」

「そうなんだ」

 納得いかないといった表情のアレクに、アルが笑顔を見せながら話す。

「けど、先輩達、トゥルム達を見てビビっていたみたいだな! 傑作だった!」

 アルの言葉に傍らのトゥルムが不満げに答える。

「人間から見て、そんなに怖い顔しているのか? 私は?」

 アレクが説明する。

「いいや。トゥルムの体格が先輩達より大きいからさ」

「そういう事か」

 アレクの説明にトゥルムは納得したようであった。

「むぅ……それでは、自分では抑止力には、なりませんねぇ」

 ドワーフのドミトリーは悔しそうに武術の型をやってみせる。

 体の大きさでは、ドワーフは人間の三分の二くらいの身長しか無いためであった。

 ドミトリーの言葉にアレク達小隊のメンバーは、笑い出す。

 ナディアも人差し指を立て、片目を瞑って自慢気に話す。

「なぁに。さっきの不良達がまた来たら、今度は火蜥蜴サラマンダーを差し向けてやるんだから!」

 アルがナディアにツッコミを入れる。

「それじゃ、学校が火事になるだろ!」

 ナタリーも口を開く。

「それなら、いざという時は、私の睡眠雲スリープクラウドの魔法で!」

 再びアルがナタリーにツッコミを入れる。

「教室の全員が眠っちまうよ!」

 アルのツッコミに小隊のメンバーは、再び笑い出した。




--放課後。

 一日の授業が終わり、アレク達は寮に帰る準備を始める。

 アルがアレクに話し掛ける。

「やっと、今日の授業が終わったな」

「ああ。いろいろと今日は助かったよ。アル」

「なぁに。大したことはしてないさ」

 突然、一人の学生がアレク達の教室に駆け込んで来た。

 学生はアレクを見つけると、アレクの元に駆け寄って来て、助けを求めてくる。

「大変だ! 頼む! 助けてくれ!」

 アレクが助けを求める学生をよく見ると、補給処で乱闘した相手グループの学生の一人であった。

 アレクが驚いていると、アルが学生に尋ねる。

「どうしたんだ?」

 学生は、呼吸を整えると口を開く。

「ルドルフが先輩達に連れて行かれたんだ!」

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