5 / 49
ダンジョン・マスター第一部
5.ダンジョン運営:一周目
しおりを挟む
その日、俺は父さんと車で十数分の距離にあるデパートに来ていた。
「なぁ、何を買うんだ?」
休日の朝、起きたら藪から棒に「買い物に行くぞ」と言われて、連れだされたのだ。まだその理由すら聞いてない。車内で聞こうかとも思ったんだが、起き抜けだったために意識がぼーっとしていて、そこまで頭が回らなかった。
「いや……なんだ、来月母の日があるだろう。とは言え父さんの母さんはもう亡くなってしまったから、何も渡すことは出来ない。代わりと言ってはなんだが、うちの母さんには何かと世話になっているし、お前から母さんに何か渡してもらおうと思っていてな」
ちょっと照れながらそう話す父さん、確かに父さんの母さん……つまり俺の祖母に当たる人は、去年病気で亡くなってしまった。子供の頃は正月やお盆にはよく遊びに行っていたので、亡くなったと聞いたときは俺も悲しかった。身近な人の死を初めて目の当たりにしたとき、俺は自分で思っていた以上に衝撃を受けていたのである。両親には取り乱した姿を見せてしまった。
そんな事情もあり、父さんなりに何か考えるところもあったのだろう。毎年母の日と言えば、俺が買ってきたカーネーションの花束を渡すのが恒例になっていたが、今年は他にも違うものを、ということだ。
「なるほど、それでその渡すものを買いに来たという訳か」
「そうだ、正直父さんでは何を買っていいのかわからないからな、ここはお前だけが頼りだ」
情けない内容を自信満々に言う父さん、そこは誇れるところじゃないぞ……
「つってもなぁ……母さんが喜ぶものというと……」
最近何か欲しいとか言っていただろうか、思いつくのは……
「確か、テレビでやってた百均の特集で欲しい便利グッズがあったとか」
「それを母の日にあげるのは父さんでも流石にどうかと思うぞ」
そうですよね。
「うーん、だって、あんまり高いものは駄目なんだろ?」
「高いっていうとどれくらいだ?」
「例えばさぁ、欲しがるとは思わないけど、ブランド物のバッグとか」
よく知らないが、数千円で買えるものじゃないよな?
「お前、父さんの小遣い知ってるのか? とてもじゃないがそんなもの買えないぞ」
父さん、結構苦労しているんだね、そりゃ昼飯に牛丼ばっかり食べるわけだよ。
小遣いの少なさにちょっと同情してしまう俺である。
「じゃあ高価なものは除外するとして……他には母さんの趣味方面から攻めるとか」
「趣味か……ガーデニング用品とかか?」
母さんは家の庭に色々と花を植えたりしている、四季折々で色々な姿を見せる庭は綺麗ではあるのだが、夏は蜂やらなんやらが寄ってきてちょっと怖い。
「でも、それだと俺達じゃあ何が必要とかさっぱりわからないな」
「そうだな……庭は母さんの領土みたいなものだし」
これじゃあ何を買っていいかわからないな。ガーデニング方面はやや厳しいか。
「料理に使う何かを買うとか」
「そういえば前に高機能ミキサーが欲しいとか言っていた気がするな」
「ああ、あの通販の番組でやってたやつか、でもあれ、確かサンキュッパだったような……」
「三九八〇円か? 安いじゃないか」
「そんな訳ないじゃん、桁が一つ足りないよ」
「ミキサーって、そんなに高いのか……」
そんな馬鹿なという顔をして驚く父さん。気持ちはわかるが、事実である。
「色々セットになった高機能ミキサーだったからなあ……」
下手するとブランド物より高いかも知れない。
「ここはやっぱり、定番で攻めるべきじゃないか?」
「定番っていうと、花束か?」
「そうなるね」
男二人で色々と案を出し合っても、情けないことに予算の都合やらでうまくいきそうにないからだ。
「ほら、あそこに母の日フェアってコーナーがあるから、見に行ってみようよ」
母の日を来月に控えた現在、デパートでは至る所に母の日のプレゼントにどうぞ! というコーナーが設置されている。
「うむ……わかった、行ってみよう」
父さんも定番はありだと思ったのか、気を持ち直して頷く。
さて、そうしてやってきた母の日コーナー。結構なスペースをとっているそこには、様々な品が並んでいる。
「ビールの詰め合わせとか……お中元じゃないんだからさ」
本当に母の日を意識しているのか微妙な商品もちらほら見受けるが、気にしないことにする。
「おい、これとかいいんじゃないか?」
父さんに呼ばれて見てみれば、そこにはプリザーブドフラワーが展示されていた。作り物の造花とは違い、生花を長期間保存出来るように加工したものである。
「へぇ、綺麗なもんだね、いいんじゃないの」
展示されている花はどれも美しい色合いをしており、サイズも小さいものから大きいものまで様々である。これならちょうどいい値段のものを選べそうだ。
「買うならどれだと思う?」
「うーん、カーネーションは俺が今年も買う予定だから、それ以外かなぁ」
まぁ、別々にしないでプリザーブドフラワーのカーネーションだけ買うという手段もあるけど、やはりここは父さんが選んだものを、父さんから母さんに渡してもらいたいものだ。
「ならこれにするか」
周りにあるプリザーブドフラワーは薔薇やカーネーションの物が多い中、父さんは少し地味な紫陽花やかすみ草が飾られている和風のプリザーブドフラワーを選んだ。
「なんでそれに?」
「母さんの実家には綺麗な紫陽花が咲いていたんだ、だから目についたのかもな」
なるほど、そういう事ならその方がいいかもしれない。
「じゃあそれにしようか。値段も手頃だし」
この値段なら父さんの小遣い事情でも問題あるまい。あったとしたら悲しすぎる。
「ああ、後、それとは別に何かおいしいものでも当日届くようにするか」
口では母の日のプレゼントだということを主張しながらも、絶対自分も食べたいから頼む気だな。さっきから目線が食べ物コーナーに向いている。
「まぁ……俺は父さんの金だからいいけどさあ」
「うっ……母さんから援助ないだろうか」
母の日のプレゼントに母からの援助を期待してるんじゃねえ。
「わかったわかった、俺も少し払うから」
「うむ、流石我が息子だな」
立ち直りはええなおい。まあ、いいけどさ。
そうして俺達は母の日のプレゼントを選び終え、母の日に届くように手配も済ませた。
後は、当日を待つばかりだ。
……
先日は人生で一番混乱して、驚いて、色々とあった日だったので、精神的に疲れを感じていた俺は泥のように眠っていた。
母の日のプレゼントを父さんと買いに行った夢を見ながらも、俺は自分を呼ぶ声に気がついた。
マオー様? 違うよ……俺の名前は……
「魔王様、起きてください」
「うおお!?」
瞼を開くと目の前に赤い髪に赤い目の美女がいた。黒いスーツがばっちり決まっている。切れ長の目が俺を見下すような目で見ていて、なんだかアブナイ趣味に目覚めてしまいそうだ。って、メリルじゃないか。
「魔王様、起きられましたか」
改めて確認するようにメリルが訊いてくる。
「お、おう、起きたぞ、おはようだぞ」
「何やら口調がおかしいようですが」
「い、いや、ごほんっ、大丈夫だ。おはようメリル」
昨日の出来事は夢じゃなかったか、どうやら魔王になったっていうのは現実だったらしい。
……結局、夢で見た母の日を迎える前に、俺はこの世界に来ちまったんだよな。プレゼント自体はちゃんと届くだろうけど、その場に俺がいるかどうかは現状かなり怪しい。
「大丈夫ですか? まだ寝ぼけていらっしゃいますか?」
「い、いや、ちょっと現状を把握して混乱していただけだ」
両親のことは気になるが、今はそれについて考えている場合ではない。帰る方法を探すにも何にしても、行動を起こさねばどうにもならないのだから。
俺は俺に出来る事を少しずつやっていくしかない。
「そうでしたか、まあ、それも無理はないと思いますが、起きて広間に来ていただけませんか?」
「ん、いいけど、広間で何かあるのか?」
「はい、身の回りの世話をするものを紹介しようかと」
「あ、そんな人いたんだ」
「はい、先日は自室に待機させておりましたが、本日からは職務に就いてもらおうと思っています」
どんな人だろう。メリルみたいに話しやすい人だといいのだけど。
「先に断っておきますが、腕は確かなのですが、少々、いや、かなり変わり者なので、失礼な言動をするかもしれません、その際はよく言い聞かせておきますので、ご容赦ください」
「ん、わかった」
メリルにかなり変わり者って言わせる人物ってどんな人だよ。なんだか不安になってきた。
身支度を整えた俺は第二層の広間へと向かった。
そこにいたのはメリルと……メイド服を着た、病的に白い肌を持つ女性だった。身長はややメリルより低いだろうか。その女性は紫の髪にやや眠そうに垂れた赤い目を持ち、頭部には小さな角が二本、背中からは蝙蝠のような羽がぱたぱたと揺れている。そして、臀部からは先端の尖った尻尾。メイド服の胸の部分は大きく押し上げられており、ついついそこに目がいってしまう。
「魔王様、この者が我々の身の回りの世話をするアーシャです」
「よ、よろしく」
メリルとはまた違ったタイプの美人に、若干気圧されながら挨拶をする。
「メリル様ぁー、魔王様って、人間?」
そしてアーシャと呼ばれた彼女はいきなり爆弾を投下した。
「アーシャッ!!」
「待って、待ってくだサイ、メリルサン、落ち着いて、どうどう」
反射的になだめてしまう俺。今この場を見ている第三者がいるとしたら、魔王はメリルだと思うことだろう。俺でもそう思う。
「大丈夫、俺は気にしてない、だから怒らないで、俺が怖い」
しかもアーシャは平気そうだ。俺だけがこんなに怯えていて理不尽さを感じる。
「ですが……」
「まあまあ、えーっと、アーシャだよな、俺は異世界人なんだ。人間じゃないんだよ」
「そうだったのですかぁ、失礼いたしましたぁ」
ここまで謝っている雰囲気を感じない謝罪も珍しいというくらいの軽いノリである。
「アーシャ、二度は許しませんからね」
「はぁい」
「それでは職務に励みなさい」
「わかりましたぁ」
「頑張ってなー」
おざなりに手を振りながら、ぱたぱたと翼を揺らしてアーシャは仕事に向かった。
「申し訳ありません、まさかいきなりあんなことを言うとは思わず……」
「それはもういいって、しかし、なるほど確かに変わり者だ」
「アーシャはダークエルフである私に幼少から仕えているインプのメイドなのですが、あのマイペースさというか、傍若無人さがどうにも……私の出自を気にしていないのは助かるのですけどね……」
「じゃあ信頼出来るんだ」
「ええ、ですがそれ以上に困らされることも多いんですけどね」
「それは一目見ただけでなんとなくわかった」
天然っぽそうだもんなぁ……
「本当に、突然変なことをしだす可能性もあるので、あまり気にしないでおいてください」
「怖いような楽しみなような……」
その後、アーシャが作った朝食を済ませた俺は、メリルに付き添ってもらいながら魔法の練習を昼まで行った。
既に準備をしていたのだろう。アーシャの作った朝食はパンとスープという簡単なものだったが、かなり美味しかった。
そして昼食後、現状把握ということで食材の在庫を確認していたのだが、少々まずいことがわかった。
「食材は持って二週間から三週間か……」
「そうですね、節約すれば一ヶ月は持たせられるかもしれませんが、それ以上となると厳しいと思われます」
「まだ魔界とゲートをつなげるのは無理だし、周辺の森林で狩りでもするか?」
「うまくいけばある程度の食料は確保出来るかもしれませんが、狩りの経験者がおりませんね」
「畑を作ってもそんなすぐに収穫出来るもんでもないしな……」
「人間の集落から略奪しますか?」
「現状の戦力で略奪は結構厳しいんじゃないか?」
「そうですね、私が出れば問題なくなりますが…下手すると人間界の国に目をつけられる可能性もありますし…」
メリルも略奪には乗り気じゃないみたいだった。俺としても人間を襲うのは最後の手段にしたい。
「とりあえずは人目につかないように気をつけながら、狩りでも試してみるか」
「わかりました、私の方でも食料の確保に動いてみます」
「ああ、よろしく頼むよ」
ダンジョン運営も楽じゃないなあ、と考えながら、その日は魔法の練習に明け暮れた。
翌朝、起きると真っ裸にされていた。
「きゃああああああああああああ!!」
思わず女性みたいな悲鳴をあげてしまう俺。
「魔王様!? どうかなさいましたか!?」
飛び込んできたメリルから自分の体を隠すようにシーツを巻きつける。
「お、お、起きたら何故かマッパに!」
「あたしがぁ、脱がしましたぁ、洗濯しないといけないのでー」
いつの間にか忍び込んでいたアーシャがさも当然という顔でのたまう。
「アーシャッ! 寝ている人の服を脱がすのは止めなさいと言ったでしょう!」
「そうでしたっけー?」
それよりもどうやって起こさないように服を脱がしたんだ……
「そこはぁ、あたしのウルテクでー」
「お黙りなさい!」
朝からどっと疲れた俺である。
少々小さいがじいさんの服を着て、朝食を摂っていると、メリルから今後の方針を説明された。
「魔王様の魔力にはまだまだ余裕がありますので、いち早く第三層の開拓を行いたいと思っております」
「防衛力も最下級の魔物じゃ不安だしな、確かに早めに着手するべきだ」
「しかし、現状動かせる労働力がスケルトン程度しかおりませんので、誠に申し訳ないのですが、魔王様にも開拓作業にご参加いただけないでしょうか」
「あー、そうだな、わかった。メリルが指示を出してくれれば、その通り動くよ」
「ありがとうございます、それでは早速ですが、今日の午後から開拓作業を進めていきましょう」
「んじゃ、午前中はいつもどおり魔法の練習をしますかね」
「はい」
日々練習を繰り返したおかげか、魔力の扱いには大分慣れてきた。やはり皮膚感覚の延長のように扱うと、うまく行きやすい。逆に魔力を飛ばしたりするのはまだ苦手なのだが。
「それでは魔王様はあちらのブロックを地形操作の魔法で崩していってください」
「了解―」
「スケ蔵とスケ道はつるはしを使ってこの通路の奥にある小部屋を掘り起こすように」
「「カタカタカタカタ」」
スケ蔵とスケ道は呼び出したスケルトン達だ。名前は俺がつけた。メリルは最初名前で呼ぶのを嫌がっていたが、俺がずっと呼んでいたので慣れたらしい。
基本的に第三層の開拓作業は、過去開拓した部分を掘り起こすようにして進めている。
地図と地形から掘るべき場所を指示するのがメリルで、実際に掘り起こすのが俺たちという訳だ。
「<<我が体の一部を行使する>>」
これは汎用的操作魔法だ。自身の魔力を通した物体を、ある程度自由に動かすことが出来る。俺はこの魔法を使って崩すべきところに魔力を通し、周りにどかしていく作業が担当だ。
重機も無いのに有り余る魔力量で、無理やり切り開けるという便利魔法である。まあ、実際はメリルから細かい指示が出るので、力任せに壊せばいいってものではないのだが。
「ええと、魔王様、次はあちらをお願いします」
「OK―」
こうして第三層の開拓作業は順調に進んでいる。
「なぁ、何を買うんだ?」
休日の朝、起きたら藪から棒に「買い物に行くぞ」と言われて、連れだされたのだ。まだその理由すら聞いてない。車内で聞こうかとも思ったんだが、起き抜けだったために意識がぼーっとしていて、そこまで頭が回らなかった。
「いや……なんだ、来月母の日があるだろう。とは言え父さんの母さんはもう亡くなってしまったから、何も渡すことは出来ない。代わりと言ってはなんだが、うちの母さんには何かと世話になっているし、お前から母さんに何か渡してもらおうと思っていてな」
ちょっと照れながらそう話す父さん、確かに父さんの母さん……つまり俺の祖母に当たる人は、去年病気で亡くなってしまった。子供の頃は正月やお盆にはよく遊びに行っていたので、亡くなったと聞いたときは俺も悲しかった。身近な人の死を初めて目の当たりにしたとき、俺は自分で思っていた以上に衝撃を受けていたのである。両親には取り乱した姿を見せてしまった。
そんな事情もあり、父さんなりに何か考えるところもあったのだろう。毎年母の日と言えば、俺が買ってきたカーネーションの花束を渡すのが恒例になっていたが、今年は他にも違うものを、ということだ。
「なるほど、それでその渡すものを買いに来たという訳か」
「そうだ、正直父さんでは何を買っていいのかわからないからな、ここはお前だけが頼りだ」
情けない内容を自信満々に言う父さん、そこは誇れるところじゃないぞ……
「つってもなぁ……母さんが喜ぶものというと……」
最近何か欲しいとか言っていただろうか、思いつくのは……
「確か、テレビでやってた百均の特集で欲しい便利グッズがあったとか」
「それを母の日にあげるのは父さんでも流石にどうかと思うぞ」
そうですよね。
「うーん、だって、あんまり高いものは駄目なんだろ?」
「高いっていうとどれくらいだ?」
「例えばさぁ、欲しがるとは思わないけど、ブランド物のバッグとか」
よく知らないが、数千円で買えるものじゃないよな?
「お前、父さんの小遣い知ってるのか? とてもじゃないがそんなもの買えないぞ」
父さん、結構苦労しているんだね、そりゃ昼飯に牛丼ばっかり食べるわけだよ。
小遣いの少なさにちょっと同情してしまう俺である。
「じゃあ高価なものは除外するとして……他には母さんの趣味方面から攻めるとか」
「趣味か……ガーデニング用品とかか?」
母さんは家の庭に色々と花を植えたりしている、四季折々で色々な姿を見せる庭は綺麗ではあるのだが、夏は蜂やらなんやらが寄ってきてちょっと怖い。
「でも、それだと俺達じゃあ何が必要とかさっぱりわからないな」
「そうだな……庭は母さんの領土みたいなものだし」
これじゃあ何を買っていいかわからないな。ガーデニング方面はやや厳しいか。
「料理に使う何かを買うとか」
「そういえば前に高機能ミキサーが欲しいとか言っていた気がするな」
「ああ、あの通販の番組でやってたやつか、でもあれ、確かサンキュッパだったような……」
「三九八〇円か? 安いじゃないか」
「そんな訳ないじゃん、桁が一つ足りないよ」
「ミキサーって、そんなに高いのか……」
そんな馬鹿なという顔をして驚く父さん。気持ちはわかるが、事実である。
「色々セットになった高機能ミキサーだったからなあ……」
下手するとブランド物より高いかも知れない。
「ここはやっぱり、定番で攻めるべきじゃないか?」
「定番っていうと、花束か?」
「そうなるね」
男二人で色々と案を出し合っても、情けないことに予算の都合やらでうまくいきそうにないからだ。
「ほら、あそこに母の日フェアってコーナーがあるから、見に行ってみようよ」
母の日を来月に控えた現在、デパートでは至る所に母の日のプレゼントにどうぞ! というコーナーが設置されている。
「うむ……わかった、行ってみよう」
父さんも定番はありだと思ったのか、気を持ち直して頷く。
さて、そうしてやってきた母の日コーナー。結構なスペースをとっているそこには、様々な品が並んでいる。
「ビールの詰め合わせとか……お中元じゃないんだからさ」
本当に母の日を意識しているのか微妙な商品もちらほら見受けるが、気にしないことにする。
「おい、これとかいいんじゃないか?」
父さんに呼ばれて見てみれば、そこにはプリザーブドフラワーが展示されていた。作り物の造花とは違い、生花を長期間保存出来るように加工したものである。
「へぇ、綺麗なもんだね、いいんじゃないの」
展示されている花はどれも美しい色合いをしており、サイズも小さいものから大きいものまで様々である。これならちょうどいい値段のものを選べそうだ。
「買うならどれだと思う?」
「うーん、カーネーションは俺が今年も買う予定だから、それ以外かなぁ」
まぁ、別々にしないでプリザーブドフラワーのカーネーションだけ買うという手段もあるけど、やはりここは父さんが選んだものを、父さんから母さんに渡してもらいたいものだ。
「ならこれにするか」
周りにあるプリザーブドフラワーは薔薇やカーネーションの物が多い中、父さんは少し地味な紫陽花やかすみ草が飾られている和風のプリザーブドフラワーを選んだ。
「なんでそれに?」
「母さんの実家には綺麗な紫陽花が咲いていたんだ、だから目についたのかもな」
なるほど、そういう事ならその方がいいかもしれない。
「じゃあそれにしようか。値段も手頃だし」
この値段なら父さんの小遣い事情でも問題あるまい。あったとしたら悲しすぎる。
「ああ、後、それとは別に何かおいしいものでも当日届くようにするか」
口では母の日のプレゼントだということを主張しながらも、絶対自分も食べたいから頼む気だな。さっきから目線が食べ物コーナーに向いている。
「まぁ……俺は父さんの金だからいいけどさあ」
「うっ……母さんから援助ないだろうか」
母の日のプレゼントに母からの援助を期待してるんじゃねえ。
「わかったわかった、俺も少し払うから」
「うむ、流石我が息子だな」
立ち直りはええなおい。まあ、いいけどさ。
そうして俺達は母の日のプレゼントを選び終え、母の日に届くように手配も済ませた。
後は、当日を待つばかりだ。
……
先日は人生で一番混乱して、驚いて、色々とあった日だったので、精神的に疲れを感じていた俺は泥のように眠っていた。
母の日のプレゼントを父さんと買いに行った夢を見ながらも、俺は自分を呼ぶ声に気がついた。
マオー様? 違うよ……俺の名前は……
「魔王様、起きてください」
「うおお!?」
瞼を開くと目の前に赤い髪に赤い目の美女がいた。黒いスーツがばっちり決まっている。切れ長の目が俺を見下すような目で見ていて、なんだかアブナイ趣味に目覚めてしまいそうだ。って、メリルじゃないか。
「魔王様、起きられましたか」
改めて確認するようにメリルが訊いてくる。
「お、おう、起きたぞ、おはようだぞ」
「何やら口調がおかしいようですが」
「い、いや、ごほんっ、大丈夫だ。おはようメリル」
昨日の出来事は夢じゃなかったか、どうやら魔王になったっていうのは現実だったらしい。
……結局、夢で見た母の日を迎える前に、俺はこの世界に来ちまったんだよな。プレゼント自体はちゃんと届くだろうけど、その場に俺がいるかどうかは現状かなり怪しい。
「大丈夫ですか? まだ寝ぼけていらっしゃいますか?」
「い、いや、ちょっと現状を把握して混乱していただけだ」
両親のことは気になるが、今はそれについて考えている場合ではない。帰る方法を探すにも何にしても、行動を起こさねばどうにもならないのだから。
俺は俺に出来る事を少しずつやっていくしかない。
「そうでしたか、まあ、それも無理はないと思いますが、起きて広間に来ていただけませんか?」
「ん、いいけど、広間で何かあるのか?」
「はい、身の回りの世話をするものを紹介しようかと」
「あ、そんな人いたんだ」
「はい、先日は自室に待機させておりましたが、本日からは職務に就いてもらおうと思っています」
どんな人だろう。メリルみたいに話しやすい人だといいのだけど。
「先に断っておきますが、腕は確かなのですが、少々、いや、かなり変わり者なので、失礼な言動をするかもしれません、その際はよく言い聞かせておきますので、ご容赦ください」
「ん、わかった」
メリルにかなり変わり者って言わせる人物ってどんな人だよ。なんだか不安になってきた。
身支度を整えた俺は第二層の広間へと向かった。
そこにいたのはメリルと……メイド服を着た、病的に白い肌を持つ女性だった。身長はややメリルより低いだろうか。その女性は紫の髪にやや眠そうに垂れた赤い目を持ち、頭部には小さな角が二本、背中からは蝙蝠のような羽がぱたぱたと揺れている。そして、臀部からは先端の尖った尻尾。メイド服の胸の部分は大きく押し上げられており、ついついそこに目がいってしまう。
「魔王様、この者が我々の身の回りの世話をするアーシャです」
「よ、よろしく」
メリルとはまた違ったタイプの美人に、若干気圧されながら挨拶をする。
「メリル様ぁー、魔王様って、人間?」
そしてアーシャと呼ばれた彼女はいきなり爆弾を投下した。
「アーシャッ!!」
「待って、待ってくだサイ、メリルサン、落ち着いて、どうどう」
反射的になだめてしまう俺。今この場を見ている第三者がいるとしたら、魔王はメリルだと思うことだろう。俺でもそう思う。
「大丈夫、俺は気にしてない、だから怒らないで、俺が怖い」
しかもアーシャは平気そうだ。俺だけがこんなに怯えていて理不尽さを感じる。
「ですが……」
「まあまあ、えーっと、アーシャだよな、俺は異世界人なんだ。人間じゃないんだよ」
「そうだったのですかぁ、失礼いたしましたぁ」
ここまで謝っている雰囲気を感じない謝罪も珍しいというくらいの軽いノリである。
「アーシャ、二度は許しませんからね」
「はぁい」
「それでは職務に励みなさい」
「わかりましたぁ」
「頑張ってなー」
おざなりに手を振りながら、ぱたぱたと翼を揺らしてアーシャは仕事に向かった。
「申し訳ありません、まさかいきなりあんなことを言うとは思わず……」
「それはもういいって、しかし、なるほど確かに変わり者だ」
「アーシャはダークエルフである私に幼少から仕えているインプのメイドなのですが、あのマイペースさというか、傍若無人さがどうにも……私の出自を気にしていないのは助かるのですけどね……」
「じゃあ信頼出来るんだ」
「ええ、ですがそれ以上に困らされることも多いんですけどね」
「それは一目見ただけでなんとなくわかった」
天然っぽそうだもんなぁ……
「本当に、突然変なことをしだす可能性もあるので、あまり気にしないでおいてください」
「怖いような楽しみなような……」
その後、アーシャが作った朝食を済ませた俺は、メリルに付き添ってもらいながら魔法の練習を昼まで行った。
既に準備をしていたのだろう。アーシャの作った朝食はパンとスープという簡単なものだったが、かなり美味しかった。
そして昼食後、現状把握ということで食材の在庫を確認していたのだが、少々まずいことがわかった。
「食材は持って二週間から三週間か……」
「そうですね、節約すれば一ヶ月は持たせられるかもしれませんが、それ以上となると厳しいと思われます」
「まだ魔界とゲートをつなげるのは無理だし、周辺の森林で狩りでもするか?」
「うまくいけばある程度の食料は確保出来るかもしれませんが、狩りの経験者がおりませんね」
「畑を作ってもそんなすぐに収穫出来るもんでもないしな……」
「人間の集落から略奪しますか?」
「現状の戦力で略奪は結構厳しいんじゃないか?」
「そうですね、私が出れば問題なくなりますが…下手すると人間界の国に目をつけられる可能性もありますし…」
メリルも略奪には乗り気じゃないみたいだった。俺としても人間を襲うのは最後の手段にしたい。
「とりあえずは人目につかないように気をつけながら、狩りでも試してみるか」
「わかりました、私の方でも食料の確保に動いてみます」
「ああ、よろしく頼むよ」
ダンジョン運営も楽じゃないなあ、と考えながら、その日は魔法の練習に明け暮れた。
翌朝、起きると真っ裸にされていた。
「きゃああああああああああああ!!」
思わず女性みたいな悲鳴をあげてしまう俺。
「魔王様!? どうかなさいましたか!?」
飛び込んできたメリルから自分の体を隠すようにシーツを巻きつける。
「お、お、起きたら何故かマッパに!」
「あたしがぁ、脱がしましたぁ、洗濯しないといけないのでー」
いつの間にか忍び込んでいたアーシャがさも当然という顔でのたまう。
「アーシャッ! 寝ている人の服を脱がすのは止めなさいと言ったでしょう!」
「そうでしたっけー?」
それよりもどうやって起こさないように服を脱がしたんだ……
「そこはぁ、あたしのウルテクでー」
「お黙りなさい!」
朝からどっと疲れた俺である。
少々小さいがじいさんの服を着て、朝食を摂っていると、メリルから今後の方針を説明された。
「魔王様の魔力にはまだまだ余裕がありますので、いち早く第三層の開拓を行いたいと思っております」
「防衛力も最下級の魔物じゃ不安だしな、確かに早めに着手するべきだ」
「しかし、現状動かせる労働力がスケルトン程度しかおりませんので、誠に申し訳ないのですが、魔王様にも開拓作業にご参加いただけないでしょうか」
「あー、そうだな、わかった。メリルが指示を出してくれれば、その通り動くよ」
「ありがとうございます、それでは早速ですが、今日の午後から開拓作業を進めていきましょう」
「んじゃ、午前中はいつもどおり魔法の練習をしますかね」
「はい」
日々練習を繰り返したおかげか、魔力の扱いには大分慣れてきた。やはり皮膚感覚の延長のように扱うと、うまく行きやすい。逆に魔力を飛ばしたりするのはまだ苦手なのだが。
「それでは魔王様はあちらのブロックを地形操作の魔法で崩していってください」
「了解―」
「スケ蔵とスケ道はつるはしを使ってこの通路の奥にある小部屋を掘り起こすように」
「「カタカタカタカタ」」
スケ蔵とスケ道は呼び出したスケルトン達だ。名前は俺がつけた。メリルは最初名前で呼ぶのを嫌がっていたが、俺がずっと呼んでいたので慣れたらしい。
基本的に第三層の開拓作業は、過去開拓した部分を掘り起こすようにして進めている。
地図と地形から掘るべき場所を指示するのがメリルで、実際に掘り起こすのが俺たちという訳だ。
「<<我が体の一部を行使する>>」
これは汎用的操作魔法だ。自身の魔力を通した物体を、ある程度自由に動かすことが出来る。俺はこの魔法を使って崩すべきところに魔力を通し、周りにどかしていく作業が担当だ。
重機も無いのに有り余る魔力量で、無理やり切り開けるという便利魔法である。まあ、実際はメリルから細かい指示が出るので、力任せに壊せばいいってものではないのだが。
「ええと、魔王様、次はあちらをお願いします」
「OK―」
こうして第三層の開拓作業は順調に進んでいる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜
タナん
ファンタジー
オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。
その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。
モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。
温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。
それでも戦わなければならない。
それがこの世界における男だからだ。
湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。
そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。
挿絵:夢路ぽに様
https://www.pixiv.net/users/14840570
※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる