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ダンジョン・マスター第一部
14.魔王の憂鬱
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あの日、冒険者達が初めて侵入してきたとき、あの時から俺は苦悩している。
魔王としての責務、人間としての思い、やらねばならぬことと、やりたくないことの板挟み。
俺の心は安定せず、鬱屈とした日々が続いていた。
最近メリルやアーシャが俺を気遣わしげに見ていることに気づく。なるべく普段通り振舞っているが、どうしても無理をしている部分が目立つようだ。俺自身もなんとかしたいと思っているのだが、心は自由にならない。
あれ以来も度々訪れる侵入者、最初の頃は全てに立ち会いメリルに指示を出してきたが、日に日に元気のなくなっていく俺を見て、メリルから手強そうな相手でなければこちらで処理しますと言われてしまった。
魔法の練習や第三層の開拓にも精が出ない、ふとしたことで考えこんでしまうためだ。それでも徐々にではあるが成果は上がってきている。魔力の扱いは相変わらず上手くならないが、使える魔法は多少増えたし、開拓の方も第三層はほぼ完了し、今は細かい調整に入っているところだ。
まだ引越しは完了していないが、荷物は徐々に第三層へ運び出している。アーシャも眠そうな姿は変わらないものの、張り切って掃除をこなしている。
召喚する魔物は相変わらず亜人や獣、人型アンデッドが多い。魔物自体はそれほど強いものがいないため、日々の防衛で数は減ったり増えたりを繰り返している。メリルがいなければ魔物の管理がうまくいかず、俺も前線に駆り出されている可能性があっただろう。
メリルは最初の頃のような、人間を全て殺すべしという考えは出さなくなった。恐らく俺に気を遣ってくれているのだろう。ありがたいと思う反面、メンタルの弱い自分が情けないとも思う。
そうして魔王になってから二ヶ月弱、一つの転機が訪れるのである。
……
「魔王様、お話があります」
ある日、執務室でじいさんの研究資料を眺めていた俺のもとにメリルが来て、そう切り出した。
しかしこの資料、暇があればちょくちょく見ているんだが、はっきり言って訳がわからない。資料同士の複雑な関係と、じいさんが施したであろう高度な暗号化のお陰で、肝心な部分が全く理解出来ないのだ。これでは地球に帰る手段を探すどころではない。このペースでは一つの研究を理解するだけでも、長い年月が必要になるだろう。
……地球か、何の因果でこの場に俺はいるのだろうな。
「何の件だ? 侵入者がまた来たか?」
考えこんでしまいそうになるのを頭を振って持ち直し、メリルへと応対する。
「いえ、そちらは問題ありません。ですが別件でお話があるので、ご足労願えないでしょうか」
「別件?」
来てくれということは開拓の件だろうか。そろそろ第三層への引越しを本格的に行うタイミングだしな。
「わかった、じゃあ行こう」
俺はそう言って席を立つと、メリルの後ろをついていく。
連れてこられたのは何故か第二層に無数にある小部屋のうちの一つだった。
メリルが扉を開けて俺を中に通す。すると、そこには見知らぬ顔が二つあった。一人はやや傷んだ茶色の髪をすっきりとしたショートヘアにし、頬傷の目立つすらっとした二十歳前後に見える女性。細身ながら鍛えられた体をしており、身のこなしも洗練されている、軽鎧を身に着けていることから、冒険者か何かだろうか。身長はメリルと同程度あり、顔立ちについてはキリっとした栗色の瞳も相まって美人と言って差し支えないのだが、頬傷とその立ち振舞から、鍛えられた戦士といった雰囲気を漂わせている。
もう一人は粗末な衣服を身に着けているが、儚げな魅力のある十五歳程度に見える女性……いや、女性というより、まだ少女か。顔立ちはもう一人の女性と似通っており、姉妹であることを予想させる。身長はやや低く、まあアーシャと同程度……恐らく百六十センチ未満くらいだろうか。茶色の髪は肩甲骨あたりまで伸ばされており、手入れもそれなりにされているようだ。戦いに慣れているといった感じは全くなく、キリネ村で見た村娘と似たような雰囲気を持っている。
「本日よりダンジョンで働くことになった人間二名です、二人共、魔王様にご挨拶なさい」
「魔王サマ、アタシはセレナ、ダンジョンでは防衛と買い出しを手伝わせてもらうよ」
頬傷の女性──セレナ──が姉御といった口調で挨拶をする。
「ま、魔王様、私はリーゼです。お姉ちゃんみたいに戦うことは出来ないので、アーシャさんと一緒に家事を頑張ります」
儚げな少女──リーゼ──はややどもりながらも、しっかりとした挨拶を返した。
俺はぽかーんとしてしまった。え? どういうこと?
「えっと、メリル?」
「なんでしょうか」
「これは一体、どういうことなの?」
「お気に召しませんでしたでしょうか」
「い、いや、そうじゃなくて、なんで人間がここにいるの、とか、いつの間に連れてきたの、とか、どうしてわざわざ人間を、とか色々訊きたいことがあるんだけど」
「セレナは侵入してきたところを捕えました。そしてリーゼの保護を条件に我々の側に寝返らせました」
メリルは淀みなく答える。
「どうして、という件については、魔王様の気晴らし相手です」
「は?」
「人間が相手のほうが、魔王様は話しやすいでしょうから」
そこまで言われてようやくわかった。メリルは俺のために人間の仲間を作ったのだ。人間が嫌いだという自分の気持ちを押し殺してまで。
メリルは俺が人間と争うことについて抵抗を感じていることを当然だが知っている。だが、それでも俺が魔王の職務を投げ出さずに、魔界側の立ち位置に居続けることを察している。
それが俺の心をどこまで読み取っているのかはわからないが、もしかするとかなり深くまで理解しているのかもしれない。
そのため今回のメリルの行動は、そんな俺のために”魔界側にいる人間の仲間”を増やすことが目的だったのだろう。
人間と接することで、余計に人間を傷つけることに抵抗を感じる結果になるかもしれない、しかし、人間の仲間を引き入れることにより、身近な人間を守るために戦っているという理由付けをさせようとしているのか。
メリルの考えがどこまで及んでいるのかわからないが、人間の仲間が増えるということに対しては、俺の心が少し軽くなったことは事実だった。
「……ごめん、心配かけたな、メリル。それに、ありがとう」
「……いえ、私の仕事は魔王様の健康管理も含まれますから」
ちょっと照れたようにメリルが言う。
「…ねえ、お姉ちゃん」
「なんだい」
「ひょっとして、これがこぃっ」
「後が怖いから黙っときな」
もがもがと暴れるリーゼをセレナが抑えこむ。っていうか、聞こえてるぞ。
「違うって」
「そうかい、まあどっちでもいいんだけどさ」
部屋に入った時から緊張していたのだろう、少しぎこちない笑みを浮かべながら、セレナが答える。
「まぁなんだ、よろしく頼むよ」
「あぁ、リーゼのためにも頑張らせてもらうよ」
「そのリーゼは失神しそうですよ」
メリルが冷静に指摘する。
「あっ、やべっ」
慌ててセレナが手を離すと、リーゼは涙目になりながら咳き込む。
「……お姉ちゃん、ヒドイ」
思わずくすりと笑みがこぼれてしまい、それを見たメリルが良かったと胸をなでおろす。
本当に俺は、この世界に来てからメリルに助けられてばかりだな。
……
ダンジョンに戻ってきたアタシ達を迎えたメリルは、疲労困憊だったアタシ達に休憩場所を与え、食事を提供してくれた。その思いがけない待遇の良さに、毒でも盛られているんじゃないかと思ってしまったくらいだ。
十分な休息をとった後に再びメリルが現れ、アタシ達に事情を説明した。
曰く、現魔王様は異世界人であり、通常の魔族とは異なる。そして穏やかな気性から、人間と争うことに心を痛めている。そして現在魔王様の側には魔族しかおらず、心労を癒してあげることが出来ない。なので、リーゼには魔王様の話し相手となってもらい、気晴らしになることをしてあげて欲しい。セレナは当初の予定通りダンジョンの防衛に力を貸す。こちらの要求に従っている間は衣食住を保証し、リーゼの安全にも最大限の配慮をする。
アタシは即座に承諾したが、リーゼが意外にもゴネた。理由は自分だけが保護されることへの反発。リーゼはアタシのために自分も仕事をすると言い、代わりにアタシを使い潰すようなやり方は辞めてくれと言った。
それを聞いたメリルは一瞬険しい顔をしたが、リーゼがひと通りの家事はこなせると聞いたので了解の意を表した。
訊けば元々アタシをさっさと殺すようなつもりはなかったらしい。まぁリーゼを連れてきたのはアタシの事情だし、元々リーゼのポジションにアタシが入る予定だったんだろうと納得した。
その後魔王様とやらに顔合わせをすることになり、色々と注意事項を説明された。
まず当然のこととして魔王様に逆らうような真似はしないこと、そして失礼な言動も控えるようにすることなど、他にも色々言われたが、要はアタシ達の立場は弱いんだから、言うことには従えということだと理解した。
そうは言うものの、貴族に脅されて従っていた時に比べれば遥かにマシだ、ダンジョン防衛に手を貸す以上、命の危険は変わらずあるが、リーゼの命が担保に取られていないこともあるし、衣食住だって保証されている。まだ魔王様の性格がわからないが、メリルの話ではそう悪いやつではなさそうである。
そして顔合わせの結果はいい方向に裏切られたという感じだろうか。見た目はとても魔王には見えない若い青年──実年齢はどうだか知らないが──で、メリルの言った通り穏やかな気性をしているようだった。
リーゼも悪感情を抱いていないようだし、ここでならなんとかやっていけそうだ。
アタシは元々後ろ暗い仕事をしていたし、同じ人間を殺すことにさほど抵抗はない。アタシにとってはリーゼが全てなので、他人に恨まれることなど痛くも痒くもないのだ。リーゼはそんなアタシが無理しているのではないかと思っているようだが、アタシとしてはリーゼが自分の分まで優しい子になってくれればいいと思う。
魔族に捕まったときはどうなるかと思ったが、ひょっとしたら逆に運が良かったのだろうか?
魔王としての責務、人間としての思い、やらねばならぬことと、やりたくないことの板挟み。
俺の心は安定せず、鬱屈とした日々が続いていた。
最近メリルやアーシャが俺を気遣わしげに見ていることに気づく。なるべく普段通り振舞っているが、どうしても無理をしている部分が目立つようだ。俺自身もなんとかしたいと思っているのだが、心は自由にならない。
あれ以来も度々訪れる侵入者、最初の頃は全てに立ち会いメリルに指示を出してきたが、日に日に元気のなくなっていく俺を見て、メリルから手強そうな相手でなければこちらで処理しますと言われてしまった。
魔法の練習や第三層の開拓にも精が出ない、ふとしたことで考えこんでしまうためだ。それでも徐々にではあるが成果は上がってきている。魔力の扱いは相変わらず上手くならないが、使える魔法は多少増えたし、開拓の方も第三層はほぼ完了し、今は細かい調整に入っているところだ。
まだ引越しは完了していないが、荷物は徐々に第三層へ運び出している。アーシャも眠そうな姿は変わらないものの、張り切って掃除をこなしている。
召喚する魔物は相変わらず亜人や獣、人型アンデッドが多い。魔物自体はそれほど強いものがいないため、日々の防衛で数は減ったり増えたりを繰り返している。メリルがいなければ魔物の管理がうまくいかず、俺も前線に駆り出されている可能性があっただろう。
メリルは最初の頃のような、人間を全て殺すべしという考えは出さなくなった。恐らく俺に気を遣ってくれているのだろう。ありがたいと思う反面、メンタルの弱い自分が情けないとも思う。
そうして魔王になってから二ヶ月弱、一つの転機が訪れるのである。
……
「魔王様、お話があります」
ある日、執務室でじいさんの研究資料を眺めていた俺のもとにメリルが来て、そう切り出した。
しかしこの資料、暇があればちょくちょく見ているんだが、はっきり言って訳がわからない。資料同士の複雑な関係と、じいさんが施したであろう高度な暗号化のお陰で、肝心な部分が全く理解出来ないのだ。これでは地球に帰る手段を探すどころではない。このペースでは一つの研究を理解するだけでも、長い年月が必要になるだろう。
……地球か、何の因果でこの場に俺はいるのだろうな。
「何の件だ? 侵入者がまた来たか?」
考えこんでしまいそうになるのを頭を振って持ち直し、メリルへと応対する。
「いえ、そちらは問題ありません。ですが別件でお話があるので、ご足労願えないでしょうか」
「別件?」
来てくれということは開拓の件だろうか。そろそろ第三層への引越しを本格的に行うタイミングだしな。
「わかった、じゃあ行こう」
俺はそう言って席を立つと、メリルの後ろをついていく。
連れてこられたのは何故か第二層に無数にある小部屋のうちの一つだった。
メリルが扉を開けて俺を中に通す。すると、そこには見知らぬ顔が二つあった。一人はやや傷んだ茶色の髪をすっきりとしたショートヘアにし、頬傷の目立つすらっとした二十歳前後に見える女性。細身ながら鍛えられた体をしており、身のこなしも洗練されている、軽鎧を身に着けていることから、冒険者か何かだろうか。身長はメリルと同程度あり、顔立ちについてはキリっとした栗色の瞳も相まって美人と言って差し支えないのだが、頬傷とその立ち振舞から、鍛えられた戦士といった雰囲気を漂わせている。
もう一人は粗末な衣服を身に着けているが、儚げな魅力のある十五歳程度に見える女性……いや、女性というより、まだ少女か。顔立ちはもう一人の女性と似通っており、姉妹であることを予想させる。身長はやや低く、まあアーシャと同程度……恐らく百六十センチ未満くらいだろうか。茶色の髪は肩甲骨あたりまで伸ばされており、手入れもそれなりにされているようだ。戦いに慣れているといった感じは全くなく、キリネ村で見た村娘と似たような雰囲気を持っている。
「本日よりダンジョンで働くことになった人間二名です、二人共、魔王様にご挨拶なさい」
「魔王サマ、アタシはセレナ、ダンジョンでは防衛と買い出しを手伝わせてもらうよ」
頬傷の女性──セレナ──が姉御といった口調で挨拶をする。
「ま、魔王様、私はリーゼです。お姉ちゃんみたいに戦うことは出来ないので、アーシャさんと一緒に家事を頑張ります」
儚げな少女──リーゼ──はややどもりながらも、しっかりとした挨拶を返した。
俺はぽかーんとしてしまった。え? どういうこと?
「えっと、メリル?」
「なんでしょうか」
「これは一体、どういうことなの?」
「お気に召しませんでしたでしょうか」
「い、いや、そうじゃなくて、なんで人間がここにいるの、とか、いつの間に連れてきたの、とか、どうしてわざわざ人間を、とか色々訊きたいことがあるんだけど」
「セレナは侵入してきたところを捕えました。そしてリーゼの保護を条件に我々の側に寝返らせました」
メリルは淀みなく答える。
「どうして、という件については、魔王様の気晴らし相手です」
「は?」
「人間が相手のほうが、魔王様は話しやすいでしょうから」
そこまで言われてようやくわかった。メリルは俺のために人間の仲間を作ったのだ。人間が嫌いだという自分の気持ちを押し殺してまで。
メリルは俺が人間と争うことについて抵抗を感じていることを当然だが知っている。だが、それでも俺が魔王の職務を投げ出さずに、魔界側の立ち位置に居続けることを察している。
それが俺の心をどこまで読み取っているのかはわからないが、もしかするとかなり深くまで理解しているのかもしれない。
そのため今回のメリルの行動は、そんな俺のために”魔界側にいる人間の仲間”を増やすことが目的だったのだろう。
人間と接することで、余計に人間を傷つけることに抵抗を感じる結果になるかもしれない、しかし、人間の仲間を引き入れることにより、身近な人間を守るために戦っているという理由付けをさせようとしているのか。
メリルの考えがどこまで及んでいるのかわからないが、人間の仲間が増えるということに対しては、俺の心が少し軽くなったことは事実だった。
「……ごめん、心配かけたな、メリル。それに、ありがとう」
「……いえ、私の仕事は魔王様の健康管理も含まれますから」
ちょっと照れたようにメリルが言う。
「…ねえ、お姉ちゃん」
「なんだい」
「ひょっとして、これがこぃっ」
「後が怖いから黙っときな」
もがもがと暴れるリーゼをセレナが抑えこむ。っていうか、聞こえてるぞ。
「違うって」
「そうかい、まあどっちでもいいんだけどさ」
部屋に入った時から緊張していたのだろう、少しぎこちない笑みを浮かべながら、セレナが答える。
「まぁなんだ、よろしく頼むよ」
「あぁ、リーゼのためにも頑張らせてもらうよ」
「そのリーゼは失神しそうですよ」
メリルが冷静に指摘する。
「あっ、やべっ」
慌ててセレナが手を離すと、リーゼは涙目になりながら咳き込む。
「……お姉ちゃん、ヒドイ」
思わずくすりと笑みがこぼれてしまい、それを見たメリルが良かったと胸をなでおろす。
本当に俺は、この世界に来てからメリルに助けられてばかりだな。
……
ダンジョンに戻ってきたアタシ達を迎えたメリルは、疲労困憊だったアタシ達に休憩場所を与え、食事を提供してくれた。その思いがけない待遇の良さに、毒でも盛られているんじゃないかと思ってしまったくらいだ。
十分な休息をとった後に再びメリルが現れ、アタシ達に事情を説明した。
曰く、現魔王様は異世界人であり、通常の魔族とは異なる。そして穏やかな気性から、人間と争うことに心を痛めている。そして現在魔王様の側には魔族しかおらず、心労を癒してあげることが出来ない。なので、リーゼには魔王様の話し相手となってもらい、気晴らしになることをしてあげて欲しい。セレナは当初の予定通りダンジョンの防衛に力を貸す。こちらの要求に従っている間は衣食住を保証し、リーゼの安全にも最大限の配慮をする。
アタシは即座に承諾したが、リーゼが意外にもゴネた。理由は自分だけが保護されることへの反発。リーゼはアタシのために自分も仕事をすると言い、代わりにアタシを使い潰すようなやり方は辞めてくれと言った。
それを聞いたメリルは一瞬険しい顔をしたが、リーゼがひと通りの家事はこなせると聞いたので了解の意を表した。
訊けば元々アタシをさっさと殺すようなつもりはなかったらしい。まぁリーゼを連れてきたのはアタシの事情だし、元々リーゼのポジションにアタシが入る予定だったんだろうと納得した。
その後魔王様とやらに顔合わせをすることになり、色々と注意事項を説明された。
まず当然のこととして魔王様に逆らうような真似はしないこと、そして失礼な言動も控えるようにすることなど、他にも色々言われたが、要はアタシ達の立場は弱いんだから、言うことには従えということだと理解した。
そうは言うものの、貴族に脅されて従っていた時に比べれば遥かにマシだ、ダンジョン防衛に手を貸す以上、命の危険は変わらずあるが、リーゼの命が担保に取られていないこともあるし、衣食住だって保証されている。まだ魔王様の性格がわからないが、メリルの話ではそう悪いやつではなさそうである。
そして顔合わせの結果はいい方向に裏切られたという感じだろうか。見た目はとても魔王には見えない若い青年──実年齢はどうだか知らないが──で、メリルの言った通り穏やかな気性をしているようだった。
リーゼも悪感情を抱いていないようだし、ここでならなんとかやっていけそうだ。
アタシは元々後ろ暗い仕事をしていたし、同じ人間を殺すことにさほど抵抗はない。アタシにとってはリーゼが全てなので、他人に恨まれることなど痛くも痒くもないのだ。リーゼはそんなアタシが無理しているのではないかと思っているようだが、アタシとしてはリーゼが自分の分まで優しい子になってくれればいいと思う。
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