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「聖ちゃん聞いてる? あの子の元カノが自殺した話」
二十分間の面会時間を終えて時也さんのお母さんと院内のカフェで向き合っていると、唐突にそんなことを問われて少しだけびくっと肩が震えた。
「……はい、聞いてます」
「あの時ね、かなり腑抜けたのよ時也。数日帰省して葬儀に出たんだけど、それから一週間くらい部屋から出てこなくなってね。自分が辛い目に遭うのは大歓迎だけど、大切な人が辛い目に遭うことに何よりも弱いの。――だから、ね。きっと今も自分が死にそうなことよりも、聖ちゃんが悲しんでいることの方がよっぽど辛いと思う。聖ちゃんが自分を責めて疫病神だ、なんて思ってたら……あの子死ぬほどもがいて死なないはずだから、私は安心できるの。聖ちゃんがいてくれる限り死なないってわかってるから」
(時也さんは俺のために闘ってくれている……)
確かに時也さんはそういう人だ。
こんなことになったのだって、大切なお客さんを守るために犠牲になってしまったわけだし、常に誰かのことを思って生きている、本当に伝説のような人だ。
「――だから、聖ちゃんは絶対に時也のそばから離れないで欲しいの。その時が、あの子の終わりだから。我が息子ながらイイ奴なのよ。あんなんでも自慢の息子なの。時也が死なないために、聖ちゃんが自分を責めて危ない真似だけはしないでね? そのうち『寝すぎたー』とか言いながら目覚めるはずだから、その時は聖ちゃんがそばにいてくれたら、安心できる。約束してくれる?」
「……はい、俺は……時也さんなら俺の疫病神を振り払ってくれるって信じています」
「おーおー、健気だなぁ、聖ちゃん。あのバカには勿体ない恋人だわ。医者の話だと、もう少ししたら一般病棟の個室で管理してもらえるらしいから、その時は聖ちゃんがそばにいてあげて。私は今日の便でまた北海道に帰ることにした。元気な爆睡顔見れたし、目覚めた時にそばにいるのがウザイ母親より、愛しの聖ちゃんがいいってがっかりするだろうから。時也のこと、頼める?」
「はい。俺が時也さんのそばにいます。ちゃんと待ってます」
笑顔でそれだけ伝えたら、お母さんは時也さんのようにククッと笑いながら「息子は幸せ者だぁ」と、時也さんの面差しを色濃く滲ませる美しい顔を綻ばせた。
「聖ちゃん聞いてる? あの子の元カノが自殺した話」
二十分間の面会時間を終えて時也さんのお母さんと院内のカフェで向き合っていると、唐突にそんなことを問われて少しだけびくっと肩が震えた。
「……はい、聞いてます」
「あの時ね、かなり腑抜けたのよ時也。数日帰省して葬儀に出たんだけど、それから一週間くらい部屋から出てこなくなってね。自分が辛い目に遭うのは大歓迎だけど、大切な人が辛い目に遭うことに何よりも弱いの。――だから、ね。きっと今も自分が死にそうなことよりも、聖ちゃんが悲しんでいることの方がよっぽど辛いと思う。聖ちゃんが自分を責めて疫病神だ、なんて思ってたら……あの子死ぬほどもがいて死なないはずだから、私は安心できるの。聖ちゃんがいてくれる限り死なないってわかってるから」
(時也さんは俺のために闘ってくれている……)
確かに時也さんはそういう人だ。
こんなことになったのだって、大切なお客さんを守るために犠牲になってしまったわけだし、常に誰かのことを思って生きている、本当に伝説のような人だ。
「――だから、聖ちゃんは絶対に時也のそばから離れないで欲しいの。その時が、あの子の終わりだから。我が息子ながらイイ奴なのよ。あんなんでも自慢の息子なの。時也が死なないために、聖ちゃんが自分を責めて危ない真似だけはしないでね? そのうち『寝すぎたー』とか言いながら目覚めるはずだから、その時は聖ちゃんがそばにいてくれたら、安心できる。約束してくれる?」
「……はい、俺は……時也さんなら俺の疫病神を振り払ってくれるって信じています」
「おーおー、健気だなぁ、聖ちゃん。あのバカには勿体ない恋人だわ。医者の話だと、もう少ししたら一般病棟の個室で管理してもらえるらしいから、その時は聖ちゃんがそばにいてあげて。私は今日の便でまた北海道に帰ることにした。元気な爆睡顔見れたし、目覚めた時にそばにいるのがウザイ母親より、愛しの聖ちゃんがいいってがっかりするだろうから。時也のこと、頼める?」
「はい。俺が時也さんのそばにいます。ちゃんと待ってます」
笑顔でそれだけ伝えたら、お母さんは時也さんのようにククッと笑いながら「息子は幸せ者だぁ」と、時也さんの面差しを色濃く滲ませる美しい顔を綻ばせた。
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