神様になれる学校【神技神術学校】第1SEASON

名探偵プリンス

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第1章 失われた命

13 速まる世界終末時計

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「このろくでなし!死んじまいな!」

「お前なんか、ほんと産まなきゃよかったよ!」

まだ、小さい頃から、カホ・イザベラは、そうやって両親から虐待され、自身の存在を徹底的に否定され続けて、生きてきた・・・

白い肌には青あざと、タバコを焼き付けられた跡・・・

そして目には乾ききった涙の跡・・・


おまけに家の中は、父と母によるケンカの怒号が響き渡る毎日だった・・・・

そんなゴミ箱のような場所で、毎日暮らしていた・・・・

ずっと否定され・・・存在を否定され続け・・・・

その頃のカホは、もはや何をされても何を言われても心に痛みを感じない感情を無くした少女となっていた・・・・


そんな悲惨な過去の記憶だけが、現在ずっとカホの頭の中で、ループしている・・・・

まるで永遠に終わることのない地獄かのように・・・


カホ「やめて・・・やめて・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・・・もう、やめて・・・」


カホは、ずっとそう呟き続けている・・・まるで壊れた古時計のように・・・

泣きながら・・・ずっと・・・



一方、マーベルは、両親がゼギウス府に行くあの日を思い出していた・・・

なんで、僕はあの時止められなかったんだ・・・

なんで、父さんと母さんが、ゼギウスにいくことを止められなかったんだ・・・・

マーベルの頭の中では、その時の後悔の記憶だけがずっとループしている。




そう・・・三つ目の神獣は、人の心の一番深~い部分にある記憶を探り当て、それを操る能力を持っているのだ・・・

今、タカト、カホ、マーベルの3人は神獣に催眠状態にさせられ、記憶を操られているのだ!


タカト「う、う、うううう・・・・」

だが、しかし、怪物はタカトの気持ちだけはのぞくことができなかった・・・・

催眠状態にはしたものの、なぜか彼の心までのぞくことはできないのだ・・・



その頃・・・今にも三つ目神獣に食われそうな3人を、ただジッと岩陰から見つめながら
グロッバは、周囲も見渡していた・・・

よく見ると、三つ目神獣が歩いてきたと思われる道には、怪獣や怪物どもの遺体が転がっていた・・やはり、そんじょそこらの怪物や怪獣たちとは訳が違うほどの圧倒的な力を持っているようだ・・・

どうやら、奴は相当強いらしい・・・

ますますグロッバは3人を見捨てて、逃げる気持ちへとなっていった・・・・

グロッバ「ま、まあ・・・どうせ俺には関係ないし・・・俺は、とにかくこの森から出て生き残るんだ・・・他の奴が・・ましてやゼギウスの仇の連中がどうなろうと知ったことか・・・」

そうだ、自分のこと以外どうでもいい・・・自分さえ助かれば・・・・それでいいはずなんだ・・

でも・・・

だけど・・・・本当に、これでいいのか?

グロッバの中の良心が、彼の本能を止めていく・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・

三つ目の神獣は、いつまでたっても自分の術中にはまらないタカトに苛立ち、もう、どうでもいいや!
と言わんばかりに3人を食おうとする!

その時だった!

ギャオオオオ!!

森の茂みから三つ目の神獣と同じぐらい巨大な怪獣が現れた!

怪獣は頭部に銀色の角が生えており、それを三つ目の神獣の目玉の一つに思いきり突き刺した!

突然の怪獣襲来に、三つ目の神獣の3人に対する呪いは解けてしまった!

3人は、催眠状態から抜け出し、ハッと我に帰る!



グロッバ「お・・・助かったのか・・・よかった・・・」

グロッバは岩陰から、3人が催眠から解けたのを見て、ホッと胸をなでおろす・・・

だが、そんな彼の後ろには、口に牙がたっぷり生えた巨大なナメクジのような怪獣が・・・・



グロッバ「た、助けてくれええええええええ!!」

タカトたち3人はハッと、声のする方向を見る!

グロッバが巨大なナメクジ怪獣から逃げようと必死にこちらに向かって走ってきているではないか!


タカト「あ、あいつはさっき俺たちをボコボコに殴りやがった奴・・・」

マーベル「グロッバだよ!な、なんとか助けないと・・・」


グロッバと巨大なナメクジ怪獣の距離がどんどん縮まっている・・・ヤバい、もう後数センチ・・・



マーベル「どうしよう!どうしよう!」

見かけによらず、ナメクジ怪獣のスピードは速い!

ガッ!

グロッバが、慌てすぎて、つまづき、地に倒れる!


グロッバ「た、助けてくれえええええ!!」

情けない顔で、助けを求めるグロッバ・・・・


カホ「そのまま、伏せてて!!」


ゴオオオオオオオオオオオオ!!

カホは、死んだギルデロイが持っていた火炎放射器が、地面に落ちていたことに気づき、とっさに
拾ってスイッチを押し、激しい火炎をナメクジ怪獣に浴びせた!

ナメクジ怪獣は、酷い火傷を負って、森へと帰っていった・・・



今回の【魔界の森】訓練で死んだ生徒の数は、全体の約4割だった・・・

つまり、まだ新入生のタカトとカホが生き残ったのは、ほとんど奇跡的であった。

ボロボロになりながらも帰ってきたタカトとカホを見て、茫然としているローカサス訓練長の間抜け面は今世紀の最高傑作と言えよう・・・

タカトは、いつまでも訓練長の顔を見て、ニヤニヤと笑っていた・・・・



この学校では食糧も争奪戦だ。特に稀に出てくる丸焼きの豚肉は、生徒たちの間で戦争になるほど人気だ。

革命軍は、各地で政府と神々の連合軍と戦争を行っているため、軍資金を得るだけでも大変なのに、将来への投資という形で、学校まで作ったものだから、かなりの財政難に陥っている。

だが、学校の子供たちには食わせてやらないといけない・・・
そして現場で戦う革命軍の食料も確保しなくてはならない・・・

そんな狭間の中で、子供たちの食事が少なくなることは必然・・・


そういうわけで、今日の【神技神術学校】の食堂も、食事を巡る大戦争が起きていた・・

グロッバたち不良グループは、自分らの分を確保するために、暴力と人数でクラス内での立ち位置を
確立し、常に他の生徒たちから食事を奪っていた・・・

「おらおら!よこせ!」 「安心してベッドにつきたいなら、俺らに食事を半分よこしな!」

普段のグロッバなら、こんな感じで仲間と共に他の生徒を脅していただろう・・・

だが、今日のグロッバは、ただ一点だけをボーッと見つめていた・・・


金色の長く美しい髪に、真っ白な肌、青い瞳・・・・カホのことだ・・・


訓練中にナメクジ怪獣から、命を救われ、一目惚れしてしまったようだ・・・

さっきは情けねえところを見せちまったが、今度はカッコよく話しかけてやる・・・

この学校の中では、一応権力を手に入れたが、何か足りないと思ったら、綺麗な女の子だ!

ついに、俺にも春が来るのか・・・よ~し・・・・



グロッバ「お、おい・・・・」

グロッバは、タカトとマーベルと静かに食事をとっているカホの席に近づき、話しかけた・・・

そして、自分の丸焼きの豚肉の半分を切って、カホの皿に載せた・・


グロッバ「お、お前には借りがあるからよ・・・・」

グ~グ~

そう言うと同時に、グロッバの腹が鳴った・・・


カホはクスクス笑いながら、明るい笑顔で

カホ「ありがとう!」

とお礼を言った。


グロッバ「お、おう・・・・・」

照れながら、そう返事をするグロッバ。


タカト「あれ、俺の分は?」

タカトは意地悪な顔で、聞く。

グロッバ「てめえなんかにやるかよ!」

グロッバは、顔を真っ赤にしながら、そう言って、去っていった・・・



グロッバが去った後、タカト、カホ、マーベルの3人が座る席は、すぐに静かになった。

互いに色々ありすぎて、何から話したらいいか、わからないのだ。

だが、やがてマーベルが沈黙を破った。


マーベル「ギルデロイが死んでしまったのは、あくまで訓練中の事故だ・・・あの森に入ったが最後、死が待っている・・・怪獣たちは災害と同じなんだ。みんな、それを承知で臨んでいる・・・君らが責任を感じる必要はない・・・」

カホ「でも・・・私たちは、彼を助けるために、身体を動かすことはできなかった・・・」

マーベル「あの状況じゃ、誰も恐怖で身動きをとることはできないよ・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後悔と疲労と、絶望で、3人の周りの空気は暗くどんよりとしたものになっている。


タカト「想像以上に、俺らは憎まれているんだな・・・・」


いつも強気なタカトの顔には、今は悲しみと絶望しかなかった・・・

そして、マーベルは、これについては否定してもしょうがないと思い、思いきって現実を言った。


マーベル「ギルデロイはずっと、ゼギウスから逃げた君ら2人を新聞で見て、いつか殺してやる!って言ってた・・・それは、この学校で暮らす多くの生徒が同じ考えかもしれない・・・

だから、たぶん君らのこれからのここでの生活は相当辛いものになると思う・・・」


タカト「そんな確実に除け者にされる俺らと一緒に飯なんか食ってて大丈夫なのかよ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

タカトは、心配するようにマーベルに聞いた。


マーベル「前に言い争った仲だし、こんなことがあった後だから、たぶん僕の言うことなんて信用してくれないだろうけど・・・・

見たこともない人のことを、誰かが流している話だけで判断するのは間違いだと思ったんだ・・・」


タカト「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

カホ「・・・・・・・・・・・・・・・・」



マーベル「君たちを助けたことが本当に正しいかどうかなんて、僕にはわからないよ。

別に倫理的な話じゃない。

革命軍が君らを拾って、この学校に保護したことだって、本当によいことかどうかなんてわからない。

むしろ現状では、マイナス面の方が大きい。

神々から直々に指名手配された君ら二人を革命軍は助けたんだ。
革命軍はきっとただでは済まない。

そして、君らはゼギウスに家族を持つ全ての生徒の仇だ。
君らは、神々と人類政府軍が革命軍に攻めてくるキッカケである上に、学校内がバラバラになる要素の1つにもなってしまっている。

だけど、それでも君らの本当の姿を知るためには・・・・新聞でも誰かが言っている言葉でもない。

自分自身のこの頭で判断することだとが本当に必要なことだと思ったんだ。

それこそが、自分にとっても、革命軍にとってもプラスになることだと僕は信じている。

大して、直接話したこともないのに、そいつを語ることほど愚かしいことはないしね・・・


君らを信用したわけでもないし、君らも僕を信用しなくていい。

ただ僕は、この目で見た君らを信じる・・・それだけだ。」


マーベルは、一気にそう喋った・・・

やがて、タカトはニコッと笑い・・・


タカト「お前・・・頭良い奴なんだな・・・・・俺も俺が見たお前を信じることにするよ・・・
よろしくな!」

カホ「よろしく、マーベル・・・」



マーベルも、微笑み・・・・

マーベル「よろしく!」




その頃、ここは人類政府の【神話部】だ。

【神話部】は、神々と政府の人間が唯一直接対話できる部屋だ。

薄暗い鏡張りの部屋の中は、幻想的な飾り付けがされており、白い濃い煙に包まれている・・・

その部屋の中に、着物を着た政府高官の連中が集まって、姿の見えない声だけが聞こえる神々の話に耳を澄ましている。

もちろん対話での上下関係は、当然ながら決まっている・・・


神々「貴様ら政府が、人類の裏切り者2匹を捕まえられないならば、我らもそれなりの措置を取らせてもらうぞ。」

政府連中「お、お待ちください、か、神々よ・・・・」


部屋の中で、眩しいほどの光が輝く・・・・

神々は、その大いなる力で何かをしたようだ。


なんと、ゼギウス府に設置されていた、あの【世界終末時計】の時計の針が、急速にスピードを
速めた!

そして、針の方向は、終末の時間である【午前0時】に向かって進みだしているのだ。

人類の滅亡まで、タイムリミットが速まってしまった!











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