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3章
4. 冒険令嬢のお供 3(猿と雉と犬?目的は鬼退治……じゃなくて!)
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「俺は今、長期休暇に入ったばかりなんです。聖騎士の福利厚生って、結構充実しているんですよ~」
訊かれてもいないのに、ギルバートはしゃべり出した。
「それでせっかくだから、なんか面白いことないかな~ってこの北部地方に来たんですが、いやあ、ほんと偶然ですね」
ズキッ! ローズはあの頭痛に襲われ、眉をしかめた。明らかに、ギルバートは嘘をついている。長期休暇に入ったのは本当だが、フィリップ一行と会ったのは偶然ではないのだ。
恐らくレジナルドに命じられ、フィリップの後をつけてきたのだろう。その証拠に、ギルバートは探るような視線を一行に向けている。
あれほど慎重にと言ったのに、フィリップめ、やはりレジナルドに勘付かれたか……と、ローズはそっと溜息をついた。きっとレジナルドは何やら様子のおかしい弟の動向を気にしてギルバートに探らせることにしたのだろうけど……レジナルドがどこまで勘付いているか非常に気になるところ。
ローズはフィリップに「何しとんじゃおんどりゃぁっ!! ギルバートの尾行にすら気付かんのか、このウスラトンチキがあぁぁぁっ!!」と口汚く叫びながら回し蹴りをかましたくなったが、もちろん我慢した。そんなこと、上品で美しいローズ様のやることではない。
そんな風にローズが兜の中でギリギリと唇を噛みしめている間も、ギルバートは無邪気を装ってローズたちを観察している。
「どちらに行かれるんですか、殿下? お供を3人も連れて……おや、そこのお二人がかぶっているの、王国騎士団の兜ですね。いいなあ、殿下と一緒に冒険ですか? ひょっとして、俺の知ってる騎士ですかね? 誰かなあ……?」
ぎくぅっ!!
ローズはフィリップに念を送った。
(あくまで意訳→おらおらおら、さっさとこいつをまかんかい、フィリップ!! いてこますぞ!!)
フィリップはローズからの不穏なサイキックオーラを背中で感じたらしく、焦って声を荒げた。
「控えろ、ギルバート! 僕たちは先を急いでいる、そこをどけ!」
「え、そうなんですか? それは失礼しました」
ギルバートは脇にどくと一行を通したが、後をついてきた。
「そんなに小柄な騎士、いたかなあ……? 騎士団の入団資格は確か、身長175cm以上のはず……」
などと、聞こえよがしな独り言を呟きながら。
――ああ、もう!!
ローズは苛立ち、辺りに人目がないのを確認すると、兜をはずしてギルバートを恫喝した。
「ギルバート! 今すぐ私たち側に付くか、シュリと戦って負け、尻尾を巻いて主人の元に逃げ帰るか、どちらかを選びなさい! 前者を選べばこの私と同行する幸運を得るでしょうが、後者を選べば一生このローズの不興を買うでしょうよ!」
もちろんシュリが負けるという選択肢は最初から皆無。
――そのローズの揺るぎない信頼を感じ、シュリは頬を緩めた。そして剣の柄に手を当て気合いを集める。やる気満々である。
一方、予想外の展開にフィリップはポカンと口を開け、シャーロットはオタオタしている。
ギルバートはというと、一瞬目を見開いたが、すぐに笑顔全開でウインクして言った。
「もちろんローズ様を選びます。あなたのことだ、何か深い思惑がおありなのでしょう?」
ギルバートのローズに対するなれなれしい態度にムッとしたフィリップが、放心状態から覚めてギルバートに詰め寄った。
「信用できないな、ギルバート、おまえ兄に何を命じられた?」
「フィリップ様が何やらルンルンして旅の支度をしているが、必死で隠しているようなので何事か探るようにと」
そう……ルンルンして旅の支度を、ね……と、ローズは溜息をついた。
「ルンルン」に図星を刺されて不愉快なのか、尾行に気付かなかった自分に腹を立てているのか、フィリップは顔を真っ赤に染めてギルバートに食って掛かった。
「おいギルバート、主人から命じられたことを、そうホイホイしゃべってしまっていいのか?!」
「大したことじゃ、ありませんから。別に国家の機密が関わってるわけで無し。たまたま休暇に入る俺に、ついでとばかりに軽いノリで命じられただけなんですよ。俺、休暇中は国のあちこちを巡るつもりだと言ったんでね」
そう言ったギルバートに、ローズが質問をした。
「それでは彼は、私たちの目的については何も知らないのね? ただの好奇心で、弟の愉快な行動を探ってこいと言われたのね?」
「ええ、そうなんです。昨夜、この町まで辿り着いてからローズ様のお姿を見かけて、びっくりしましたよ。いやあ、それで俺、すっかりフィリップ様が羨ましくなって……ぜひ、俺も混ぜてくださいよ!! お役に立ちますから!」
そんな、ドッチボールか野球でもするようなノリで言われても……とローズが困っている傍らで、フィリップはさっさと決断して言った。男子は「混ぜて」と言われたらおおむね受け入れる方針らしい。
「よし、じゃあギルバート、ついて来い! ただし今回のことは一切他言無用だ。兄上にもな。誓えるか?!」
それを聞いたギルバートはローズの前に跪くと、ローズの手を取って言った。
「誓います、ローズ様。休暇中の俺は、自由な庶民。自らの意志で、あなたの傘下に入ります。あなたの犬だと思い、何でも俺に命じてください! 必ずお役に立ちますから、どうかぜひ、俺をお共に加えてください」
「ち、が、う、だ、ろ!! 僕に誓えと言ったんだ! 誰がローズに触れていいと言った!」
いつもニコニコしているフィリップの怒った顔は珍しい。レアと言ってもいい。その王子がすぐにギルバートの手をはらったので、ギルバートは手を切り落とされずに済んだ――「静かに激オコ状態」のシュリに。
こうして、一行には仲間が一人増え、彼らは揃って「竜の牙峰」へと向かった。
訊かれてもいないのに、ギルバートはしゃべり出した。
「それでせっかくだから、なんか面白いことないかな~ってこの北部地方に来たんですが、いやあ、ほんと偶然ですね」
ズキッ! ローズはあの頭痛に襲われ、眉をしかめた。明らかに、ギルバートは嘘をついている。長期休暇に入ったのは本当だが、フィリップ一行と会ったのは偶然ではないのだ。
恐らくレジナルドに命じられ、フィリップの後をつけてきたのだろう。その証拠に、ギルバートは探るような視線を一行に向けている。
あれほど慎重にと言ったのに、フィリップめ、やはりレジナルドに勘付かれたか……と、ローズはそっと溜息をついた。きっとレジナルドは何やら様子のおかしい弟の動向を気にしてギルバートに探らせることにしたのだろうけど……レジナルドがどこまで勘付いているか非常に気になるところ。
ローズはフィリップに「何しとんじゃおんどりゃぁっ!! ギルバートの尾行にすら気付かんのか、このウスラトンチキがあぁぁぁっ!!」と口汚く叫びながら回し蹴りをかましたくなったが、もちろん我慢した。そんなこと、上品で美しいローズ様のやることではない。
そんな風にローズが兜の中でギリギリと唇を噛みしめている間も、ギルバートは無邪気を装ってローズたちを観察している。
「どちらに行かれるんですか、殿下? お供を3人も連れて……おや、そこのお二人がかぶっているの、王国騎士団の兜ですね。いいなあ、殿下と一緒に冒険ですか? ひょっとして、俺の知ってる騎士ですかね? 誰かなあ……?」
ぎくぅっ!!
ローズはフィリップに念を送った。
(あくまで意訳→おらおらおら、さっさとこいつをまかんかい、フィリップ!! いてこますぞ!!)
フィリップはローズからの不穏なサイキックオーラを背中で感じたらしく、焦って声を荒げた。
「控えろ、ギルバート! 僕たちは先を急いでいる、そこをどけ!」
「え、そうなんですか? それは失礼しました」
ギルバートは脇にどくと一行を通したが、後をついてきた。
「そんなに小柄な騎士、いたかなあ……? 騎士団の入団資格は確か、身長175cm以上のはず……」
などと、聞こえよがしな独り言を呟きながら。
――ああ、もう!!
ローズは苛立ち、辺りに人目がないのを確認すると、兜をはずしてギルバートを恫喝した。
「ギルバート! 今すぐ私たち側に付くか、シュリと戦って負け、尻尾を巻いて主人の元に逃げ帰るか、どちらかを選びなさい! 前者を選べばこの私と同行する幸運を得るでしょうが、後者を選べば一生このローズの不興を買うでしょうよ!」
もちろんシュリが負けるという選択肢は最初から皆無。
――そのローズの揺るぎない信頼を感じ、シュリは頬を緩めた。そして剣の柄に手を当て気合いを集める。やる気満々である。
一方、予想外の展開にフィリップはポカンと口を開け、シャーロットはオタオタしている。
ギルバートはというと、一瞬目を見開いたが、すぐに笑顔全開でウインクして言った。
「もちろんローズ様を選びます。あなたのことだ、何か深い思惑がおありなのでしょう?」
ギルバートのローズに対するなれなれしい態度にムッとしたフィリップが、放心状態から覚めてギルバートに詰め寄った。
「信用できないな、ギルバート、おまえ兄に何を命じられた?」
「フィリップ様が何やらルンルンして旅の支度をしているが、必死で隠しているようなので何事か探るようにと」
そう……ルンルンして旅の支度を、ね……と、ローズは溜息をついた。
「ルンルン」に図星を刺されて不愉快なのか、尾行に気付かなかった自分に腹を立てているのか、フィリップは顔を真っ赤に染めてギルバートに食って掛かった。
「おいギルバート、主人から命じられたことを、そうホイホイしゃべってしまっていいのか?!」
「大したことじゃ、ありませんから。別に国家の機密が関わってるわけで無し。たまたま休暇に入る俺に、ついでとばかりに軽いノリで命じられただけなんですよ。俺、休暇中は国のあちこちを巡るつもりだと言ったんでね」
そう言ったギルバートに、ローズが質問をした。
「それでは彼は、私たちの目的については何も知らないのね? ただの好奇心で、弟の愉快な行動を探ってこいと言われたのね?」
「ええ、そうなんです。昨夜、この町まで辿り着いてからローズ様のお姿を見かけて、びっくりしましたよ。いやあ、それで俺、すっかりフィリップ様が羨ましくなって……ぜひ、俺も混ぜてくださいよ!! お役に立ちますから!」
そんな、ドッチボールか野球でもするようなノリで言われても……とローズが困っている傍らで、フィリップはさっさと決断して言った。男子は「混ぜて」と言われたらおおむね受け入れる方針らしい。
「よし、じゃあギルバート、ついて来い! ただし今回のことは一切他言無用だ。兄上にもな。誓えるか?!」
それを聞いたギルバートはローズの前に跪くと、ローズの手を取って言った。
「誓います、ローズ様。休暇中の俺は、自由な庶民。自らの意志で、あなたの傘下に入ります。あなたの犬だと思い、何でも俺に命じてください! 必ずお役に立ちますから、どうかぜひ、俺をお共に加えてください」
「ち、が、う、だ、ろ!! 僕に誓えと言ったんだ! 誰がローズに触れていいと言った!」
いつもニコニコしているフィリップの怒った顔は珍しい。レアと言ってもいい。その王子がすぐにギルバートの手をはらったので、ギルバートは手を切り落とされずに済んだ――「静かに激オコ状態」のシュリに。
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