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4章
2. 魔王の復活
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「あたしの弟は、魔王なのさ」
「……………………」
沈黙する二人を前に魔女はお茶をすすると、もう一度言う。
「あたしの弟は、魔王なのさ。そう、あの勇者に敗北して封印された、魔王なのさ。このところ、何かがどうもおかしいと、あたしは遠出して調べに行ったんだけどねぇ……魔王の封印は経年劣化をおこして弱くなっていたと見え、あの子はまた悪さをするために復活してしまったんだよ」
「!!」
(ユニコーンの言っていた通りだわ! でも魔王の復活なんて……ゲーム内で、そんな展開あったかしら? 私の記憶では、無かったはず……。それとも私の知らないバッドエンドか何かが、あったの?!)
そう思いながらうろたえるローズとは対照的に、シャーロットはいたって冷静だった。彼女は姿勢を正すと、真剣な口調で言った。
「そんな気がしていました。今まで感じたことのない、不穏な気配があると。
魔女ヴァネッサ、私は勇者の子孫シャーロット・アデル・オルコットと申します。レジナルド王太子のために『奇跡の薬』を調合していただきたく、ここに材料を揃えて持って来た次第です。お願いできますか」
そう言ってシャーロットは、荷物の中から一つずつ材料を取り出し、机の上に置いた。魔女はそれを確かめながら頷いた。
「いいともさ。すぐに調合しよう。勇者の子孫であるおまえさんが王太子の妻となれば、この国は見えない力で守られる。まだ復活したてで威力の衰えた魔王は、手だしできなくなるだろうて」
ローズは混乱しながらも、魔女に疑問をぶつけた。
「……あ、あの、魔女ヴァネッサ、あなたはとても力ある魔女です。そのあなたが、弟さんを抑え込むことはできないんですか?!」
「できるとも。だがあたしとあの子がぶつかれば、そうさね……大陸の二つ三つ吹っ飛ぶだろうね……。その犠牲の結果、あたしは勝つだろう。弟もそのことを承知していて、負けると知っているからあたしに直接手出しせず、留守中に幼稚な嫌がらせをしたりするのさ。まったく困ったもんだよ……。でも大丈夫、勇者の子孫が健在だからね。シャーロットや、特にあんたの力は強い。きっとうまくこの国を守れるだろう。
どれ、すぐに調合に取り掛かろうかね」
『奇跡の薬』の完成には2、3日かかるそうなので、二人は一旦クローゼットを抜けて自邸に戻ることにした。
そしてローズは自分の部屋に戻るなり、シャーロットに問いかけた。
「ロッティ、もし魔王があなたに戦いを挑んで来たら、立ち向かうつもりなの?!」
「ええ。覚悟はできています。勇者の子孫であるオルコット家の子供たちは、みな幼い頃から、その心構えを教え込まされるの。臆したりはしない。必ずみんなを守ってみせる」
凛とした眼差しで、シャーロットはそう言い切った。決意の漲る彼女の体は、まるで神聖な力に包まれているかのように、不思議な光を放っていた。ローズは感動して見惚れてしまった。
(ああ……シャーロット。そうよ、あなたはゲームの中でも、そんな風だった。いつもはほわほわしたドジっ娘なのに、勝負時には必ず先頭に立ってみんなを鼓舞し、力強く導いていく勇敢な乙女だった!)
ローズはシャーロットをギュッと抱擁すると、言った。
「私に出来ることがあれば、何でも言ってちょうだい。あなたの力になりたいの」
「ローズ、ありがとう。あなたは十分、私の力になってくれた。今度は、私があなたを助ける番よ」
そう言って晴れやかに笑ったシャーロットに、ローズは微笑み返した。揺るぎない信頼と、友情を込めて。
「……………………」
沈黙する二人を前に魔女はお茶をすすると、もう一度言う。
「あたしの弟は、魔王なのさ。そう、あの勇者に敗北して封印された、魔王なのさ。このところ、何かがどうもおかしいと、あたしは遠出して調べに行ったんだけどねぇ……魔王の封印は経年劣化をおこして弱くなっていたと見え、あの子はまた悪さをするために復活してしまったんだよ」
「!!」
(ユニコーンの言っていた通りだわ! でも魔王の復活なんて……ゲーム内で、そんな展開あったかしら? 私の記憶では、無かったはず……。それとも私の知らないバッドエンドか何かが、あったの?!)
そう思いながらうろたえるローズとは対照的に、シャーロットはいたって冷静だった。彼女は姿勢を正すと、真剣な口調で言った。
「そんな気がしていました。今まで感じたことのない、不穏な気配があると。
魔女ヴァネッサ、私は勇者の子孫シャーロット・アデル・オルコットと申します。レジナルド王太子のために『奇跡の薬』を調合していただきたく、ここに材料を揃えて持って来た次第です。お願いできますか」
そう言ってシャーロットは、荷物の中から一つずつ材料を取り出し、机の上に置いた。魔女はそれを確かめながら頷いた。
「いいともさ。すぐに調合しよう。勇者の子孫であるおまえさんが王太子の妻となれば、この国は見えない力で守られる。まだ復活したてで威力の衰えた魔王は、手だしできなくなるだろうて」
ローズは混乱しながらも、魔女に疑問をぶつけた。
「……あ、あの、魔女ヴァネッサ、あなたはとても力ある魔女です。そのあなたが、弟さんを抑え込むことはできないんですか?!」
「できるとも。だがあたしとあの子がぶつかれば、そうさね……大陸の二つ三つ吹っ飛ぶだろうね……。その犠牲の結果、あたしは勝つだろう。弟もそのことを承知していて、負けると知っているからあたしに直接手出しせず、留守中に幼稚な嫌がらせをしたりするのさ。まったく困ったもんだよ……。でも大丈夫、勇者の子孫が健在だからね。シャーロットや、特にあんたの力は強い。きっとうまくこの国を守れるだろう。
どれ、すぐに調合に取り掛かろうかね」
『奇跡の薬』の完成には2、3日かかるそうなので、二人は一旦クローゼットを抜けて自邸に戻ることにした。
そしてローズは自分の部屋に戻るなり、シャーロットに問いかけた。
「ロッティ、もし魔王があなたに戦いを挑んで来たら、立ち向かうつもりなの?!」
「ええ。覚悟はできています。勇者の子孫であるオルコット家の子供たちは、みな幼い頃から、その心構えを教え込まされるの。臆したりはしない。必ずみんなを守ってみせる」
凛とした眼差しで、シャーロットはそう言い切った。決意の漲る彼女の体は、まるで神聖な力に包まれているかのように、不思議な光を放っていた。ローズは感動して見惚れてしまった。
(ああ……シャーロット。そうよ、あなたはゲームの中でも、そんな風だった。いつもはほわほわしたドジっ娘なのに、勝負時には必ず先頭に立ってみんなを鼓舞し、力強く導いていく勇敢な乙女だった!)
ローズはシャーロットをギュッと抱擁すると、言った。
「私に出来ることがあれば、何でも言ってちょうだい。あなたの力になりたいの」
「ローズ、ありがとう。あなたは十分、私の力になってくれた。今度は、私があなたを助ける番よ」
そう言って晴れやかに笑ったシャーロットに、ローズは微笑み返した。揺るぎない信頼と、友情を込めて。
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