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僕の日常①

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「おはよぉ」
 僕が挨拶をすると、甲高い歓声と、野太い雄叫びが聞こえる。アイドルのライブかよ。偶に前屈みになってる奴も居るけど、見なかったことにしよう。
 そういえば今日は、新入生歓迎会、略して新歓の準備があったな。なんて考えながら自分の席につく。去年は、大規模な演劇をしたんだけれど、凄く大変だったのを覚えてる。今年は何になるのかなぁ。
「おいお前ら、席につけ。」
 僕が物思いに耽っている内に、いつの間にか担任の髙野先生が教室に来ていた。又もや歓声が聞こえる。こんなホスト教師の何処が良いんだか。
 それにしても、相変わらずこの学園は顔面偏差値高いなぁ。
「おい、小鳥遊。聞いてるか?」
危ない危ない。眠すぎて意識飛ばすとこだった。
「聞いてまぁす」
寝起きの声で答えたら、舌打ちをされた。酷い。
 そういえば、今日は健ちゃんを見ていないな。書記の健ちゃんが遅刻なんて珍しい。
また考え込んでいる内に、先生の話が終わっていた。そして案の定呼び出しを食らった。お昼休憩で職員室に行かなければならない。髙野先生の小言か当て付けの雑用で重要な食事時間が無くなってしまう…


***


 そんなこんなでいつの間にかお昼休憩になってしまった。この時間になっても健ちゃんは登校していない。体調不良かと思い、健ちゃんに連絡をしてから職員室に行った。
 でもホントに寝不足なんだよな。昨夜は、街に喧嘩しに行っていたから。
…結局自業自得か


***


着いてしまった…地獄の職員室に。
 深呼吸で精神統一して、コンコンコン、と扉を軽く叩く。
「失礼しまーす」
 職員室に踏み込むと、早速先生と、髙野先生と目があった。嘘でしょ。
「遅かったな」
 でも、意外に優しい声色で声を掛けられる。
どうしたの、先生?気味が悪いよ。
「あぁん?」
思った事が顔に出ていたのか、ガンを飛ばされた。
「どーしたの?せんせぇ」
「チッ、ったくお前は…」
舌打ちされた。理不尽教師だ。
「はあ、兎に角、お前はなんともないんだな?」
えっ?どういうことだろうか。
「どーゆーことですかぁ?」
「今日はずっと上の空だったから、体調不良じゃないのかと聞いているんだ。」
 髙野先生がそんなことを聞くなんて、本当にどうしたんだろう。今日は槍でも降るのかな?
「え、…ぜぇんぜんダイジョーブですよー」
「そうか…もう戻っていいぞ。」
「はーい、失礼しましたぁ」
 驚きながらも退出時の挨拶は忘れず、ゆっくりと扉を閉めた。
 扉を閉めようとしたところで呼び止められたりするんじゃないかと疑ってしまったけれど、全然そんなこと無かった。しかも呼び出しの内容が、小言とか雑用とかじゃなく、体調不良なのかと尋ねられるという謎。今までの僕の緊張を返してほしい。


「小鳥遊…!!」
 職員室を出て歩いていると、少し焦りが滲み出ている声で副会長に呼び止められた。
「、副会長ぉどーしたの?」
「連絡をしても中々返事が返って来ないので、探していました。」
 もしかして大事な約束を忘れてしまっていたのだろうか。
 そんな僕の心を読んでか、新歓の会議についての事で、急ぎでは無いのだと伝えてくれた。
「そっかぁ、ありがとー」
「いえ。そういえば、今職員室から出て来ていましたが、何かあったのですか?」
 やっぱり、見られていたのか。でも、心配掛けたくないからヘラヘラと笑って、大丈夫だと伝えた。こういうときには普段のチャラ男の演技が役立つ。
「そうですか。では。」
「バイバーイ」
 挨拶をして、すれ違うようにお互いの行先に進んで行った。
 ふと、後ろで副会長の足が止まる気配がする。
「小鳥遊。私達は、いつでも貴方を待っていますから。」
 お互いに、顔を見らず、再び歩みを進めた。

_____副会長が、皆が、言わんとしていることは、泣きたくなるほどよく分かっている。皆、僕を心配してくれているのだ。
 


僕なんか、シンパイされる価値ないのに…
 



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