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予感②
しおりを挟む結局、副会長に熱弁されて、ZERØへの加入は保留になった。僕が、自分を偽らないで良くなったら、仲間になりたいなぁと思っている。それまで、僕の席を開けていてくれるかはわからないけど。
いつかきっと、そういう日が来ると信じて____
~♪…~♪…~♪
「はい、神無月です。」
「…はい……っはあ!?………わかりました。」
ZERØについての話に一段落がつき、いざ仕事に取り掛かろうという時、副会長へ電話が掛かってきた。滅多に怒りの感情を表に出さない副会長が、電話越しの相手に怒りの感情を剥き出しにしていた。僕達に怒る時でさえ、いつも笑顔なのに。それはそれで恐いんだけど。
副会長がこんなになる事は滅多に無いから、皆余程の事があったんだろうと恐怖に震えていた。
電話一本だけで怯えさせられるとは、流石、ZERØの裏ボスと言われるだけあるなぁ。何て、この時は他人事のように捉えていた。
会長が、電話の終わったタイミングで副会長に尋ねた。何があったんだ、と。
「実は、電話の相手がくs…失礼しました。電話の相手が理事長で、甥がこれから転校してくるのだと伝えられました。」
「あのクソジジイの事だから、其れだけでは無いんだろ?」
ちょ、ちょっと待って!?会長思いっきりクソジジイって言ってるじゃん。しかも、会長はスルーしてるけど副会長もクソジジイって言いかけてたよねえ。まあ確かに、あの理事長は毎回僕達に面倒事を押し付けて来るから、二人の言葉には納得なんだけど…場所を考えようよ……
そんな僕の思いも虚しく、副会長がどんな内容だったのかを教えてくれた。
「はい。理事長によると、彼の甥が今日転校してくるそうです。其れだけならまだ良いのですが、転校生が、是迄器物損害や傷害事件等を起こしていて、いくつかの高校を退学になっています。また、クソじ……理事長はその甥っ子さんを大変溺愛しているらしく、これ以上問題を起こして、少年院にでも入れられたら嫌だ、と。そこで私達に、今日来る転校生を無事に理事長室まで送り、これからも、つつがなく過ごせるように支えて欲しいと頼まれました。」
…つまり、大事な大事な甥っ子を特別扱いしてね☆ってことだろうか。それをする事で、親衛隊に制裁される可能性が増える事を考えていないのかな?
「っあのクソジジイめ!」
会長~ここ学校ですよ。
「「つまりつまり~」」
「大事な大事な甥っ子を」
「特別扱いしてね☆」
「「ってこと~?」」
咲ちゃん朔ちゃんも僕と全く同じ事考えてる。しかも声真似付きで。完成度高いなぁ~
「零、時間……?」
そうそう、僕もそれが気になっていたんだ。流石健ちゃん、いつも気が利くな。
「あぁ、そうでした。迎えに行く時間を伝え忘れていましたね。」
副会長がそう言って時計を見た。その後、副会長の笑みが深くなって、すご~く嫌な予感がした。
「…副会長ぉ~、僕なんだかすごく嫌ぁな予感がするんだけどぉ?」
「フフ……今から5分後です。」
「「「「「……はぁ」」」」」
そんな事だろうと思ってた。
5分。生徒会室から正門まで、走っていけばギリ間に合うくらいの時間だ。
「…誰が行く?」
そう、問題はそれ。
「………ここは、私が行きましょう。電話が掛かってきたのは私ですし、この中で一番足が速いのは私ですからね。」
会長の問から、少し間が開いて、副会長が名乗り出た。
その時、嫌な予感がした。さっきのとは全く違う。今朝感じた様な、恐怖が入り混じった複雑な感情と共に。
「では、行ってきますね。」
副会長がそう言って出ていこうとしたとき、僕は咄嗟に彼の腕を掴んでいた。
「どうかしましたか?」
「っあ、ご、ごめんねぇ~服にゴミが付いてたからぁ、取っただけだよ~?」
我ながら苦しい言い訳だったけど、副会長は信じてくれたみたいだ。
「、そうですか……では。」
「っ!?」
副会長は、去り際に僕の頭を軽く撫でて、優しく微笑んだ。副会長が居なくなりそうで、怖かった。
__僕の思いも虚しく、扉が音を立てて閉まった。
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