海の見えない老人ホーム

村上 夏樹

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さらば青春

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180920
さらば青春
村上 夏樹

 ここは海が見えない老人ホームである。
 入居者は「海が見える老人ホーム」という宣伝文句につられてやってきた。宣伝文句の通り、入居当時は海が見えていた。

 高木靖男 69歳 まだ老人ホームに入るには早い。
靖男は、息子夫婦と一緒に住んでいた。息子夫婦は一緒に住みたくなかったが、靖男の遺産が欲しかった。靖男は長年のサラリーマン生活で蓄えた預貯金と退職金、合わせて5000万ほど持っていた。それと年金である。妻は10年ほど前に乳がんでなくしている。

 息子の健太はIT企業で働いている。健太の妻、渚は居酒屋でアルバイトをしている。生活は苦しくないが、健太はギャンブルと女が好きだ。こないだも桜花賞で10万もうけたが、菊花賞で200万もすってしまった。おまけに、職場の同僚、裕子と不倫の関係である。毎月、給料をもらってもすぐに財布の底が尽きる。
健太と裕子の関係は1年以上続いている。渚が気付かないはずがない。あるとき、渚は健太を問い詰めた。
「あなた、最近、遅いわね?」
「ああ、ちょっと付き合いがあってな。」
「そう、でもあなたの服からいい匂いがするけど・・・」
「そういえば、昨日、電車の中で俺の隣に座っていた女性、すごく匂いがしたな。」
「へー」
 
 健太は40歳、渚は38歳、二人は高校時代、同じクラスだった。しかし、二人の間には何もなかった。健太の友達に竜二がいた。竜二はイケメンで優しくてクラスの女子から人気があった。竜二は野球部でキャプテンだった。渚は野球部のマネージャーで竜二に憧れていた。
 練習が終わり、部員はみんな帰ったはずだった。渚は部室を片付けて掃除をしていた。渚は足音がするのに気付いた。
「おかしいなあ。もう、みんな帰ったはずなのに、だれかしら?」
 と思った瞬間、部室の明かりが消えた。明かりは消えたが、月明かりで誰かがいるのはわかった。
 大きな声を出そうと思ったが出なかった。足は震え、どうしていいかわからなかった。
 男はいつのまにか、渚の目の前にいた。そして、
「ありがとう」と言った。
 渚は何を、どう言っていいかわからなかった。
 そうすると、竜二は大きな手で渚を抱きしめた。渚の背中に両手を回し、指先にも力を入れてぐっと抱きしめた。そして、その手を少しずつ下げていった。渚のスカートのホックを外し、ファスナーをゆっくり下ろすとスカートは落ち、パンストの上からピンク色の下着がほのかに見えた。
 竜二は、大切なものを壊さないような感じでお尻を下から上へなぜていく。かと思うと、やにわにぎゅっと肉をつかみゆっくり離す。それを何度も繰り返しながら、手はだんだんと大事なところへ近づいていく。右手の人差し指と中指を股間で上下させる。初めはやさしく、そして、徐々に力を入れていく。
 渚の息遣いが荒くなってくる。
 竜二は唇を渚の唇に押し当てた。渚はそれに抵抗するなく、されるがままに任せていた。彼の手はブラウスに伸び、ボタンを外していった。ピンク色のブラから乳房がこぼれおちそうだった。右手で渚の首の後ろにあて、左手で右の乳房をブラの上からやさしくもみ始めた。そして、手をブラの下に入れ、ゆっくりと指を乳首まで進ませた。
 

 靖男は海が好きだった。若いころはサーフィンにはまっていた。
 週末は、いつも友達とボードをかついで湘南の海へ繰り出した。昼間はボードと戯れ、夜は女と戯れた。
 酒を飲んで騒いでたと思ったら、いつのまにか静かになった。
 靖男が好きなタイプは少しポチャッとしたかわいい感じの子だった。沙希は大学のゼミが同じで、ある時、沙希の横で教授の話を聞いていたとき、何の気なしに沙希の髪の毛を手でふんわりと触ってしまった。
 沙希は驚いた顔で靖男のほうを向いたので、靖男は赤くなってしまった。

 その沙希が、近くでかすかに寝息を立てている。靖男は、少しためらったが、周りの様子をうかがいながら沙希の背後に近付いた。沙希はピンクのタンクトップに紫の短パンをはいている。ウエストのくびれから下半身へ向かうふくよかなラインが靖男を刺激する。彼はおずおずと手を伸ばし、彼女のお尻に触れる。

 「やわらかい・・・」
 靖男は手のひらで感触を楽しみながら、手をゆっくりと動かしていた。
彼女は寝息を立てたままだ。その手を短パンのゴムのところにもっていき、少し短パンを下げる。靖男は思わず唾を飲み込んだ。沙希は黒いTバックの下着をつけていた。

 自分のものがいきり立つのを抑えながら、短パンを膝までおろした。そこで、彼女は寝返りを打った。
「気付かれた!」と思ったが、沙希の眼は閉じたままで、唇がかすかに開いていた。
 下のほうに視線を移すと、タンクトップから胸がこぼれおちそうだ。

 靖男はたまらなくなり、自分のものを片手でしっかりつかみ上下運動を5・6回するといってしまった。

 息を荒げながら、沙希の短パンを元に戻した。そして、彼女から少し離れたところで興奮を静めていたら、いつの間にかいびきをかいていた。

 沙希は、そんな靖男をうつろな目で眺めていた。

 靖男の老人ホームは海岸の近くにある。
 9階建ての白い瀟洒#しょうしゃ#な建物だ。200室以上あり、レストランやジム、カラオケなどを備えている。1階は駐車場や病院、事務所がある。2階以上が居室となっている。
 彼の部屋は3階にある。もちろん、ワンルームだが、部屋にはトイレ、洗面、シャワーがついている。屋上には露天風呂がある。ときどき、夜にその露天風呂へ行く。そこには、寝そべることができるようなチェアーが置いたり、風呂につかりながら星を眺めることができる。
 あるとき、風呂につかっていたら、20代の少しぽっちゃりした女性従業員が掃除をしに来た。
「ごめんなさいね!お風呂に入っていらっしゃるのに」
 と言いながら、デッキブラシで洗い場をこすり始めた。彼女はぴちぴちのショートパンツにタンクトップといういでたちだ。月明かりで、彼女の太ももが照らし出されている。ブラシをこするたびにふくよかなお尻が前後する。靖男は知らず知らずずっと視線をやっていたが、彼女が自分のほうを向いたとき、空を仰いだ。
 今度は、彼女が正面を向けてブラシでこすっている。胸の谷間がはっきり見える。いや、谷間どころではない。彼女は下着をつけていない。胸の突起がタンクトップの上からでもはっきりわかる。彼女が少しかがんで、洗剤を取ろうとしたときに突起をじかに見てしまった。
 靖男は自分のものがいきり立つのを抑えることができなかった。今の状態ではタオルで腰を巻いたところで、浴槽から出ることはできない。

 
 
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