妹の方がかわいいから私を捨てるんですか? ええ、喜んで! ぜひ婚約破棄しましょう!

志鷹 志紀

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15.(国王視点1)罰

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「父上、久方ぶりです」

「お久しゅうございます、お義父様」

 玉座に腰掛け、2人の愚者・・を見つめる。
 1人は我が息子、アノス・ルール・フォレスト。
 1人はその婚約者、ラリスタ・ルリスト。

 2人は対照的な表情をしておった。
 アノスは期待に満ちた表情を。
 ラリスタはきょとんとマヌケな表情を。

「……はぁ」

 そんな2人を見て、ワシはため息が止まらん。
 
「父上、どうかなされましたか?」

「……愚かな質問じゃな」

「え?」

「……ただの1人ごとじゃ」

「そうですか……? それはともかく、話は変わりますが、実は父上! 僕も父上に話があったのです!」

「……いったいどのような了見じゃ?」

 我が息子、アノスはニンマリと笑みを浮かべる。

「私の婚約者……いえ、婚約者になるラリスタ・ルリストの汚職の証拠を見ていただきたいのです!?」

「え!?」

 自信満々に胸を張り、告げてくるアノス。
 対照的にラリスタは、目を見開いて驚いている。

「あ、アノス様……それはいったい、ど、どういうことですか?」

「口を開くな。キミは臭いんだ」

「え、え……?」

「父上、確認していただきますか?」

 アノスはワシに羊皮紙の資料を渡してきた。

「……なるほどの」

 資料に目を通す。
 そこにはラリスタがこれまで行ってきた、クスリの売買の記録や象牙の密売の記録など、多種多様な汚職の記録が載っていた。

「父上、この女は僕をたぶらかし、国家転覆を狙っていた女狐です! そこで本日! この女との婚約破棄を行おうと思っております!」

「あ、アノス様……? いったい、何を言っていますの……?」

「黙れ悪臭女! よくも僕を騙したな!」

「だ、騙した……? 私に婚約を提案してきたのは、アノス様の方ですわよ!?」

「キミがリアラにいじめられていたと、涙を誘ってきたから騙されてきたんだ! その美麗な容姿で、僕をたぶらかしやがって!!」

「────2人とも、静粛せいしゅくに」

 ワシの一声で、2人は静まる。

「……アノスよ、この資料に書かれておることは真なのじゃな?」

「もちろんです! 血眼になって、証拠を掴みました!」

「……なんと」

「父上、どうですか? 素晴らしいでしょ?」

「……なんと、愚鈍な息子なのじゃ」

「……え?」

 驚愕に満ちたその表情、呆れてモノも言えんわ。

「アノスよ、この程度の情報をワシが知らんと思ったか? 貴様がリアラ嬢と婚約破棄をした日よりも、ずっと前にの」

「え、で、ですけれど、父上から何も聞いていませんよ……?」

「貴様の気持ちを尊重したのじゃ。リアラ嬢を捨ててまで、得たい女との暮らしを尊重し、あえて黙っておったのじゃ」

「で、ですけれど……」

「それに貴様と結婚することで、悪名高いラリスタの態度も変わると考えたルリスト公爵の考えもあり、あえて黙っておったのじゃ」

「そ、そんな……」

「それに気づかず、いけしゃあしゃあと証拠と称して見せびらかし、あげくの果てに婚約破棄じゃと?」

「ち、父上……?」

「お、お義父様……?」

「黙れ、貴様等との縁はここで切る」

「そ、それって……?」

 ため息が勝手に零れる。
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